食べた人参のヘタを再生させて種を取ってみた

何度となく人参の再生栽培に挑戦してきてようやく種を取ることができたのでそこまでのことを書き記します。

人参の再生栽培

人参の再生栽培
人参の再生栽培

人参の再生栽培と聞いてまっさきに思い浮かべるのは人参の葉をパセリのようにして食べる方法ではないでしょうか。

事実、人参は頭の部分(いわゆるヘタの部分。切れ端とも呼ばれます)を水に浸けておくことで葉の部分が再生し、葉の部分を収穫することができます。

しかし、私が今回挑戦したのは葉の収穫ではなく、種の収穫です。結論を言うと、無事に種を取ることに成功しました。

種を取ることを再生栽培と言って良いのかは定かではありませんが、とにもかくにも捨てられる運命だった人参の頭部分を再生させて種を取ることができました。

失敗例

人参は再生できます。しかし、失敗したことも一回ではありません。

人参の再生栽培に失敗するときは決まって人参部分が腐敗してしまいます。水耕栽培をしたときも、土に直接植えたときも、結局は地中部分が腐りダメになってしまいました。

逆を言うと、この腐敗さえ起こさせなければ人参は再生できる可能性が高くなります。人参を再生させたいと思ったら、まずはオレンジの人参の根の部分を腐らせないことを心がけましょう。

なお、ここで言う再生は人参の根の部分の再生ではなく、地上部のことを言います。

人参を再生できる回数

人参は根の部分ではなく葉の部分の再生が一般的です。葉の部分の再生であれば、おおむね1回が限度でしょう。過去に二回以上収穫できたことはありません。根が腐るからです。

しかし、種を取るところまでできれば、その種からさらに新しい人参を育てられると考えました。それが今回のテーマです。

ヘタを育てる

人参を再生させます。再生栽培はリボベジ(リボーン・ベジタブル)とも呼ばれます。リボベジはキッチンで簡単に行う場合もあれば、本格的に土に植えて再生させる場合もあります。

今回のテーマは人参の再生栽培です。人参はヘタの部分を水に浸けておくだけで葉が伸びてきます。しかし、そのやり方では次第に根の部分が腐っていってしまいます。少なくとも私の場合、腐ることが100%でした。

種を取るまで再生させるにはしっかりとした新しい根を出させる必要があります。つまり、新しい根を出せばよいわけです。

腐らせず根を出す

根が出た人参
根が出た人参

人参を再生させる場合、根は切り口からではなく、側面にあるくぼみのような場所から出てきます。ビニール袋に入れて冷蔵庫に保管しておくだけで根が出てくることもあります。しかしそれはそこに水分が十分にある時だけに限られているようです。

そこで、切った人参のヘタを直接水に浸けるのではなく、側面だけが湿るようにキッチンペーパーを被せ、そのキッチンペーパーの先が水に浸るようにしました

キッチンペーパーが湿っているため側面からの発根が期待できます。そのまま水耕栽培で側面から出た根が5cmぐらいになるまで伸ばし、土に植え替えました。

この時、根があまりに短いと失敗の原因になると考えました。一定程度長くなってからの方が安定して根を張ってくれるものと思われます。

実際、しっかり発根させないまま直接土に植え付けたときは、最初はうまく育ったものの、結局腐って枯れてしまいました。

そのため、人参の再生栽培においては、最初は水耕栽培でスタートし、根がしっかり伸びてきてから土栽培に切り替えるのが良いのではないかと思います。

植え付け場所

人参の再生栽培
人参の再生栽培

今回は専用の鉢を用意せず、最初は室内で根を出させ、その後一時的に育苗ポットに植え付け、そして花壇の空いたスペースに植え替えました。土は使い古しの培養土です。

水やり

収穫できそうなぐらい葉が茂ってきた再生人参
収穫できそうなぐらい葉が茂ってきた再生人参

植え付け直後は乾燥しすぎないようにしっかりと水やりをしていました。挑戦したのが7月からで、真夏の時期になりましたが、毎日1回程度の水やりで問題ありませんでした。

設置場所の環境や土の種類などにもよって適切な水やり頻度は異なります。植物の様子、土の様子をよく見ながら水やりをすると良いと思います。

1ヶ月で蕾発生

再生人参にできた蕾
再生人参にできた蕾

植え付けてから1ヶ月で蕾が発生しました。

通常、人参の再生栽培では蕾が付く前に葉が茂った段階で葉を収穫して食べます。しかし今回は種を取ることを目的としているため葉は取らず、蕾を育て続けることにしました。

開花

人参の開花
人参の開花

蕾発生から約半月後に開花しました。一見すると白とも緑とも取れるような花です。小さな花が無数に密集して咲きます。

種発生

再生人参にできた種
再生人参にできた種

開花から1ヶ月ほど経つと種のようなものがそれぞれの花の下にでき始めます。この段階で一部の種を取ってみましたが、焦ってこの段階の種を取るよりも、株全体が茶色く枯れてから取った方がしっかりした種になるのではないかと思います。

早期に取った人参の種
早期に取った人参の種

そのまま放置していたものはその後2か月経ってようやく茶色くなってきました。つまり、それまでの期間は種に栄養を蓄えて成熟させていたのではないかと思います。成熟する前に取ってしまっては発芽率にも影響がありそうです。

人参の種

人参の種
人参の種

人参の種はトゲトゲに覆われています。人参は花も種も見たことがなかったので非常に新鮮で、楽しく育てることができました。

摘花

ものすごく大量に花が咲くため、いくらか摘花もしました。栄養を一部の花に集中させ、立派な種を取るためです。

ただ、後になって思ったのですが、摘花しても次から次へと花が咲くのでイタチごっこのようになってしまい、あまり意味はなかったかもしれません。

面白いのは、種ができ始めると新しい葉が出てこなくなり、出てくる芽はすべて花芽になることです。葉は出ずに花ばかりが咲きます。

最後に

今回、無事に種を取ることができました。この種が発芽するかまではまだ試していませんが、人参の再生栽培で種まで取れることはわかりました。

今後、今回取れた種を使って発芽の実験も行っていきたいと思っています。