柑橘類を種から育てる試みはすでにレモンやポンカンなどで実践していますが、台湾でポピュラーな柑橘類の一つである文旦の種の発芽にも挑戦してみました。
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台湾の文旦を育てたい
台湾で売られている柑橘類で、一年を通して最も多いのはマーコットではなかろうかと思うのですが、中秋節の前後になると文旦も大量に出回ります。
というのも、中秋節には文旦を贈り合う風習があるからです。そのため、中秋節の前後はむしろ文旦の方が売れているのではないかと思います。
我が家でも文旦は贈ったり贈られたり、とにかく中秋節の時期になると街も家も文旦だらけになります。
そんな文旦には種があるタイプと無いタイプがあり、今回たまたまいただいた文旦に種が含まれていたのでそれを発芽させてみました。
文旦の種
文旦の種は柑橘類の中でも大きい方です。レモンやみかんの種とは比べ物になりません。外皮を含めると1cmは優に超えます。デカいですね!
でも水に浸けておくと水がゼリー状になるという性質や、見た目もやはり他の柑橘類の種と同じです。
種から育てられる?
発芽した文旦は、それぞれの種から一つずつしか芽が出ませんでした。つまり、それは単胚であることを意味しています。
単胚ということは、その種が雑種で、親のクローンではないということを意味します。そしてそれはつまり、親の性質とは異なる樹であるということになります。となると、将来結実したとしても、親の果実とは異なる性質の果実になります。
この時、その果実が親と同等かそれ以上のクオリティになる確率はものすごく低く、また、そもそも結実しづらい木になる可能性もあるため商業的に種から育てるのは不向きだと言えるのですが、趣味の範囲なら楽しくてしかたがありません。
結実目指さないなら、クオリティーを気にしないなら、観葉植物としてなら文旦栽培は可能です。私自身はもしもそれで将来実が出来ればラッキーぐらいの感覚でおります。
発芽の方法
柑橘類は土に種をそのまま蒔いても発芽しますし、湿らせたキッチンペーパーで包んでおくだけでも発芽します。
今回の文旦は土にそのまま種まきしましたが、無事に発芽しました。土の深さは1~2cm程度でした。
発芽までの日数
今回の文旦の種はおおむね10日ぐらい経ったころから順次発芽していきました。
過去に種まきをしたレモンは一か月以上経過してから発芽したこともあったので、発芽しないならすぐに諦めるのではなく、しばらく乾燥しないように面倒を見ながら待ってみるのも良いと思います。
待てない場合は種苗店で苗を購入するとすぐに文旦の苗が手に入りますし、意外と他の文旦の種で再挑戦するとすんなり発芽したりもします。
使用した土
発芽用の土というのが園芸店などで売られていますが、今回はそういう発芽専用の土ではなく、使い古しの培養土を使いました。
柑橘類の場合、水分さえあれば土はそんなに厳選しなくても発芽はするように思います。ただ、発芽するまで感想はしないように気を付ける必要があります。
発芽後は間引き
狭いベランダで植物を育てている都合上、あまりたくさんの苗を育てるわけにはいきません。しかし、当初文旦の種の発芽率が全くわからなかったので種は多めにまいていました。
種を多めにまいて、発芽率も高かったため、かなり密集した状態で発芽してしまいました。そこで、間引きをして一本にしました。
一本にすることで伸び伸びと根を伸ばすこともできますし、障害物に邪魔されることなく枝葉を伸ばすことができるようになりました。もちろん栄養も独り占めです。
残したのは茎が一番太く、生育がよかったものです。とにかくたくさん発芽したので細いものや高さが低いもの、どうも元気がないものや、すでに枯れ始めているものなども混ざっていました。
多胚種子なら複数ある芽のどれを残そうかと考えることもあろうかと思いますが、文旦は単胚種子なのでそのようなことは考えず、単に元気そうなものを残しました。
なお、単胚であるからこそ、出てきた芽はそれぞれが違う性質を持っていたはずで、この時点で一番元気だった芽が、将来的にもっとも有望な株に育つとは限りません。
その辺りも趣味だからできることではあります。これが商業目的だとリスクしかないです。
種から結実までの年数
個体ごとに性質が異なるので一概に何年ということは難しいようですが、種からの実生苗の場合、早いと8年ぐらいという意見も見かけますが、おおむね10年以上は最低でもかかると考えた方がよいようです。
もっとも、種からだと貧弱な苗になったり、そもそも結実が困難である場合もあるようなので、結実を目指すなら苗を購入する方がよいです。
なお、柑橘類ではありませんが、種からの実生で30年経っても花が咲いたことがない果樹を見たことがあります。種からの栽培は楽しいですが、結実を目指すのはかなり非効率であると言えます。
最後に
文旦は種から育てることができます。発芽率も悪くありませんでした。
しかし、単胚種子であることから、親の性質は受け継がず、将来収穫を目指す場合は種苗店で苗を購入した方が良いと思います。
趣味として文旦を種から育てるのは楽しいので良いかもしれません。また、将来接ぎ木用の台木にするという手もあるかもしれませんね。
私も趣味としてこれからも育てていってみようと思っています。