【梅仕事2023】その梅で梅シロップや梅干しを作ったら苦くなりませんか? 梅仕事は梅の成熟度が超大切!

何も知らない状態から台湾で梅干しや梅シロップを作り始めて早数年。最近ようやく梅の成熟度が非常に大事だということに気が付かされました。

梅仕事で失敗しないために、今まで経験して学んだことを以下に書き記しておきます。同じ梅仕事愛好者の方のお役に立てますと幸いです。

梅の実は成熟度が大事

スーパーなどで売られている梅は、シーズンが始まったころは緑色のものが多く、終盤にかけて黄色が混ざっていたりすることと思います。梅仕事を始めたころはどれも一緒でしょ?と思っていましたが、まったく違うということに最近になって気が付きました。

成熟度と適した加工品

梅の実は成熟度がいくつかのレベルにわかれます。そしてその成熟度に応じて適した梅の加工品が異なります。例えば台湾の梅シーズンを元に記すと以下の通り。

  1. 清明節前の梅(成熟度50-70%):梅酒、台湾の脆梅
  2. 清明節後の梅(成熟度70-80%):梅酒、梅シロップ、台湾のQ梅
  3. 4/20以降の梅(成熟度80-100%):梅酒、梅シロップ、梅ジャム、梅干し

梅酒は青梅も完熟梅も可

梅酒を作る場合、青梅でも完熟梅でも作れるそうですが、青梅を使うと若い味、完熟梅を使うと濃厚な味になるそうです。ただ、完熟梅を使うと濁りやすかったり、発酵しやすかったりするという注意点もあるようです。これは梅シロップにも言えることのようです。

梅は成熟度70%ぐらいまでは渋味と酸味が強いという特徴があり、成熟度が高くなるにつれて渋味と酸味が弱くなり、逆に甘味が出てきます。台湾では脆梅やQ梅を作る際に殺青という渋抜き作業をしますが、その他の梅酒などを作る時には殺青をしません。おそらく不要なのでしょう。

なぜ成熟度によって適した加工品が異なるのか

どう分けているのか考えたのですが、青梅を使った加工品で、かつ実を食すようなケースでは殺青をするようです。逆に実を食さない場合は殺青はしません。特に酒で漬けこんだり発酵させたりする加工品の場合、殺青はしないようです。つまり、渋抜きが必要になるのは、青梅を使っているケースで、その中でも実を食べるケースに限るようです。

なお、酒で漬け込む場合と発酵させる場合は殺青をしないと書きましたが、砂糖で漬け込む場合は渋味の分解が進みにくいのか、梅シロップは実を食べるわけではないのに、成熟度50-70%の梅では作らないようです。

台湾の場合清明節前後で変わる青梅

清明節は毎年日付が異なりますが、大体4月の4日~6日のいずれかの日になることが多いようです。はっきりしない理由は旧暦を参照しているためで、同じく旧暦を参照している二十四節気にも清明はあります。

梅が市場に並ぶのは台湾では3月末から一か月程度。日本よりも早いのではないかと思います。確かに清明節後は黄色い梅が混じっているのが売られています。

日本でも梅シーズンに照らし合わせて梅の成熟度の目安にできるのではないかと思います。最初の10日ぐらいはかなり若い梅(成熟度50-70%)で、その次の10日間は多少熟してきた梅(成熟度70-80%)、そしてさらに10日経った終盤はかなり熟した梅(成熟度80-100%)となるようです。

一つ疑問なのは、梅の実の熟し具合は梅の実一つ一つで異なるはずで、となると、早くに結実したものは早く熟すし、遅くに結実したものは熟すのも遅くなります。となると、色でも変わらない限り成熟具合は農家さんのさじ加減によって異なるように思うのです。成熟度50%だったら青海の強い緑色で、成熟度70%ぐらいになると若干黄緑になると言われたりしますが、その差を見極めるのは素人にはなかなか難しかったりします。PANTONEの色見本でも置いておいていただければよいのですが。

追熟の限界

追熟してシワシワになってしまった梅の実
追熟してシワシワになってしまった梅の実(この状態でも食べたら苦かったです)

例えば購入した梅が成熟度50%ぐらいだったとしても、追熟すればいいじゃないかと以前は考えていましたが、ここ数年の経験から、追熟にも限界があると感じています。

あまりにも若い梅を追熟させるために部屋に放置していても、確かに熟しては行きますが、同時に水分も抜けるし、ものによっては傷んでいきます。そのため、黄色くなる前にシワシワになったり、黄色くはなってもシワシワだったり、物によってはカビが生えたり黒ずんできたりします。

なお、上記の方法でかなり若い梅の実を黄色くなるまで追熟させたものを、少しだけそのままかじってみたのですが、まだ苦味が強かったです。つまり、あまりにも若い梅の実は、黄色くなったところで苦味が完全に消えない場合があるということのようです。

そのため、例えば梅干しのように完熟梅を使いたい場合は、可能な限り木の上で成熟した梅を使う方が良いと思います。つまり、梅が市場に並び始めた頃に買うよりも、しばらく経ってから購入した方が良いということになります。

果物は木の上で熟した方が甘いと言われることがありますが、まさにその通りなんだろうなと感じています。

最後に

売っている梅が緑なら、いつ買おうが同じでしょという考えは甘かったようです。目的に応じた成熟度の梅を、適切な時期に購入することが大切だと思い知らされました。