食べた後の桃の種を植える! 種から育てる際に知っておくと良いこと

ベランダで種から桃を育て始めて1年半ぐらいになったのですが、今までの期間に感じたこと、気が付いたことなどについて書き記しておきます。

種の取得から発芽まで

桃は夏ごろに市場に出回るため、種を採るならその時期がチャンスとなります。そこで取得した種は、そのままポットに植えておいても日本の多くの地域なら冬を経て春には芽が出ることがあるのだとか。温暖な地域の場合は冷蔵庫に入れるなどして翌春まで冬を経験させることで発芽することもあるそうです。

ただ、実際のところ、それをしなくても発芽自体は成功する場合があります。冬を経なくても発芽はします。その方法は、単に種を取得後、種の固い殻を割り、中の茶色い薄皮も、そのさらに内側の白い膜も取り去り、湿らせたキッチンペーパーなどで包んでおくと発芽することがあります。

この時期における発芽するしないは、いかに発芽する条件を整えられるかにかかっているように思います。何かの事情で春まで待てない、急いで発芽させないといけない、もしくは私のように試してみたいという気持ちが強い場合はやってみても良いと思います。

なお、先ほど書いた白い膜というのは、茶色い薄皮の中にあるのですが、この膜が根になる部分を守っているような構造になっていて、その膜を取り去ってから湿らせたキッチンペーパーに包む方が発根しやすいように感じます。

発芽後の成長

以前にも桃の成長具合については書きました。

桃というのは冬は休眠し、春に開花、そして実を実らせると同時に成長期を迎え、夏に収穫、秋になると落葉して休眠期を迎えるというスケジュールが通常だと思うのですが、なにやら我が家の1年生桃は様子が異なり、変な時期に新芽が出て来たり、成長期であると思われる夏に一切変化が無かったりしました。

はっきりしたことは言えませんが、これは発芽した時期も関係あるのではないかと思います。また、人工的に発芽させるに際して双葉がどれほど残っているか、健康な状態で残っているかも関係しているのではないかと思います。

具体的には、まず、人工的に発芽させるにあたって、周りの固い殻を割る必要があるわけですが、その際に力の加減が難しく、私はいくつも種の中身まで割ってしまいました。中身が割れても根の部分が残っていれば発芽はします。ただ、その後の成長に顕著に影響が出てきます。

双葉がほぼない状態で発芽したものは成長がかなり遅いか、途中でダメになります。双葉がある程度残っていればそれなりに成長しますが、双葉が完全な状態で残っているものがやはり一番大きく成長します。双葉の力、侮るなかれ。

そしてどうにか発芽した桃ですが、通常春に発芽するものが、他の季節に強制発芽されているものだから、リズムもくるっている可能性があります。現に、我が家の桃はリズムがおかしいです。

そのリズムがいつ正常になるのかはわかりません。実は数日前からそのリズムがくるっていた桃に新芽が出てきたので、もしかしたら今年あたりは普通のスケジュールになるかなと思っています。まずは成長を見守り、秋にどうなるかが見ものです。1,2週間で成長が止まったらそれはそれでやはりリズムがおかしいのかもしれませんが。

なお、桃の種の殻は本当に固いため、普通に土に埋めているだけでは発芽しづらいという話も聞きます。だとすれば固い殻だけでも割らなければなりませんが、もしも試される場合は中まで割らないように気を付けながら割ることをお勧めします。中身が割れても根の部分が残っていれば発芽はします。でも、その後の成長に影響が出る可能性があります。

半年冷蔵保存し、春先に発芽した桃はかなり元気

昨年食べた桃の種を複数個冷蔵庫で保管していたのですが、それらを春先に取り出し、殻を割って発芽させました。

その中の1つ、双葉が完全な状態で残っていたもの(2021年もの)は、その先輩にあたる1年半経過した桃(2020年もの)よりもすでに背丈が高くなっています。脇芽も出てきました。成長の具合が違う?そんな風に感じさせられます。(早く発芽した方が若干幹は太いようには見えます。)

実はこの現象、梅でもそうでした。取得後すぐに発芽させた梅の木があったのですが、それとは別に同じ時期に取得した種を冷蔵庫に保管していて、数か月後に取り出して発芽させたところ、あっというまに先に発芽したものに追いついてしまったのです。今では両者同じぐらいの大きさになっています。(桃同様、早く発芽した方が若干幹は太いようには見えます。)

桃を種から育てる際のポイント

種から発芽した桃の木(左は1年半経過、右は3か月経過)
種から発芽した桃の木(左は1年半経過、右は2か月経過)

桃の木を種から育てるにあたって気づいたこと、わかったことなどを以下にまとめて記しておきます。

  • 固い殻は割る
  • 誤って中身まで割ってしまっても、根の部分が大丈夫なら発芽する可能性はある。ただ、その後の生育に影響が出る可能性がある。
  • 春まで待たずとも、冬を経なくても、発芽はする。ただ、自然界のリズムと異なるリズムで発芽した場合、その後の生育に影響が出る可能性がある。
  • リズムが崩れた苗は自然なリズムになるまで時間がかかるか、もしかしたら自然なリズムにはならないかもしれない。
  • 上記の通り、自然界のリズムに従わずとも発芽させることはできるが、結局のところ疑似的にでも冬を経て、春先に発芽をさせた苗は成長が速く、焦って種取得後すぐに人工的に発芽させる必要性はあまり感じられない。

最後に

そもそも果樹を種から育てようというのはあまりお勧めしておりません。というのも、種から育てる場合、果樹は親木の特徴を引き継がないと言われているからです。どんなにおいしい桃から採った種でも、そこから発芽して育った木に実った果実は別物になったり、そもそも開花しなかったり。開花しないと当然実もできません。

ただ、私のように種を見るとまきたくなってしまう、発芽させたくなってしまうという方がいらっしゃるなら、試してみるのは楽しいと思います。