セロリの仲間「キンサイ」を再生させてみた

台湾で七草がゆを作ろうとしたとき、その材料が手に入らず、少し変わった七菜粥というのを作ってみました。その時に購入したセロリの仲間「キンサイ」に成長点があり、それを再生させてみた、という再生栽培の記録です。

再生栽培とは

再生栽培とは文字通り植物を再生させることなのですが、つまるところ、スーパーなどで食材として購入した野菜などの一部を土に戻すか水に浸けておくなどして再生させ、再度収穫したり、グリーンを愛でたりして楽しもうという試み。

リボベジ(リボーンベジタブル)

再生栽培はリボベジ(リボーンベジタブル、reborn vegetables)とも呼ばれ、規模の小さいものだと、誰もがやったことがある(?)キッチンの片隅で水を入れたコップに入れて育てられるネギの根っこ部分なども、このリボベジ、つまり再生栽培された野菜の一種となります。

再生栽培のメリット

再生栽培のメリットは何といっても「楽しみ」です。もしかしたらそのまま生ごみとして廃棄されていたかもしれない野菜の切れ端などが、捨てられずに成長を続け、場合によっては再度収穫できる状態にまで成長するという、ものを育てる楽しみがあります。

楽しみという点においては、例えばキッチンで水耕栽培などをした場合、キッチンにグリーンがあしらわれ、気分的にも良く、植物を愛でる楽しみもあります。

それから、すでに触れていますが収穫することもメリットの一つでしょう。ネギなどは水に浸けておくだけで伸びてきて、適当なサイズまで伸びたら切って料理に入れることもできますし、人参の頭部分も水に浸けておけば葉が出てくるのでそれをスープに入れても良いでしょう。このように、育て方によっては再度なにかしらが収穫できるサイズに成長することもあります。

再生栽培の隠れた楽しみ

究極を言えば、再生を続けることで自給自足、もうスーパーで野菜を買わなくても良くなるのではないかと思われる方もいるかもしれません。実際、再生栽培をする中で種ができ、それを採取できることもあります。そうなると再生させた一株のみならず、種からどんどん増やすことも可能になってきます。

もっとも、そうなった場合はF1種なのか固定種なのかの問題も出てきますし、採種できるまで育たないことも多々あるので、実際のところそれはかなり困難だとは思いますが、それなりの規模を持って実行に移せば、もしかしたらそれが実現できることもあるのかもしれません。

キンサイとは

今回再生栽培にチャレンジしたお野菜は台湾で「芹菜」と呼ばれるもので、日本語にするとセロリの仲間全般を指すようですが、いくつか種類がある中で「キンサイ」と呼ばれるタイプの、比較的小ぶりで葉までおいしく食べられるタイプのようでした。チャイニーズセロリなどとも呼ばれるようです。

キンサイはセロリの仲間のため、香味野菜として料理に重宝します。例えばコンソメスープを作って最後に刻んだキンサイを入れればなんとも香り高いスープとなります。味はパクチーに似ているとも言えますが、パクチーよりも幾分食べやすいように感じます。

キンサイの再生栽培のやり方

最初、料理に使ったキンサイの底部を水に浸けておいたのですが、数日すると根も葉も出てきたので土に植え替えました。

水やりは、根がしっかり張るまでは根腐れに注意しながら、乾燥気味にしていました。根がしっかり張って、根元が安定してきたら少し水の量を増やしました。

キンサイの再生栽培の注意点

キンサイはかなり根腐れしやすいように感じました。セロリは水が多い方が良いらしいのですが、土に移植した当初、水を少しかけただけで一気に元気がなくなり、その後根腐れしたものもあります。そこで根がしっかり張るまでは乾燥気味にしました。根がしっかり張ってからはそんなに神経質になる必要もなさそうですが、それでも比較的乾燥気味に育てています。移植時の水やりは本当に難しいと感じました。

虫はそんなに付いているのを見かけません。ハダニやアブラムシが付いているのを見ましたが、もしかしたら他から飛んできただけなのかもしれません。というのも、ハダニはその後いなくなり、アブラムシに関しては密集して植物の汁を吸う性質があるように思いますが、密集している様子はないからです。比較的これらの虫には強いのではないかと思います。つまり、害虫に関して言えば、育てやすい植物と言えそうです。

キンサイの再生栽培の結果

水やりにちょっと注意が必要かな、とは思いますが、無事に収穫までこぎつけました。コンソメスープに入れると本当においしいです。

さらに、花も咲きました。

最後に

再生栽培の醍醐味は再収穫することではあるのですが、可能であれば種を取りたいといつも思っております。そうすれば翌年に種まきをして、さらに増やすことができるからです。

ベランダで野菜を育てているためそんなにスペースが豊富とは言えず、種を取ったところで全てを使い切ることは難しいでしょうが、なぜか昔から種を取りたくなってしまう癖があります。心の奥底で自給自足へのあこがれがあるのは事実ですので、それが関係しているのかもしれません。

キンサイは日本でも手に入るようです。食べてみて、おいしいと感じたなら再生栽培にチャレンジしてみるのも良いかもしれません。今回私が挑戦したのは成長点がついたまま売られていたもので、売られ方によっては発根しない場合もあるかもしれません。それでも試してみる価値はあろうかと思います。