米糊の限界?ヤシ繊維と米糊で育苗ポットを作りたい!

普段はプラスチック製の植木鉢を買うことが多いのですが、環境負荷について考えたときに土に還る素材で植木鉢を作れないものか思案した結果、ヤシ繊維と米糊で作ってしまおうと考えたのですが、それがなかなかうまくいかず。失敗ではありましたが学ぶことも多かったのでここに記録しておきます。

土に還る素材

エコとかSGDsとか、関連する語句を並べたらきりがなくなる環境負荷に関する課題。世界規模ではなく、家庭内で考えてみると例えばごみを減らすとか、プラスチック製品を買わないようにするとか、いろんな活動が考えられます。

ベランダで植物を育てるにあたって、プラスチックの鉢を購入することが多いのですが、プラスチックって、再利用するならまだしも、ゴミになった場合、土に還るでもなく、何百年も邪魔な存在となって地球に存在し続けます。

じゃあ素焼きや陶器の鉢はどうなのかと言えば、プラスチックよりはマシな気もしますが、それでも手放すときの負荷という意味では、例えば誰かが粉々になるまで砕いて環境に返還するとか、そういう手間がない場合、土に還るまではかなりの時間を要します。

植物の葉や茎はご存じの通り腐葉土などになって土に還ります。根や固い木なども時間はかかるものの、プラスチックに比べたら断然早く土に還ります。植物由来の物は基本的に分解されやすいからです。

環境にやさしい植木鉢

パルプ繊維でできた育苗ポットやヤシの繊維で作られた植木鉢などが販売されています。耐久性はプラスチック製の鉢と比べると劣るものの、それらは環境に配慮した素材で作られており、かつ、植え替え時にポットを取り去らずにそのまま土にポットごと植え付けられるというメリットもあります。デメリットはカビや苔などの汚れが発生しやすいことと、耐久性がないこと。

植物の繊維を使ったという植木鉢も存在していて、それらは上記のパルプ繊維やヤシ繊維の物よりも高耐久を謳っていたりします。ただ、プラスチック製の物よりは環境にやさしいと思われるものの、価格はプラスチック製の物よりも高価になります。

ヤシ繊維でポットを作りたい

土壌改良材としてヤシ繊維を手に入れたのですが、これを使ってポットが作れないかと考えました。おそらくは細かくしたヤシ繊維に接着剤を混ぜてプレスして作られるのだろうと考えました。

接着剤は食品にも使えると謳うタイトボンドを使おうかとも思ったのですが、もち米粉が大量に余っていたのでそれで米糊(こめのり)を作って、それを使うことにしました。

自作ヤシ繊維ポットの作り方

今回は以下の材料をそろえました。非常にシンプルで、しかも天然素材の物ばかり。そして、土にも還る素材です。

  • ヤシ繊維 適量
  • もち米粉(米糊用) 50g
  • 水(米糊用) 200ml

自作米糊の作り方

もち米で作った米糊
もち米で作った米糊

米糊はうるち米を使った方が接着力が強くなるそうなのですが、もち米粉しか家になかったのでもち米粉で代用しました。

  1. もち米粉50gと水200mlを混ぜ、木べらで混ぜながら火にかける
  2. 混ぜながら火にかけていると固まってくるので、一つにまとまったら極弱火にしてさらに25分混ぜ続ける
  3. 必要量だけを残し、他は粗熱が取れた後にラップで包んで冷凍する
  4. 使用する際は冷凍した米糊の使用する分だけ(今回は1/3程度)を解凍し、水100ml程度を足し、火にかける
  5. 米糊がある程度解けたら裏ごしを2回する
  6. 水と一体化して、木工用ボンドと同じぐらいの粘度になったら完成

自作ヤシ繊維ポットの作り方

どのぐらいのヤシ繊維に対し、どのぐらいの濃度の米糊がどのぐらいの量必要なのか、まったくわからないところからスタートしました。

プラスチック製の器ではさみ、成型したヤシ繊維ポット
プラスチック製の器ではさみ、成型したヤシ繊維ポット
  1. ヤシ繊維(おおよそ茶碗一杯分)と米糊(上記工程で解凍したものの2/3程度)を混ぜる
  2. 型を使ってポットを成型する
  3. 乾燥させて、型を取れば完成
ヤシ繊維に米糊を混ぜてこねているところ
ヤシ繊維に米糊を混ぜてこねているところ

米糊の量は、ヤシ繊維と混ぜたときにヤシ繊維が団子状になる程度の量としました。

成型する際、下側の型は乾燥するまで取りませんが、上から圧迫する方の型は圧迫後にすぐに取ってしまいました。

乾燥具合は色を見ればわかります。米糊を混ぜて成型した直後は湿っている色をしていますが、乾燥すると明るい茶色に変化します。

ポイント

当初、紙製のコップなどを型に使おうかと思っていたのですが、米糊を使う都合上紙製の物ではくっついてしまう可能性があり、プラスチックのものにしました。くっついてしまえばその紙コップを切るなどしなければならず、結局それもゴミになってしまいます。

プラスチックは柔らかいものよりも固いものの方が扱いやすくて良いです。また、あまり深くて手が入りにくい型よりも、広口で少なくとも自分の手が入る型にしないとヤシ繊維を塗り付けていくのが難しいです。

出来上がったもの

ヤシ繊維と米糊で作った育苗ポットの失敗作
ヤシ繊維と米糊で作った育苗ポットの失敗作

出来上がったものは使えそうな部位と、手で持つだけでボロボロと崩れ落ちるところが組み合わさっているようなものになりました。失敗。

次回に向けての反省

次回、また改めて挑戦しようと思っていますが、その時は以下の点に注意しようと思います。

  • 厚みが薄すぎる。5mmぐらいにした方が良い。できるだけ均一にすることも大切。
  • 糊が少なすぎる。もっとふんだんに使った方が良い。それでダメなら米糊の限界?
  • 強く圧迫した方が良い。そのため、型は固くないといけない。
  • 場合によってはもっと粗いヤシ繊維を使った方がよいかも。

最後に

さすがに最初からうまくいくことはありませんでしたが、反省点を踏まえてまた挑戦したいと思います。