木で作られた使い捨てのお弁当箱を再利用できないものか思案した結果、新しく違う形の箱を作り、塗装をすれば再利用できるのではないかと思い立ち、木箱を作りました。
目次
お弁当箱づくり
池上飯包のお弁当箱を利用して、全く新しいお弁当箱を作ります。
台湾弁当「池上飯包」の弁当箱に使われる木材
池上飯包という台湾のお弁当に使われるお弁当箱は、ファルカタなどの軽い木材を薄くカットし、四角くくみ上げられたものです。
プラスチックのお弁当箱に比べて木材であるこのお弁当箱は環境負荷が少ないこともあってか、今でも台湾で多く使われています。
木のお弁当を捨てるのがもったいない
毎度池上飯包のお弁当を食べるたびに、木のお弁当箱を捨てるのがなんだかもったいない気がして、何かに利用できないかと考え続けていました。
接着剤で木を接着する
池上飯包のお弁当箱に使われるファルカタ材の厚みはおおよそ1mm~1.5mm程度。非常に薄いです。そのため、そのままでは歪んでしまいますし、強度も保てません。
そこで、接着剤を使って木材の厚みを増すことにしました。
米糊(こめのり)で木と木を接着する
米糊(こめのり)はお米から作る糊(のり)です。食品のお米が原材料なのでお弁当箱に使用するのも安心だなぁと思ったのですが、以前試してみたときにうまく接着ができなかったので今回は米糊(こめのり)を使用しないことにしました。
タイトボンド3で貼り合わせる
木材と木材の接着で、使用したのはタイトボンド3です。
タイトボンド3は食品に間接的に接触しても問題ないというFDA(アメリカ食品医薬品局 Food and Drug Administration)の認可を受けたボンドです。
他にもいろんなボンドについて調べましたが、しっかり食品との接触について明記されているのを確認できたのがこのタイトボンド3だけでした。
曲げわっぱではなく重箱タイプを作る
今回作成したのは曲げわっぱのような曲線タイプのお弁当箱ではなく、重箱のような四角いタイプのお弁当箱です。
説明書も設計図もない
お弁当箱の作成キットなどを使うわけでもないので、説明書も設計図もありません。そこでネットに転がる重箱の情報や、写真などからイメージして作っていくことにしました。
お弁当箱のサイズは一辺19.5cm
重箱の一段の高さは6.5cm、三段重ねて19.5cm(+蓋)となるものが多く、一辺の長さもやはり19.5cmでした。そこで、今回は一段のみの重箱で、幅19.5cm、高さ6.5cm程度のものを作ることにしました。
木の厚みを増して5mmにする
池上飯包のお弁当箱に使われているファルカタ材の厚みはおおむね1mm~1.5mmです(サイズは一定ではなく、かなり誤差があります)。そこで、そのファルカタ材を4枚重ねて5mm程度になるように調整しました。
当初、それぞれのファルカタ材の厚みは一定であると過信しており、厚みの調整まではしませんでした。そのため、よく見ると四辺の厚みが異なるお弁当箱となりました。
木材の切り出しは小刀
ファルカタ材は非常に柔らかく、厚みも5mm程度しかないため小刀で切り出しました。ガイドを当てて力強く、でも安全に留意しながら小刀で切り出しました。
鉋(かんな)で端をまっすぐにする
これを機に小さな鉋(かんな)を購入しました。はじめての鉋(かんな)で、使い方も調整の方法もよくわかっていませんでしたが、なんとか使用できるようになりました。
手作業による木材加工は直角を出すのが難しい
直角を出すためには機械を使うか、治具を用いて木材をカットします。しかし、そんな機械も治具も家に無いので、スコヤみたいなものを購入して直角を出しました。
後日気が付いたのですが、購入したスコヤらしきものはどうやらしっかり直角が出ていなかったようで、すべてが曲がったまま作業をしていました。そのため、出来上がったお弁当箱も微妙に歪んでいます。
釘などは使わずすべてボンドで接着
木箱を作る際、木材の端を45度にカットできれば接着面が大きくなり接着に有利になります。しかし、45度にカットする道具を持っていないので、そのまま直角に木材を組み立て、ボンドで接着することにしました。
釘は使いません。木釘という方法もあろうかと思ったのですが、木釘を使う場合は下穴を開ける必要があり、当初穴を開ける道具を持っていなかったことと、4枚に重ねた木材では木釘を打ち込んだ時に崩れてしまうのではないかと危惧したことから木釘の使用も見送りました。すべてボンドで接着しました。
四つ角は木材を足して彫刻刀で丸みをつける
四つ角の内側に5mm角に切った木材を貼り付け、彫刻刀で丸く切り出すと四つ角が丸みを帯びます。
彫刻刀で削る際、ファルカタ材を重ねた材木だと極端に削りにくい場合があり、もしも同じことをするなら可能な限り木目に沿って彫刻刀が入るように設計すると良いと思います。木目に対して直角に彫刻刀を入れると柔らかいファルカタ材が崩れていきます。切れ味が良い彫刻刀ならこうはならないかもしれません。
木材を重ねてお弁当箱に脚をつける
雰囲気を出すために脚もつけましたが、曲面が非常に難しく、曲面を上手にカットするにはそれなりの技術が必要になると感じました。
紙やすりで木材を整える
弁当箱が組み上がってから全体を紙やすりでキレイに整えました。平面は鉋(かんな)でも良いのですが、曲面は鉋(かんな)がけが非常に難しく、紙やすりの方が便利です。
木工の注意点
今回、台湾のお弁当池上飯包のお弁当箱で違う形の木のお弁当箱を作りましたが、いくつか注意した方が良いなと感じたことがあります。
木材の木目
木材の木目によって加工のしやすさや見た目が変わります。そのため、木材を加工するときはしっかりと木目を意識した方が良いです。
加工精度にこだわる
特に小さいものの場合、加工精度が少し悪いだけで全体にかなり大きな影響を与えます。治具などが用意できる場合はしっかりとした治具を用意し、加工精度を上げる方が完成度も高くなります。
最後に
ひとまず木の弁当箱を作るのは成功しました。思ったよりしっかりしたお弁当箱が出来上がりましたが、もっとキレイにできたのではないかと思う部分も多くあります。今後また木工作業をする際には今回の反省を生かしていきたいと思います。
ここまでで木箱(お弁当箱)づくりは完了ですが、これにさらに塗装をしていく予定です。