私たちのパンはもう買わないで!って台湾全聯の店員が言った理由

台湾のスーパー「全聯」で売られている「阪急ベーカリー」名義のパンなのですが、つい半月ほど前に全聯の店員が「もうコーヒーとパンは買わないで!」と呼びかけたことがネットニュースになっていました。

全聯とはどんなスーパーなのか

全聯は台湾のほぼ全域にわたって展開しているスーパーマーケットです。台北にも台中にも、台南や東海岸にも出店しています。もはや台湾の方なら知らない人はいないであろうほどの規模のスーパーマーケットです。

福利熊という独自のキャラクターやオリジナルソング、オリジナルスマホアプリなども備えた、大手スーパーの一つと言えます。

売られているものは野菜や肉、魚、それから缶詰やジュースなどのいわゆる食料品からラップやシャツ、ティッシュなどの生活用品なども揃うお店です。高級店ではありません。庶民的なお店です。

私自身、月に何度も全聯に行っていますし、生活をするのになくてはならないお店の一つとなっています。

全聯の読み方

日本語では「ゼンレン」と読めますが、中国語では「チュエン・リエン」と読みます。正式名称は全聯福利中心ですが、一般的に全聯だけで通じます。

全聯の店員は何でそんなことを言ったのか

全聯ではコンビニコーヒーならぬスーパーコーヒーが売られ始め、以前記事にもしたように日本の阪急ベーカリーの名前でパンも売られ始めました。しかし、全聯の店員が「もう買わないで!」と言ったのはなぜでしょうか。

その記事によると、つまるところノルマがキツイのだそうです。コーヒーにしてもパンにしても、エリアマネージャーが大量に仕入れることをお店に強いていて、さらにそのロットもかなり大きいとか。日に80個も売れれば万々歳のパンも最小ロットが100個からとか。で、結局お店の管理者たちが自腹で買うことになったり、パンを買えばコーヒーがタダになるというキャンペーンを実施したり、元旦などは1元でコーヒーを売ったりしたとのこと。

さらにその店員は、コーヒーもパンも、あんなにまずいのに誰が買うのか、と疑問を呈しています。

だからエリアマネージャーないしは幹部にわからせるために、もうみんなが買わなければコーヒーもパンも売り上げが下がって、法外なノルマがなくなるのではないかという考えだったようです。

私も全聯に頻繁に行っていますが、店員からコーヒーやパンを買わないかと何度も何度も言われるのはこのノルマのせいだったのだなと妙に納得しました。バイクで行って、大量の荷物をエコバッグに詰め、さらにコーヒーを買う余裕はないし、パンはそんなに買いません。

全聯で売られているパンはそんなにまずいのか

コーヒーは飲んだことがありませんが、パンは何度か買ったことがあります。以前メロンパン関連を一通り買ったこともありました。

我が家では時々買う

最近で言えばピーナッツバターを使った商品がいくつか登場していて、私個人的には小さいクロワッサンにピーナッツバターがかかったものはおいしいと感じました。それ以外はあまり買わないのでわかりません。以前買ったメロンパンに関して言えば、私の家族には不評ではありませんでした。もっとも、すでにレパートリーが変わっているので手に入らないものもありますが。

夕方に安売りされる全聯のパン

夕方になるとパン売り場からパンは消え、レジの脇で特価販売されるようになります。見た限りでは毎日毎日大量に残っていて、廃棄させないように必死に売っているという感じを受けます。コーヒーはそんなに場所を取らないので、レジを抜けた先に大体機械が置いてあるだけです。

全聯で阪急ベーカリーのパンを買う時の注意点

全聯ではおおむねどの店舗も売れ残ったパンを夕方くらいからレジ周りに集め、ワゴン販売を開始します。期間限定で4個(任意)100元というセット価格で販売されることもあるのですが、「4個(任意)で100元」と書かれたA4サイズのポップには、小さな字で「30元商品に限る」と書かれていたりします。

全聯で販売されている阪急ベーカリーのパンは、30元や39元などがあります。そのため、間違って39元のパンが混ざった状態で4個を手に取り、レジに行くと「つーか、これ100元に出来ねーから!これは39元!わかる?」などと眉間にしわを寄せ、出来の悪い部下に対してしびれを切らした30代後半の比較的イケイケな上司のような口調で言われます。時には他の同僚に「なあ、これ見ろよ!39元だよな!」「ああ!そんなんじゃダメだよ!値引きする必要ねーよ!」なんて会話が繰り広げられることがあります。なるほど、台湾ではこれがエンターテインメント。

さて、問題はその「30元商品に限る」がかなり小さな字で書かれていることと、そもそもどれが30元で、どれが39元か明示されていないことではないかと思います。

遠くから「4個(任意)100元」という文言につられて近寄り、そのまま4個を適当に選ぶというのは短絡的すぎるかもしれません。物事には必ず落とし穴があります。吊り橋だったら叩いてから渡った方が良いというのは先人の教えです。何か罠が仕掛けられていないか、それを考えずにすぐに4個のパンを手に取るなど言語道断。もう少し心に余裕を持つべきです。然すれば道は開かれるでしょう。

また、どれが30元ではないのかを見極めることも大事。ここで必要になるのは千里眼。白眼(びゃくがん)でも良いかもしれません。視力の弱い方は眼鏡かコンタクトを着用しましょう。パンに向き合い、そして物事の本質を見抜き、果たしてそのパンがいくらなのか、それを推して知るべし。然すれば自ずとどれが対象のパンなのかがわかるでしょう。注意されたし。

レジで言われる「ちょっとコーヒー”入れ”させて」の意味

一部店舗では、レジでも「コーヒーはいかがですか」と言われます。これを断っても、会計の際に「この会計にコーヒーを1つ入れさせてほしい。」と半ば強引に言われることがあります。

何なのか話を聞いたところ、その時間はタイムセールで200元以上の買い物をするとコーヒーが半額になるのだとか。そして、安くなった分のコーヒー代金は現金で返すから、「買ったことにしてほしい。これは私のコーヒーで、あなたはお金を出さなくていい。レシートに入力だけさせてほしい。」ということでした。正規料金をそのまま返金すると足が付くのか、そのタイムセールの時間を狙ってそんなことをしているようでした。

ノルマがきつすぎてそんなことをしていると店員さんは言っていました。なお、レジの店員さんではなく、他の店員さんに事情を確認したのでレジの店員さんの個人判断ではないようでした。内部でどのような計算になっているのかはわかりません。

さて、一般消費者として、それが嫌だと思うこともあるでしょう。その場合の対策は以下の三つです。

1.断固断る。

とにかく全部嫌だと断れば、しつこく食い下がることもないと思われます。

2.タイムセールにお店に行くのをやめる

今回の件はタイムセールを狙って行っている行為のようなので、その時間を外せば上記の”お願い”は発生しないものと思われます。

3.全聯に行くのをやめる

それでも気になる場合は他にもスーパーはあるので、他のスーパーに行くのも良いと思います。

全聯は台湾で広く展開しているスーパーマーケットチェーンです。私もよく利用します。できれば行き続けたいので上記選択肢1か2で行こうかなと思っています。

台湾で売られている日本関連のもの

台湾では「日本の○○!」といった見出しを見ることがよくあります。しかしその大半は台湾の方が考える「日本」であり、台湾の方が受け入れやすい「日本」です。ローカライズという奴ですね。

でも日本の有名メーカーの名前を冠している場合もあり、そういう場合はノルマもあるのでしょう。今回のパンの話で言えば、もしかしたら阪急ベーカリーとの契約の中にノルマがあって、それを達成するために全聯の幹部は必死になっているのかもしれません。むしろそれが普通かもしれませんね。

パンの種類が日本の阪急ベーカリーと違うことは以前書いた通りですが、これも大方、全聯サイドは阪急ベーカリーの名前を使いたかっただけで、商品開発は台湾主導、それに阪急ベーカリーがOKをしたという流れではないかと推測しています。「台湾ではこれがおいしいんです!これが売れるんです!」と台湾サイドから言われ、さらにノルマも契約書に含むなら日本サイドがOKすることもあろうかと思います。

日本車を売るディーラーもそうだと聞いたことがあります。ノルマを達成できそうにない場合は、買い手が見つかる前に大量に日本から車を買い取り、それを安くして販売することがあるそうです。実際、店員からその手法で安く買わないか打診されたことがありました。

余談ですが、台湾で売られている日本車はてっきり日本から輸入しているのだと思っていたら、台湾製造のものがある(書類で確認しました)そうです。

コーヒーが大好きな知人(台湾出身ですが、日本で何度もコメダ珈琲に行っていた)が台北のコメダ珈琲に行ってがっかりした話とか、枚挙にいとまがありません。

最後に

全聯、パンはそんなに買わないけど、コーヒーもたぶん買うことはないけど、これからも行き続けます。