梅の種を発芽させる方法 梅の実からベランダで植える&育てる

台湾で梅干しが食べたいけれど、郊外のスーパーでは日本風の梅干しなど売られているわけもなく、結局自分で作ってきたここ数年だったわけですが、なんなら梅の花も観賞したい、梅の木を育てたいということで、ベランダで梅の種から梅の木を育てています。

梅の種まき

2021年に購入した梅
2021年に購入した梅

2021年4月に購入した梅。ここ最近何度か作っていた梅干しを作るのではなく、この年は梅シロップを作ろうということで購入したものでした。それの一部、傷んでいるものを完熟させてから種を取り、梅シロップを作るのみならず、発芽にまでチャレンジしました。無事に発芽して育てば実生の梅の木となります。

種まきと言っても、野菜の種を蒔くように梅の実を土に植えたり梅の種を土に植えたりする感じではなく、いろいろと作業をしての発芽作業となります。

梅の種

生の梅の種
生の梅の種

梅の種は固い殻に包まれています。その固い殻を割ると、小さなアーモンドみたいな仁が出てきます。

この種、仁に特定の作業をした結果、発芽に成功しました。

梅の種の保管

梅も桜や桃と同じバラ科の植物。冬を経験しないと発芽しないとか、いろんなことが言われる種族です。そこで、一部は冷蔵庫へ、一部はそのまま種を割って育てることに。

梅の種は小さなタッパーに湿らせたキッチンペーパーを入れ、それで包んでタッパーの蓋をしていました。液漏れなどはしない程度の密閉具合で、キッチンペーパーが濡れている限り梅の種も濡れている、という状況。これで3か月も冷蔵庫内で放置していると勝手に種が割れて芽が出てきます。自分の経験では、発芽率はかなり良いです。しかし、これは品種などにもよるのかもしれません。

梅の種は発芽するのかしないのかという話をするならば、発芽する、が回答になります。

梅の種の割り方

さて、冷蔵庫に3か月も入れておけば勝手に割れる種ですが、一部は冷蔵保存せず、すぐに硬い種を割って、湿らせたキッチンペーパーで包んで常温に置いておきました。硬い殻は手では割れません。ペンチを使う方法もあるようなのですが、力を入れ過ぎて中身の「仁」も割ってしまいそうだったので、石で叩いて割りました。すると、こちらもすぐに発根し、発芽しました。冷蔵保存しなくても発芽することがわかりました。

しかし、これは硬い殻を先に割っていたから発根・発芽しやすくなっていたのかもしれません。冷蔵庫に入れておけば自然に硬い殻を割って発芽しますが、自然界でここ台湾のように冬でも暖かい環境の場合、もしかしたらその硬い殻を自力で割るまでのことができない可能性があるのかもしれません。

梅の種から発芽させる方法

これらのことから、梅の種を発芽させる方法は少なくとも2種類あります。

梅の種を発芽させる方法の1つ目は、冷蔵保存をするだけ。そうすると3カ月ぐらいで勝手に殻を割って発芽することがあります。

梅の種を発芽させる方法の2つ目は、硬い殻を割り、その中の茶色い薄皮と白い薄皮も剥いて湿らせたキッチンペーパーで包んで常温に置いておくだけ。そうすると根が出て発芽することがあります。

梅の種から発芽した実生苗

梅の苗
梅の苗

桜の場合、接ぎ木苗が一般的なようですが、梅はどうなのでしょう。一般的に種から発芽させて育てる苗を実生苗と呼ぶそうで、今回私が挑戦している梅栽培も実生苗となります。梅の実から育てています。正確には梅の実から取った種から育てています。

冷蔵庫で保管しなかったものも、冷蔵庫で保管したものも、発芽率はかなり高く、10個あったら8個ぐらいは発芽するイメージです。

ちなみに、ベランダに梅が仲間入りしたことで、桜、桃、梅の3種が無事にそろいました。ただ、この小梅も桃も、かなり小さいので油断大敵。今のところ順調に見えますが、今後もよく観察していきたいと思います。なお、この梅は農協の運営するスーパーで買った生梅の種です。

冷蔵保存していた梅の種

冷蔵保存無しの梅(左)、冷蔵保存有りの梅(右)
冷蔵保存無しの梅(左)、冷蔵保存有りの梅×5(右)

ベランダで育てていた梅の木ですが、それと並行して冷蔵庫で保管していた種もどんどん発芽していたので7月ぐらいに冷蔵庫から出し、水耕栽培していました。早いものだと3か月待たなくても発芽してくるんですね。

水耕栽培も2週間ぐらいすると、かなり芽が大きくなり、高さだけならベランダで育てている小梅とそん色ないものも出てきました。葉の大きさや幹の太さはベランダで育てているものの方が立派です。

双葉がついている状態では、双葉から栄養を得ることができるようで、土に植えなくても良いのでは?という浅はかな考えから水耕栽培しているわけですが、そんなに悪い結果になっているとは言えなそうです。それよりも、種を入手してからすぐに割って発芽させたものと、冷蔵庫でしばらく保管して自然に発芽したものでは、前者の方が発芽するのは当然早く、当初は前者の方が成長が速いわけですが、結局のところ冷蔵庫で保管した後者の種も一気に大きくなるので結果的にはそんなに変わらないのかもしれません。もしそうだとしたら、無理して種を割って早め早めで育てる必要もないのかもしれません。

梅の種はいつ植えるのが正解か

梅の種は、固い殻さえ割れば、梅の実が出回る春頃に植えても発芽します。その際、いきなり土に植えるのではなく、まずは湿らせたキッチンペーパーなどで発芽させます。

長い時間待つのも一興かもしれませんが、梅の場合、種を手に入れたら春にそのまま強制的に発芽させるか、冷蔵庫に入れて秋ごろに自発的に発芽するのを待つのが良いと思います。

梅の種まきの方法

春頃に入手した梅の種を湿らせた状態で冷蔵庫に入れておけば秋には発芽します。この際、土は必要ありません。

日本の気候では、春頃に入手した梅の種をそのまま土に植えて、乾燥させすぎないように屋外で管理していると翌年の春に芽を出すと聞きますが、試したことはありません。私はいつも種を入手した年の春や、その後の夏、秋に半強制的に発芽させています。

発芽率

梅の実の発芽
梅の実の発芽

2022年にも梅の実の発芽に挑戦しました。梅は完熟のものを使用。ちょっとカビましたが気にしませんでした。この時は冷蔵庫に入れることなく、室温で青梅を保管し、熟した段階で実を剥き、種の殻を割り、中の茶色い皮もすべて剥き、湿らせたキッチンペーパーで包んでおくだけで発芽成功です。発芽率100%

過去の経験からも、梅を種から発芽させる際の発芽率はかなり高いと感じています。

発芽する梅の種と発芽しない梅の種

「梅干しの種を植えたら発芽した」という話もあるようなのですが、いったいどんな種が発芽して、どんな種が発芽しないのでしょうか。

個人的な考えを述べますと、基本的に未加工の梅から取った種は発芽率が最も高く、加工されればされるほど発芽率は低くなると思っています。

加工には例えば塩漬けにしたり、砂糖漬けにしたり、果実酒(梅酒)にしたり、または火を通すという場合もあると思いますが、いずれも仁がダメになってしまう可能性が高く、発芽する可能性は極端に低くなります。実際、例えば梅干しや梅酒に使われた梅の種は変色していることがあり、それはつまり変質もしていると考えられます。実際、梅酒の種を何個か発芽にトライしましたが、今まで成功確率0%です。漬物なら漬けていた時間、漬け液の濃度なども関係してくると思います。

梅の種の発芽条件

ここまでの経験から、梅が発芽する条件を考えてみると、以下のようなものではないかと思います。

  • 梅が加工されていないこと
  • 発芽温度は5~30℃程度

さらに、何かしらの方法で周りの固い殻を剥いてあげる必要があります。冷蔵庫に入れて休眠打破するというのは、実はじっくりと低温で発芽させることで、周りの固い殻を突き破るためでもあるのかなと個人的には感じています。人工的に殻を割ってあげれば発芽自体はします。休眠打破として低温処理をしていない場合とした場合とでどのような違いが出るか、はっきりとはわかっていません。

梅の実生苗はすべて単胚果から

我が家で育てている梅の木は、すべて単胚の種から生まれた実生苗です。単胚果の場合、基本的に親の性質を引き継がないため、親木が良い木、良い品種でも、まったく同じにはならないと思われます。

日本にいるなら南高梅を手に入れて種から育ててみたいなとも思いますが、種からの場合(これを種子繁殖と言います)、同じものにはならないでしょう。同じものが育てたいなら接ぎ木苗を購入するのが良いと思います。

最後に

梅の実から発芽にチャレンジする場合、冷蔵庫に入れなくても硬い殻を割れば発芽します。しかし、冷蔵庫に入れて発芽を待ち、7月初旬ぐらいまでに取り出せれば8月ぐらいには成長が追いつきます。とはいえ、なんとなく幹は冷蔵庫に入れなかった方が太いようにも見えます。気合い入れるなら全数硬い殻を割って育て始めると良いでしょうし、大量にやるなら冷蔵庫で自然に発芽するのを待っても良いように思います。