以前からりんごの発芽に挑戦し、ベランダで育たないものか試しているのですが、今まで試行錯誤してきたことをここにまとめます。種を見ると発芽させたくなってしまう、私のような方に少しでも役に立てればと思います。なお、筆者は現在台湾に滞在しているので、台湾での環境のお話になります。おそらく沖縄は環境が似ているのではないかと思います。
りんごのベランダ栽培
りんごの木を、種から発芽させて育てています。なかなか難しいもので、枯れては種まきしてを繰り返しておりまして、その中で気が付いたこと、思ったことなどをまとめています。
りんごの発芽
りんごを種から育てる場合、まずは発芽が必要になります。
りんごの発芽自体は何も難しくありません。りんごの種を湿らせたキッチンペーパーで包んでおくと勝手に発芽します。直接土にまいても発芽します。時期的には2月ぐらいなら暑すぎず、良いのではないかと思います。
今、りんごは通年流通しているので、季節にこだわらずキッチンペーパーで一度試してみると良いと思います。
ただ、これは品種にもよるのかもしれません。過去に一切発芽しないこともありました。例えば青りんごのグラニースミスなどは一切発芽せず、富士や王林などはよく発芽しました。
聞けば、低温処理(休眠打破)が必要という意見もあるようです。
りんごの土
りんごはバラ科の植物で、梅や桃などと同じです。水はけがよい土が良いと思われますが、我が家では適当にその辺にあった土に植えています。赤玉土などがあれば赤玉土と腐葉土を混ぜたものが良いのではないかと思っていますが、いかんせん赤玉土は普通の培養土の2~3倍ぐらいの価格のため、自分はその辺の土を使いました。
その辺の土でも発芽はしますし、りんごの木自体は大きくなります。
りんごの病気
発芽してしばらくは元気に育つリンゴも、しばらくすると徒長し始めたり葉が縮れ始めたりします。徒長は日当たりが悪いからではないかと思うのですが、葉が縮れるのは葉巻萎縮病という病気が該当するように思います。我が家のベランダでは高確率でこの葉巻萎縮病にかかります。
葉巻萎縮病は今のところ有効な対策がないようで、発生した枝を切り落とすという対策が取られるのだそうです。ただ、感染した木は感染した枝を切り取っても翌年にはまた別の枝に病状が出現するのだそうです。そして主幹が感染すると木が枯れてしまうこともあるのだそうです。
種から育てる実生苗は病気に弱い
りんごは比較的よく発芽するので「いける!」と思いがちですが、種から育てる実生苗は病気に弱いのか、我が家では大体の苗が病気にかかってしまいます。
そもそも実生苗というのは、りんごに限らず病気には弱い可能性があるのではないかと思っています。
植物には一般的によく採用されている繁殖方法があり、果樹は接ぎ木が多め。病気に強い台木に接ぎ木することで、強い苗を作ることができるそうです。そうやってできた強い苗を手に入れれば収穫も期待できるのではないかと思います。
病気になるリスクが高くてもかまわないという方、そもそも収穫まで行けない可能性もある(むしろ高い)という状況下でも試してみたいという方向けなのがりんごの種まきかと思います。
りんごの害虫
りんごにはハダニ、アザミウマ、ホコリダニのようなダニが付いているのを発見したことがあります。
病気のようになることの多いりんごですが、もしかしたらこういった害虫が付くせいで葉が縮むなどの症状が出ているのかもしれません。特にアザミウマが怪しいと思っています。アザミウマは対策が難しく、常にどこかに隠れている感じです。
いずれにしても害虫はいない方が良いです。各種天然資材を用いた生物系農薬スプレー(唐辛子ニンニクスプレーなど)で対処したりしています。
りんごの日当たり
夏場、ベランダで直射日光が良く当たる(といっても日に4時間ぐらい)場所に設置していたのですが、葉が縮れてきてしまい、日向に置くのはやめました。てっきり葉焼けしたのだと思っていましたが、今考えれば葉巻萎縮病という病気だっただけなのかもしれません。
りんごは比較的冷涼な気候の地域で栽培される果物で、あたたかい台湾では台湾産のりんごを見たことがありません。ギラギラの太陽が熱い熱い光を放っている台湾でりんご栽培するなら、少なくとも強烈な日差しは避けた方が良いようにも思いますが、いまだ実験途中と言った感じです。
りんごを種から育てるのはナンセンス?
以前、日本の農家の方、つまりプロの方から馬鹿にされたことがあります。りんごを種から育てるなんて馬鹿げていると。何も知らない素人はこれだから困る、と言わんばかりでした。いや、考えすぎか。台湾の方(一般の園芸ファン)からも台湾でりんごは無理だろうと言われました。
そもそも果樹は接ぎ木苗の方が一般的。その方が効率も良ければ病気にも強い。だから園芸店で売られている果樹苗は接ぎ木苗が多い。特に品種改良などによって生まれた品種は、そもそも種を守るためには接ぎ木や挿し木以外にはありません。
それは種から発芽させて育てると親の性質を受け継がず、親木にできる果実は品質が高くても、その子木にできる果実の品質も高いとは限らないからです。
ですので、私個人の感覚でも種からりんごの木を育てるのはナンセンスではあります。ただ、種から発芽させると楽しいのです。
果物の種を発芽させるのめちゃ楽しい
もろもろ今までりんごを発芽させたり育てたりしてきた中で感じたこと、発生したことなどを書いてきたのですが、種を発芽させるのは非常に楽しいです。苗を買ってきて育てるのももちろん楽しいのですが、発芽した時はものすごく興奮します。
あまり深いこと考えずに、ただの遊びと割り切って種まきしてみるのも良いと思います。もともと捨てられる種だったらダメで元々、痛手もありません。
最後に
収穫したい方は園芸店で育てる環境に適した苗を、ただ発芽させたい方は食べたりんごの種を蒔いてみると良いと思います。きっとどちらも楽しいです。