日本には牛丼や豚丼、親子丼などがありますが、台湾にはルーローハン、ジーローハンがあります。いずれも華やかさはあまりないかもしれないけれど、庶民に愛されてきた料理です。
今回はジーローハンを作ってみました。
目次
ジーローハンとは
ジーローハンというのは、誤解を恐れずに言うならば鶏胸肉を裂いたものが乗った丼のような料理です。名前のジーローとは中国語で鶏肉のことで、ハンは飯のことを指します。鶏肉ご飯とでも言いましょうか。
ジーローハンもルーローハンと同じく庶民的なB級グルメ的な要素もある食べ物で、街にはジーローハンの専門店もあったりします。
ジーローハンの起源
ジーローハンは第二次世界大戦が終わったあと、今で言う鶏肉が高価だった時代に、台湾に駐留していた米軍が持ち込んでいた火雞(七面鳥)を嘉義県で養殖し、その普及した火雞を使って現地の料理人林さんが作った料理が火雞肉飯と呼ばれ、それが台湾各地に広がり嘉義火雞肉飯と呼ばれるに至ったそうです。
実は多くがジーローハンではなくジースーハン
嘉義発祥の本来のジーローハンは七面鳥(火雞)の胸肉の「切り身」を使った「火雞肉飯」で、台北などで言うジーローハンはいわゆる一般の鶏の胸肉を繊維に沿ってフォークなどで裂いてバンバンジーのようにした物を使っているお店が多いです。切り身の「肉」ではなく、細く裂いた「絲(細い、糸や線に例えられる形状)」を使うので、これを雞絲飯(ジースーハン)と呼ぶこともあるようです。
今回私が作ったのは七面鳥を使った嘉義の伝統的な火雞肉飯ではなく、台北などで普及している一般の鶏むね肉を裂いたのジーローハン(雞肉飯)、つまり、ジースーハン(雞絲飯)です。実際、私の周りではジースーハンのことをジーローハンと呼ぶ方が多いです。
ジーローハンの知名度
ルーローハンは結構多くの日本人が知っているように思うのですが、ジーローハンについてはどうでしょうか。Googleの検索結果の数を比べてみたら、以下の通りでした。
- ルーローハン 990,000件
- ジーローハン 50,1000件
- ジースーハン 239件
圧倒的にルーローハンの方が多く、ジースーハンに至っては1,000件に満たないという結果になりました。
ジーローハン(ジースーハン)の作り方
ジーローハンは鶏胸肉を裂いたものをご飯に乗せ、タレをかければ完成です。レシピは以下の通り。
ジーローハンの材料
- 鶏胸肉(皮つき) 2枚
- エシャロット 100g
- 醤油 30ml
- 醬油膏(とろみのある醤油) 30ml ※なければ醤油で代用
- 砂糖 5g
- 酒 45ml
- 白コショウ 少々
- 油 50ml
ジーローハンの作り方
- エシャロットの皮を剥いて、薄切りにする
- 鶏むね肉の皮を剥ぐ(皮は使うので捨てない!)
- 保温鍋(内鍋)で鶏むね肉が浸かる程度の量のお湯を沸かし、そこに鶏むね肉を入れて3分茹で、そのまま保温鍋(外鍋)に内鍋を入れて15分保温し、保温後に鶏むね肉を取り出して粗熱を取っておく(残ったゆで汁は100ml程度を後で使うので捨てない)
- フォークを使って粗熱の取れた鶏むね肉を線状に裂く
- 鶏皮をフライパンで炒め、チーユ(鶏油)を出し、チーユがしっかり出きったら鶏皮は取り出して細かく切っておく(油が出きった鶏皮も捨てない!)
- フライパンに残ったチーユに材料の油50mlを足し、火にかけて温まったらエシャロットを入れてキツネ色になるまで炒める(揚げる)
- 揚がったエシャロットと残った油を分離させて置いておく(エシャロットも油もフライパンから取り出す)
- もう一度先ほどのエシャロットの半量をフライパンにもどし、醤油、醬油膏、酒、砂糖、白コショウ、および先ほど鶏むね肉を茹でた茹で汁100ml程度を入れて沸騰させ、酒のアルコールを飛ばしたらタレの完成
- 裂いた鶏むね肉、チーユ作りで使った鶏皮(細かく切ったもの)、揚げエシャロットをご飯に乗せ、チーユ、タレを好きなだけかけたらジーローハンの完成!
ジーローハン作りのポイント/注意点
エシャロットの独特の香りがたまらなくおいしいジーローハンです。エシャロットを使うことで本格的な味わいになります。
鶏むね肉の茹で時間は、中までしっかり火が通るように調整してください。
チーユを作る際やエシャロットを揚げる際に、あまり長くやりすぎると油に焦げ臭さが写ることがあります。キツネ色にとどめましょう。淡いキツネ色ぐらいでもいいと思います。
醬油膏(醤油膏)がなければ醤油で代用すると良いです。
最後に
一般的なジーローハンには八角が入っていません。ルーローハンの八角が苦手という方も、ジーローハンならおいしく食べられるのではないかと思います。
手間がかかるとすれば、香味油のチーユを作る作業でしょうか。面倒ではあるものの、そこがジーローハンの肝になっていると言っても過言ではありません。
いわゆる丼ものは日本にも多く存在しますが、ちょっと趣向を凝らして台湾の丼ものに挑戦すると、結構楽しいです。