意外と簡単!梅の接ぎ木に成功したので実践した方法を書いていく

以前から接ぎ木に興味があり、この度、梅の接ぎ木に成功したので何をしたのかをここに記録しておきます。

梅を増やす方法

植物を増やす方法はいくつかあります。まず、種を使って増やす方法、そして枝などから発根させる挿し木で増やす方法、そして今回挑戦した木の幹に枝を接ぐ形で増やす接ぎ木です。

種、挿し木、接ぎ木とそれぞれ経験してきましたが、最も効率的でかつ簡単、しかも成功率が高くて実用的なのは接ぎ木だと感じております。

種から育てる梅は時間がかかる

梅の木は生の梅から取った種なら発芽して育てることもできます。しかし、梅に限らず種から育てると開花・結実までに非常に長い時間がかかってしまい、しかも親の性質を受け継がないことが一般的なためどんな梅の花が咲き、どんな実ができるか、または全く咲かずに実もできないかなど、まったく先が読めません。病気に弱い個体となってしまうことも考えられます。

そのため、種から育てるのは完全に趣味の領域となります。商業目的ではまずありえないでしょう。もっとも、私は趣味なので種からも育てております。

梅の挿し木は発根率がよくなかった

挿し木にも何度となく挑戦してきました。しかし、梅の挿し木に成功したことはありません。全く発根しないのです。

これは方法が良くないとか、品種的に難しいとか、時期が悪かったとか、いろんな要素が絡んでいるとは思うのですが、ここまでの経験から梅の挿し木は発根率がよくないと考えております。

特に後述する接ぎ木がほぼすべて成功してしまったため、挿し木については非効率であると感じています。

梅の接ぎ木はすべて成功

実生梅に接ぎ木(切り接ぎ)した杏梅の穂木
実生梅に接ぎ木(切り接ぎ)した杏梅の穂木

梅の接ぎ木をするのは初めてでした。なぜ突然梅の接ぎ木をしたかというと、杏梅の穂木を手に入れたからです。

杏梅は杏(あんず)と梅が交配してできた植物で、性質的には少し大きな梅といった感じで、梅のような酸味が少ないのが特徴なのだそうです。私も実際には食べたことがありません。

調べてみると、日本にも杏梅はあるようで、例えば豊後とか、梅干しで有名な南高梅も杏との交配種なのだそうです。

私は日本の南高梅を使った梅干しが大好きで、子供のころからよく食べていました。今回入手した杏梅がどのような実をつけるかはわかりませんが、ワクワクドキドキで、やったことのない梅の接ぎ木に挑戦しました。

そして結果はすべて成功しました。接ぎ木の成功率ってめちゃめちゃ高いかも。

接ぎ木に挑戦した2月

穂木を手に入れたのは2月上旬で、すぐに接ぎ木作業をしました。

今回は胴接ぎと切り接ぎに挑戦しましたが、いずれも成功しました

接ぎ木の台木は実生の梅の木

今までベランダで種から梅の木を育てていました。いわゆる実生の梅の木です。台湾で購入した生の青梅を発芽させて育てていたものです。

我が家には大小2つの実生梅の木があり、そのどちらにも接ぎ木しました。なお、大きい方で三年目の梅の木です。大きい方は胴接ぎ、小さい方は切り接ぎとしました。

ちなみに他にも一つ、購入した胭脂梅という品種の梅の木があり、それにも胴接ぎしましたが、それも成功しました。

今回は主に実生梅に接ぎ木した杏梅について書いていきます。

胴接ぎに挑戦した杏梅

実生梅に杏梅の穂木を接ぎ木(胴接ぎ)した状態
実生梅に杏梅の穂木を接ぎ木(胴接ぎ)した状態

胴接ぎは我が家のベランダで種から育てている梅の木の中で最も大きい梅の木に接ぎました。手順は以下の通りです。

  1. 2cm程度で芽の付いた穂木を用意する
  2. 穂木の芽が付いていない側の皮を1cmほど削り、反対は鈍角に切り取る
  3. 台木側は1cmほど上から下に向かって胴に切り込みを入れる
  4. 台木と穂木を密着させ、ビニールテープで強く縛り付ける

作業自体は簡単でしたが、今回、以下のポイントに気を付けました。

  • よく切れる刃物で切り込みを入れる
  • できるだけ密着部分に隙間ができないようにする
  • 形成層が確実に密着するようにする

これらを意識しながら接ぎ木をしましたが、結果は大成功。

胴接ぎの場合、もともとの台木の枝もたくさん残っているのでそれらも成長を続けています。

切り接ぎに挑戦した杏梅

実生梅に杏梅の穂木を接ぎ木(切り接ぎ)した状態
実生梅に杏梅の穂木を接ぎ木(切り接ぎ)した状態

切り接ぎは予備で育てていた実生の梅の木に対して行いました。作業はおおむね胴接ぎと同じですが、胴接ぎとは接ぐ位置が異なり、まず台木を短く横向きに切ってしまい、その切り口に縦に切れ目を入れ、そこに穂木を差し込みます。

台木に切り込みを入れる際、やはり形成層が穂木と合うように注意しました。

切り接ぎの場合、台木を短く切ってしまったので、基本的に成長しているのは杏梅の部分(穂木の部分)だけになり、台木から新芽が出てきたら適宜取るようにして上部の杏梅だけを育てます。

梅に杏梅を接ぎ木できるの?

そういえば、梅と杏梅は厳密には違う植物なのですが、接ぎ木はできるのでしょうか。

梅と杏梅という組み合わせではないものの、ネットで調べると近縁種の場合成功することもあるようで、また、種として遠くなればなるほど成功率は下がるようです。例えば桃にスモモを接ぎ木する場合、成功しやすい組み合わせとそうでない組み合わせがあり、それは品種によって異なるのだそうです。相性があるんですね。

接ぎ木してしばらく、なんとなく穂木も成長して、大きくなっていってもしばらくすると枯れてしまうなどということもあるようで、最初に穂木から芽が生長し始めても安心はできないようです。

接ぎ木をするとき、接ぎ木の相性までは考えていませんでしたが、本記事執筆時点では問題なく育っているようです。

最後に

今回、実は合計四か所接ぎ木をして、すべて成功しました。その中の一つは事情があって(誤って鉢が倒れたため)折れてしまいましたが、基本的にすべて成功です。

梅の接ぎ木は成功率が高かったです。

現在、我が家のベランダには実生の梅、接ぎ木した杏梅、購入した胭脂梅があり、それぞれを楽しみながら育てています。今後花が咲くのを期待しております。