台湾で使われる言葉は台湾語なのか中国語なのか

感染症の流行前、台湾と言えば人気の旅行地の一つでした。また海外旅行できるようになったら台湾に行ってみようかな、などと考えている方もいるのではないかと思いますが、さて、台湾は一体何語を使えば良いのでしょうか。今回は台湾で使われる言葉についてまとめました。

台湾で使われる言葉

台湾で使われる言葉は中国語です。台湾で使われる中国語は台湾華語、華語、国語などと呼ばれます。公用語は中国語です。

中国大陸で使われる中国語は普通話や北京語と呼ばれますが、あまり台湾でこの呼称を聞くことはありません。基本的にそれほど遠いものではなく、例えば日本語の「こんにちは」に相当するのは「你好(ニーハオ)」で、これは台湾の中国語でも中国大陸の中国語でも共通しています。

また、台湾には台湾語と呼ばれる言葉もあって、年配の方や台湾南部の方は台湾語を使う場合もあります。中国語と台湾語は違います。

台湾語は閩南語

台湾語は台湾では閩南語と呼ばれ、台湾や中国大陸の福建省の辺りの方が使われる、いわゆる方言です。台湾には閩南人の方と客家人の方、それから原住民の方がいて、閩南人の方が使われるのが閩南語、そして閩南人が多いこともあって閩南語を台湾語と呼ぶようです。

客家人の団体が客家語も台湾を代表する言葉だから台湾語だと主張されていますが、一般的に台湾語と言うと閩南語を指すようです。なお、閩南語で「こんにちは」は「りーほう」という感じの音になります。また、台湾語と一口に言っても、地域によって、例えば西部と東部では微妙に違ったりするそうです。

台湾語は特に家庭で使われますが、最近では子供たちに学校で台湾語として閩南語を教えることもあります。

簡単な台湾の言葉

旅行の時に使えそうな、簡単な言葉を並べておきます。

  • 「おはよう」は台湾語で「がおざー」、中国語なら「ざおあん」です。
  • 「こんにちは」は台湾語で「りーほう」、中国語なら「にーはお」です。
  • 「ありがとう」は台湾語で「どおしゃー」、中国語なら「しえしえ」です。

個人的には中国語の方を覚えておけば問題ないと思います。

台湾の中国語と中国大陸の中国語

台湾の中国語と中国大陸の中国語は基本的に近いものです。しかしながら、発音の習慣が若干異なり、イメージとしては台湾の方はあまり舌を巻かずに発音しますが、中国大陸の方は舌を巻いた音をよく発します。そのため、音を聞けば台湾の方なのかそうでないのかはすぐにわかります。

また、台湾の中国語は繁体字と呼ばれる、いわゆる旧字体の漢字が使われるのに対し、中国大陸の中国語では簡体字と呼ばれる、旧字体を簡略化した字が使われます。例えば日本語の「実」という漢字は繁体字では「實」となりますが、簡体字では「实」となります。

台湾では日本語が通じるのか

台湾の方の中には日本語をある程度理解できる方がいます。その理由は4つあります。

1つ目の理由は、歴史的な背景によるもので、特に終戦前に生まれ、日本語を学校で学んだ方はかなり自然に日本語が話せるケースがあります。ただ、終戦前生まれのため、現在はかなりの高齢となります。

2つ目の理由は、全世界の日本語学習者の多い国、地域の中で、台湾はかなり上位に位置するほど日本語学習者が多く、若者の中にも日本語を学んだ方が一定数いるからです。

3つ目の理由は、日本のアニメやゲームなどに影響を受けた方が、学んだわけでもないのに何度も見聞きするうちにいくつかの単語を覚えたというケースがあります。

4つ目の理由は、台湾語の中に日本語が外来語のように残っているケースがあり、アクセントなどは微妙に違えど、それっぽい単語を知っている方が一定数いるからです。

さて、これら4つの理由により台湾では日本語がある程度理解できる方もいますが、日本語が通じるかというと、それは相手によるというのが答えになります。高齢でも終戦後に台湾に渡ってきた方はもちろん日本語を話せませんし、日本語を勉強していない方もいます。日本のアニメやゲームに興味のない方もいるし、台湾語を話さない方もいます。

原住民の言葉

台湾には大多数を占める閩南人の方、そして客家人の方のほかに、原住民の方も多く暮らしています。

原住民の方はそれぞれに独自の言語体系を有しており、それらは中国語や台湾語とは異なります。原住民の方は家庭で原住民の言葉を話していることも多くあり、そのためか中国語に独特の訛りがあることがあります。そのため、原住民の方は外見的な特徴も言語的な特徴も閩南人や客家人とは異なります。

また、原住民の方は中国語の名前以外に、原住民名というのを持っているケースがあります。

最後に

台湾では中国語、台湾語、それから原住民の言葉が使われます。これらの中で一番広く使われるのは中国語と考えて大丈夫です。南部は生活の中で台湾語を使うことが多いですが、中国語が通じない方は極々稀だと考えて良いです。

なお、台湾にある、外国人向けの語学学校では一般的に中国語を教えられます。その時は華語という表現が多く、例えば「華語センター」や「国語センター」などと言われたりします。

旅行や留学などの参考にしていただければと思います。