家庭菜園の肥料あれこれ 自作にも挑戦!

家で植物を育てていると、必ずと言っていいほど関係してくるのが「肥料」。園芸店やホームセンターを覗くと様々な肥料が売られているように、植物と肥料は切っても切れない関係があります。今回はそんな肥料の話。

肥料とは

肥料と言うのは、いわば植物の栄養的な物。人間だって好きな物だけを漠然と食べていると健康を害してしまったり、正常な発育ができなかったりするように、DNAに埋め込まれた基本的な成長要素とは別に、栄養を摂取していかなければなりません。

そこで人間は肉だけを食べるのではなく、野菜も食べたり、果物も食べたり、海藻やナッツ類を食べたりします。牛乳を飲んだりするのもその一つでしょう。逆にお酒ばかり飲んでいると内臓が疲弊してしまったり、ひどいと病気になったりします。体の中に入れるものは非常に重要です。

植物も同じです。植物も成長に必要な栄養素を取り込む必要があり、一般的には土壌に含まれる成分を根から吸収して植物は大きくなります。大きくなるために必要な要素が足りなければ背丈が大きくならなかったり、根が発達しなかったり、実が出来なかったり、もしくは実が出来ても大きくならなかったり、ということが発生することがあります。そのため、適切に栄養素、つまり肥料を与える必要があるのです。

肥料の3大要素

肥料には基礎となる3つの要素があります。それは窒素、リン酸、カリです。よく、肥料のパッケージに横棒で区切られた3つの数字が書かれています。あれは、それぞれの成分がどの割合で含まれているかを示しています。「16-10-10」などと書かれているのは左から窒素、リン酸、カリのことです。

窒素(N)

窒素は茎や葉の成長を促す効果が期待できるそうです。そのため、葉物野菜や植物の葉や茎を成長させたい時は窒素を中心に配合された肥料が用いられます。

リン酸(P)

リン酸は開花や果実の成長を促す効果が期待できるそうです。そのため、花を咲かせることや果実を収穫することが目的の植物には、適宜リン酸を多く含んだ肥料が用いられます。

カリ/カリウム(K)

カリウムは根っこの成長を促す効果が期待できるそうです。そのため、根菜類などでよく使われるのがこのカリが多く含まれた肥料なんだそうです。

その他の要素(微量要素など)

ほかに、二次要素として消石灰(水酸化カルシウム)や生石灰(酸化カルシウム)に代表されるカルシウム類(Ca)、苦土石灰のマグネシウム(Mg)、硫黄(S)などもあります。

さらに、ホウ素(B)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、塩素(Cl)、ニッケル(Ni)、なども少量ながら必要になることがあり、これらは微量要素などと呼ばれます。

さらにケイ素(Si)、ナトリウム(Na)、コバルト(Co)なども植物にとって良い働きをすることがあるそうです。先ほどの微量要素とこれらの要素は3大要素の数字の後ろに書かれることがあります。例えば「18-18-18+2」という具合です。

3大要素以外の要素はホームセンターで見かけるものもありますが、あまり目にしないものもあります。例えばホウ素などは、我が家の近所で全く見ませんが、ネットでは販売されています。私はホウ素を唐辛子栽培に使用したくて探したことがあったのですが見つからず、その時は微量要素を含む液肥(18-18-18+2)を与えたら唐辛子が元気になりました。「+2」とあるように、含まれていたのはホウ素だけではなく、マグネシウム「1」と配合された微量要素「1」の合計「2」とパッケージには書かれていました。こういうのも結構売られています。

微量要素の欠乏症を疑った我が家の植物たち

微量要素の欠乏が原因かはっきりとはわかりませんが、我が家では以下のような症状が出てきて、微量要素が不足している可能性を疑いました。

  1. ホオズキの新しく出てくる葉が黄色く、大きくならずに落ちてしまう鉄不足の可能性)
  2. ホオズキや桜、桃の葉が、葉脈だけ残して葉(葉脈の間)の色が黄色くなるマンガン不足かマグネシウム不足の可能性)
  3. アメリカンチェリーや唐辛子の新しく出てくる葉が縮れていて、正常に大きくならないホウ素不足かカルシウム不足の可能性)
  4. 桃の葉に、まだら模様に焼けたような跡がある亜鉛不足かモリブデン不足の可能性)

化成肥料と有機肥料

肥料には化成肥料と有機肥料があります。化成肥料は化学の力で精製された肥料で、有機肥料は自然に近い状態の、生成されていない、分解前の状態のものです。

砂糖で例えるなら、化成肥料は生成された白砂糖のようなもので、有機肥料はその原料となるサトウキビの絞り汁といったところでしょう。

化成肥料はピンポイントで最適な栄養素を植物に与えることができますが、その反面肥料が土壌中に残存しやすいというデメリットもあります。

有機肥料は自然界に近い状態の肥料で、様々な成分が含まれているものです。少しずつ分解され、植物が自然に吸収できる形に変わっていきます。速効性は期待できません。

緩効性肥料と速効性肥料

ゆっくりジワジワと長時間かけて植物に聞いてくるのが緩効性肥料。逆に、効果がすぐに表れるのが速効性肥料。私が愛用している液肥は化学肥料で、速効性肥料に該当します。

自作の肥料

肥料はお店で買うこともできますが、自作される方もいます。私も挑戦したりしています。自作する肥料のため当然成分は安定しませんし、効果が感じられないもの、場合によっては逆効果になるものもあったりします。なので、自作の肥料だけに頼るのではなく、やるのであれば、ごくたまに、遊び感覚でやるのが良いと思います。

卵の殻

卵の殻
卵の殻

卵の殻には炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、それからケイ酸、微量要素が含まれています。生卵の殻は菌が付着していることがあるので、私はゆで卵の殻を使うようにしています。

ゆで卵の殻を細かく砕き、それを土の上に乗せるだけです。土に混ぜ込むこともあります。あまり細かくする必要もないようですが、私はあまり見た目が好きではなく、原型がわからなくなるぐらいには細かくしてから散布しています。

コンポストに卵の殻は入れない方が良いと言われることがあります。それは分解速度が遅いからです。また、卵の殻は肥料にならないと言われることがあります。それでも私は経済的にも労力的にも負担は非常に小さいので、たまに与えたりしています。

なお、卵の殻はアルカリ性のため、酸性土壌の中和にも用いられることがあります。

貝の殻

貝の殻の主要成分は炭酸カルシウムです。また、貝の種類によって含まれる成分は異なるようなのですが、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化鉄なども含まれています。それから微量要素も含まれています。

酸性土壌を中和する効果も期待できるそうです。

タンニン鉄

鉄の吸収のためのタンニン鉄。タンニンと言うのはポリフェノールの一種で、お茶類などに含まれる渋味成分です。それと鉄が反応して出来上がるのがタンニン鉄。

鉄は植物の葉緑素の生成を助ける栄養素で、地球上にたくさん鉄は存在しています。しかし、鉄をそのまま吸収することは難しく、植物は有機酸を分泌して三価鉄に変え、さらに酵素の力で二価鉄に変えてようやく吸収できるのだそうです。このタンニン鉄にはその二価鉄が含まれているそうです。

お米のとぎ汁

お米のとぎ汁にはヌカの成分が溶け出ていて、そのヌカには窒素やリン酸、カリなど、多くの成分が含まれています。

とぎ汁をそのまま植物に与える方もいるようですが、発酵させてから与えた方が良いと思われます。ペットボトルにお米のとぎ汁を入れて暖かい場所に数日置いておけば発酵して、蓋を開ける時にはプシュッと音がするようになります。それが発酵が進んでいるサインです。

米食の多い方は毎日のようにとぎ汁が発生しますが、毎日とぎ汁ばかり植物に与え続けるのはあまりよくなさそうです。植物にとって有益な成分もありますが、不要な成分が混ざっているため、与えすぎると逆効果になることもあるそうです。また、とぎ汁を与えたからと言って、一気に元気になるとか、そういうものでもないようです。

最後に

以前、肥料の効果をかなり軽視していた時期がありました。でも、実際に肥料を与えることで植物がてきめんに元気になったのを目の当たりにすると、肥料を甘く見ることはできません。

肥料は買うのが一番良いと思います。その方が確実です。自作も良いですが、肥料を自作するなら遊び感覚、失敗してもともと、効果が無くてもともとぐらいの気持ちが良いと思います。

とはいえ、これがまた本当に楽しいのです。興味ある方はやってみると面白いと思います。

本音を言うと、肥料を与えてから植物に「おいしい?」って聞いてみたいのです、植物が話すわけもなく。もし話せたらなんて答えるんでしょう。