そこかしこから生えてくるアコウを鉢植えにしたりして観賞しているのですが、今回は盆栽風にしたアコウのお話です。
目次
勝手に生えてくるアコウ
台湾で生活していると、自宅マンションのタイルの隙間からも、屋上からも、さらに鉢植の中からもアコウなどのフィカス属の植物が生えてくることが良くあります。
事実、ベランダの排水溝から生えているアコウを鉢植えにしたことが二回あります。
ガジュマルも生えてくる
我が家のベランダにはガジュマルのようなものも生えてきます。ガジュマルとアコウでは、ガジュマルの方が葉が丸いのと、ガジュマルの葉の方が若干肉厚でプリッとしていて光沢も強いように思います。
また、アコウと違ってガジュマルは根がぷっくりと丸くなってくることが多いように思います。
ガジュマルの方を盆栽風にしても良いのですが、今回のアコウもなかなかに面白い形をしているのでアコウを使って盆栽づくりに挑戦しています。
マンションでアコウやガジュマルが生えてくる理由
アコウやガジュマルは同じフィカス属の植物で、フィカス属は別名イチジク属とも呼ばれています。属名からもわかるようにアコウやガジュマルにはイチジクに似た小さな実(花序)ができます。その実(花序)を鳥などが食べて、その鳥がマンションにやってきて糞をし、そこから発芽したのではないかと思っています。
最近ナナフシの卵も神戸大の研究チームが遺伝子の情報から鳥の糞を介して生息地域を広げている可能性があるということを発表していましたね。実際こういう方法で生息地域を広げている虫や植物は多そうです。
アコウで挑戦する盆栽
今までも勝手に生えてくるアコウを使って鉢植えなどに挑戦したこともありましたが、今回は盆栽に挑戦した話です。
これまで盆栽っぽいものに挑戦したことがないわけではないのですが、決して経験豊富というわけではありません。見よう見まねで挑戦した記録になります。
アコウの苗
今回使用したアコウの苗は、今まで同様、自宅マンションに勝手に生えてきていたアコウをタイルから削り取ったものでした。タイルの小さな隙間に種が落ち、そこで発芽し、少しずつそのタイルの目地などに根を張り、浸食していくアコウは早々に除去する必要があります。
そうやって除去したアコウの苗を使って盆栽に挑戦しました。
マイナスドライバーで削り取った苗なので根などはありませんでした。しかもいびつな形をしています。根っこが完全にない状態で大丈夫なのかと思われる方もいるかもしれませんが、アコウの生命力は半端なく、このまま土に入れておけば根が張るだろうと考えました。そしてやはり根が生えてきて今に至ります。
アコウの根出し
根のないアコウの苗に根を出させるために、幹の部分の一部を土に埋めておきました。すると一か月ちょっとで根が出てきました。根さえ出てくれば無事に育ってくれるだろうと考え、盆栽用の鉢に植え替えることにしました。
なお、根だけでなく、茎も伸びて葉もいくつか出てきていました。
食器で盆栽鉢
アコウを盆栽にするにあたり、食器を盆栽鉢にすることにしました。小さな器を水を張った大きな桶に沈め、千枚通しを穴を開けたい位置に押し当て、トンカチで叩くと穴が開きます。
そこに赤玉土を使って根が出たアコウを植え付けました。苔も少しだけ乗せたりしました。
作成後の盆栽
盆栽を作った後、何をすればよいのか、日常の世話がわからずにいました。とりあえず伸びてくる枝を切ってみたりはしたのですが、それだけでは思うような樹形になるわけでもなく。
ただ、大きくもしたくなかったので剪定を繰り返していました。
樹形のイメージが大切
実際に盆栽を作ってみて思ったのは、何も考えずに剪定をしていては良い樹形にならないということでした。
どのような樹形にしたいかイメージし、その樹形を実現するにはどこをどのタイミングで切れば良いか、またどこを切らずに残すべきかを考える必要があります。
また、必要に応じて針金で樹形を整えることも必要でしょう。アコウは弾力のある木なので、特に若いうちは曲げやすいと思われます。
それで、じゃあ私はどんな樹形にしたいのかというと、当初考えていたのは筏吹き(いかだぶき)/筏作り(いかだづくり)という樹形で、横倒しになった幹から複数の枝が上に立ち上がったような樹形です。もともと幹が変則的な形をしていたこともあり、筏吹きにできるかなと考えたのですが、思ったよりも枝が出ず、どうにも筏吹きとは呼びがたい感じになっております。
放置したアコウの盆栽
2023年2月の剪定を最後に、水やり以外何もせずに放置したアコウは、小さいながらも着実に成長していたのがわかるサイズになっていました。
葉は大きくなり、色も濃くなったのがわかります。しかし、やはり基部となる幹からは一本しか枝が出ず、どうにも思った樹形とは程遠い見た目になってしまっています。
根は以前よりも多く出てきているのでむしろそれを活かした形に植え替えるという方法もあるかもしれません。ちょうど四角い鉢があるのでそれに植え替えることにしましょうか。なお、苔は早々にダメになっていました。
最後に
盆栽は樹形のイメージとお世話の仕方が非常に重要なんだと身にしみて感じました。水やりをするときも土が流れないようにやさしくやる必要があります。
アコウの筏吹きを作るために、今後剪定や植え替えなど、できることをやってみようと思います。