日本のたこ焼きと焼き餃子は本当に不味いのか

以前から知ってはいましたが、台湾の方にとって、日本の食べ物は必ずしもおいしいと感じるものではなく、非難をもってその経験を語る方もいます。日本では当たり前のようにご当地グルメや日本文化として紹介される食べ物も、人によっては口に合わないということがある模様。

台湾のYahooに掲載された「まずい」日本の食べ物

先日の日曜日、台湾のYahooに「またか」と思わせるような記事が掲載されました。台湾に住んでいると、良くも悪くも日本は注目されていて、時に称賛され、時に非難されてきました。

さて、今回「まずい」というレッテルを貼られたのはどんな食べ物か。

たこ焼き

これは本当によく言われます。日本のたこ焼きは中がトロっとしていることが多いです。逆にそのトロっとがないと、焼きすぎだろうと思うぐらいですが、台湾の方にとっては「生焼け」「鼻水を食べているみたい」という感覚になるのだそうです。

日本のたこ焼きまずいですか?日本人でも当然たこ焼きが苦手な方はいるでしょう。とはいえ、たこ焼きはもはや日本に定着した、昔からある日本伝統の食べ物であると言えます。私はおいしいと感じます。台湾の方とは味覚が違うようです。私は逆に台湾のたこ焼きが苦手です。あれはたこ焼きとは別物という感覚です。

もっとも、日本のたこ焼きも、台湾のたこ焼きも、お店によって味は違うでしょうから、1つを食べただけで良し悪しを語るのは早すぎるようにも感じます。

焼き餃子

日本で餃子と言えば焼き餃子。しかし、台湾で餃子と言えば一般的には水餃子を指します。台湾で焼き餃子と言えば「鍋貼(グオティエ)」や「煎餃(ジエンジャオ)」と呼ばれるものです。たぶん煎餃が最も近いです。これらの違いは以下のとおり。

両端焼くときの水
鍋貼細長い厚い閉じていない普通の水
餃子の高さに対して1/3程度
煎餃日本で見慣れた形薄い閉じている小麦粉水
餃子の高さに対して1/4程度
→パリパリになりやすい
鍋貼と煎餃の違い

台湾の方から言わせると日本の焼き餃子は「まずい」「みじん切りの野菜ばっか」とのこと。そもそも台湾の方で日本の焼き餃子を好んで食べる方を見たことがありません。台湾の鍋貼や煎餃も正直おいしいですが、私はそれでも日本の焼き餃子を食べたくなります。

まわりの台湾の方に聞いた日本の食べ物の感想

日本の食べ物はそんなにまずいのか。今まで台湾で生活してきていろんな方に話を聞いてきました。その中で出た悪い方の感想をいくらかまとめます。

  • ラーメン:しょっぱすぎて食べられない。
  • 納豆:臭い。食べたくない。食べたけどおいしくない。
  • 寿司:生魚ダメ。寿司はまだいいけど海鮮丼などは臭くて食べれない。
  • 卵かけご飯:無理。親子丼なども半熟はダメ。半熟卵も嫌い。生卵なんか論外。
  • みそ汁:しょっぱすぎる。
  • 生野菜:体に悪いから食べたくない。
  • 日本酒:アルコールのニオイがするから嫌い。梅酒はおいしい。
  • 冷やしそうめん、そば、うどん:冷たいから嫌だ。
  • 和菓子:甘すぎる。
  • 青じそ・みょうがなどの薬味:まずい。いらない。
  • 日本の食べ物全般:冷たい食べ物が多く、慣れないし、体に悪い。

運よくいろんな台湾の方と知り合う機会があり、分母としては100人を超えます。これらの意見が台湾の方の共通認識だとは言えないものの、おおむねこのような意見が返ってくる印象です。もちろん、逆にそれが好きな方も存在します。実際台湾でも日本のラーメンを好んで食べる方もいます。一蘭とか出店してますしね。

「うまい」か「まずい」かは育った環境による

「うまい」という感覚は絶対的な美味と、相対的または後天的に慣れた美味にわかれるように思います。子供のころからよく食べていたものは大人になっても食べれるし、むしろ懐かしんで食べたりもします。しかし、そうでないものは先ほどの言い方でいえば、絶対的な美味でない限り、体は受け付けないのではないかと。

絶対的な美味も個人差があります。例えば小籠包。日本で小籠包など食べる機会はほぼありませんでしたが、台湾の鼎泰豊で初めて食べたときは感動しました。これは相対的な美味でも後天的な美味でもなく、絶対的な美味だったのだと考えます。しかし、100人いたら100人が全員「うまい」と言うかと言えば、それは疑問です。国際的に美味とされるものには絶対的な美味のものが多くあるのではないかと思っています。逆にご当地グルメに関しては後者が多いのではないかと。

納豆などは相対的で後天的な慣れによる美味です。どういうことかというと、子供のころから慣れ親しんでいる日本人にとって納豆は普遍的な存在であり、後天的に「慣れ」が生まれ、それを食べることが当然、そして慣れによってまた食べたくなるという循環が生まれています。しかし、子供のころから食べていなかった台湾の方にとっては、大人になって初めて口にした納豆を絶対的な美味か、そうでないかでしか判断できません。すると、あの強烈なニオイと味から「まずい」というレッテルを貼ってしまうのです。つまり、納豆は絶対的な美味の要素をほぼ含まないということです。

旅行は体験とほぼ同義

台湾に旅行で来た夫婦に「近くに日本料理屋はありませんか?」と聞かれたことがあります。

現地の人が食べているものが「うまい」という保証はありません。でも、海外に行って食べたものが「寿司」「うどん」「マクドナルド」になってしまっては、なんだかもったいない気もします。

旅行は新しい体験をする絶好のチャンス。現地のたこ焼きがまずいとか、現地の餃子がまずいとか、いろいろ思うことも含めて良い経験になるのではないかと思います。

最後に

結局のところ食は慣れ。私は今すぐにでも日本のお寿司食べたい。