長年使ってきた辞書が壊れてしまったので自分で修理した記録です。
目次
珍しい?紙の辞書
外国語の学習などでよく使われる辞書。最近は電子辞書やアプリが主流なのでしょうか。紙の辞書にこだわりがあるわけではなく、昔から使用しているだけなのですが、我が家にはいくつかの紙の辞書があります。
台湾に住んでいるので中国語関連の辞書がいくつか、それからたまに副業で日本語を教えることもあるのでそれに使える辞書もいくつか。
一応電子辞書も持ってはいるのですが、なにぶん20年以上前の電子辞書のため、紙の方が使い勝手が良かったりします。
とはいえ、最近はなんでもアプリになっていて、ゆくゆくはアプリの辞書を購入したいと考えています。アプリに対応していないものは紙の辞書を購入します。
背表紙は取れやすい
辞書に限らず、本は長年使っていると背表紙が取れてしまったりします。辞書にもよりますが、背表紙と本の本体が接合している部分はわずかな範囲であることもあり、長年使用することでそこに負荷がかかり続け、しまいには剥がれてしまうという現象が起こるようです。
背表紙がなくてもすぐに困ることはありません。でも、本の構造上、ページ1枚1枚が取れやすくなってしまいますし、一番外側になる部分が汚れやすく、また傷みやすくなります。
そのため、背表紙はあった方が良いです。
背表紙の修理
本を修理するにあたり、必要な物をそろえ、構造をよく確認しながら作業をしました。
必要な物
本の修理に必要な物は接着剤です。固くなってしまう接着剤よりも乾燥後もそれなりに弾力性のある接着剤の方が適していると思います。
私はタイミングよくタイトボンド3という米国の木工用ボンドを入手したばかりだったので、それを使いました。コニシのボンドがある方はそれでも良いと思います。コニシのボンドの方がタイトボンド3より乾燥後に弾力があって良いように思いますが、タイトボンド3でも十分な成果を得られました。
接着剤のほかに必要なのは、厚紙です。本の構造にもよるでしょうが、私が修理する辞書は、本体部分の周りに厚紙が貼り付けてあり、その周りに背表紙が付いている構造でした。今回剥がれてしまったのはこの厚紙と本体の部分です。背表紙に厚紙は張り付いたままでした。弱かったのはこの厚紙と本体の接着でした。
厚紙は色と厚みを確認し、文房具屋で買ってきました。全く同じものではありませんが、十分に使えるものでした。
修理の方法
実際に行った修理の手順を以下に記します。
本の構造の確認
本の構造を理解していないことには修理はできません。まずは修理対象の辞書がもともとどうなっていたのかを調べてみることにしました。
今回修理する辞書は本体部分が薄い紙で約1600ページ分(800枚)が束ねられています。そしてその周りに厚紙がおられた状態で貼られており、そのさらに外を背表紙が覆っている構造になっていました。
なお、本体は背の部分に網がついており、それが本の1ページ1ページをつなぐ役割を担っていることもわかりました。その網も接着剤で本体の背の部分と接着しているものの、背表紙がない状態で強く開いてしまうと簡単に落丁しそうです。そして網のさらに外側には薄い紙も貼られていて網が露出しないようになっていました。
背表紙と本体の背は接着されておらず、空間が残されている様子でした。接着した跡ももありませんでした。
剥がれた場所
剥がれた場所は厚紙に近い本体の数ページです。そこが剥がれると構造上背表紙も剥がれてしまい、背表紙側に本体の一部がくっついた状態になってしまいます。イメージで書くと以下のような2つのパーツに分かれたことになります。
- 背表紙+厚紙+本体上部5ページ分+本体下部5ページ分
- 本体(上下各5ページを除く)
まずは剥がれてしまった本体上下の各5ページ分を厚紙から剥がしましたが、片方が剥がせなかったのでページのサイズが小さくならないようにカッターで厚紙の方を少しだけ切って取り外しました。
なお、厚紙にくっついていたはずの網も簡単に剥がれ落ちていました。
厚紙を背表紙から剥がす
剥がれてしまった本体上下各5ページ分を取り去った後、背表紙にしっかりと接着されている厚紙を背表紙から剥がしました。
しかし、厚紙はしっかりと接着されており、簡単には剥がれませんでした。そこで、いずれにしてもここは外からは見えないと判断し、剥がせる部分だけにして、多少剥がれない部分があっても良しとしました。
再接着
まず、本体から剥がれ落ちてしまっていた5ページ分と、辞書のサイズに合わせて切った厚紙を半分に折ったものの一部分だけ、幅にすると5mm程度を接着しました。
それが乾いたらその「5ページ分+厚紙」を本体に合わせ、背の部分にあるネットを厚紙の外側に接着するのですが、そのままで接着が困難だったため、クッキングシートを1cmぐらいの幅に切ったものを作り、それを被せる形で接着しました。
この作業を上下とも行い、まずは本体+厚紙の部分を完成させました。なお、接着する際には上から重しを乗せて接着させました。
そして、それが乾いたら、背表紙と本体を接着し、また重しを乗せてしばらく乾燥させたら完成です。なお、接着する時間は使用する接着剤によって異なると思いますが、タイトボンド3を使用した私は正味2日ぐらいは乾燥させました。
これで修理完了です。
最後に
辞書の修理は手間がかかります。ですが、修理が完了するとうれしいものでもあります。これでこの辞書も継続して使用することができそうです。