熱帯果樹のアテモヤを台湾で育てる場合、冬にどの程度の防寒対策が必要になるのかについて昨シーズンの例と現在の考えを元にここに書き記しておきます。
目次
アテモヤの耐寒性
アテモヤの耐寒性はそれほど強くもなく、それほど弱くもないという印象です。私自身は-2℃~3℃が生育限界であるという説を信じて栽培をしています。
台湾の平地で3℃以下になることはほぼありません。寒波が来たとしても3℃になったのは見たことがありませんし、おそらく今シーズンもそんなに寒くなることは無いです。
他の熱帯植物に比べるとアテモヤは耐寒性があるとも言えると思います。というのも、植物の中には最低気温15℃を下回ると枯れると言われているものもあるからです。15℃に比べたら3℃まで耐えられるアテモヤは十分に耐寒性があると言えます。
しかし、日本の多くの地域のように冬は霜が降り、氷点下まで気温が下がるような地域で地植えにするのは非常に困難であると思います。鉢植えにして冬は防寒対策が求められます。
幼苗は弱い?
そんなに寒さに弱いわけでもない印象のアテモヤではありますが、幼苗は話が別です。アテモヤに限らず、幼苗は環境変化に弱い場合があります。極端な低温や高温に対する耐性もなかったりします。
そのため、まだまだ小さかった昨シーズンは1月下旬から室内に取り込みました。しかし、不思議なことに室内に取り込んで一週間程度で一気にほぼすべての葉が落ちてしまい、結局慌ててベランダに戻しました。
つまり、室内に取り込んだのはたった一週間で、しかもその一週間で落葉しまくるというなんとも悲しい状況となりました。これなら最初から室内に取り込まなければよかったとすら思いました。
幼苗は弱いと言っても台湾の冬程度なら問題なく越せると言えそうです。その考えを元に今シーズンは室内に取り込まず、ベランダにそのまま放置しておこうと思っています。
耐寒温度と生育温度
一般的に寒くなると植物は生長を止め、また暖かくなるのを待つ待期期間となります。そして暖かくなって生育に適した気温になるとまた生育を開始します。
耐寒温度はそこまで気温が下がると枯れる可能性が高くなる温度であると認識していますが、生育温度は生育に適した温度で、必ずしもその温度を逸脱したからと言ってすぐに枯れるものではないと思っています。
植物にとっては両方大事で、可能であれば生育温度の範囲内に収まる環境で植物を育てる方が良いでしょう。そしてその範囲を逸脱する場合は耐寒温度(場合によっては耐暑温度)になることのないように注意が必要です。
アテモヤは常緑樹であり半落葉樹でもある
常緑樹か落葉樹かを決めるのは冬に落葉するかしないかだと思うのですが、我が家では昨シーズンも今シーズンもアテモヤは落葉しています。落葉するということは生育適温を逸脱しているのだと思います。そして、冬越しの準備をしているのでしょう。ここでアテモヤの耐寒温度が関係してくるわけですね。
思うに、もっと温暖な地域で栽培している場合は落葉せずに常緑樹扱いなのではないかと思います。そう考えるといくら温暖な台湾とは言え、やはりアテモヤにとって最適な生育温度を逸脱することはあり、冬を越すために落葉させるのだと思われます。葉を落とし蒸散を少なくすることで生命の維持を図っているようです。
9月に生長停止で冬支度
今シーズンと昨シーズンんのアテモヤを見る限り、ここ台湾の我が家の環境においては9月ぐらいには生長が止まり、10月ぐらいから少しずつ葉が枯れ始めていくことがわかります。冬を迎える準備をしているようです。
そしてそこから新芽を出して再度生長を開始したのが4月でした。つまり、9月ぐらいから4月ぐらいまでは冬を越すために体力を温存し、冬をやり過ごす期間だと言えます。
これが台湾よりももっと温暖な地域で、冬でも25℃以上あるような地域だったら状況は異なるかもしれません。
冬が始まったら剪定
我が家ではアテモヤのこれまでの生長具合を元に、強剪定は12月にすることにしています。昨シーズンもやはり12月ごろに剪定をしていて、4月まで新芽が出てこないので不安で仕方ありませんでしたが、アテモヤの冬とはそんなもののようで、特段心配する必要はなかったようです。4月になってから一気に大きくなっていきました。
台湾の平地にある我が家は冬でも10℃以上あることが多いです。そのため、耐寒温度的にも、アテモヤの耐寒性的にも問題なく冬を越すことができるようです。剪定はそんな冬を越している最中に行っています。今シーズンもすでに剪定が完了しました。
最後に
アテモヤは耐寒性は良くも悪くもないと言ったところでしょうか。ただ、熱帯植物だと考えると比較的耐寒性に優れるとも言えるような気がします。
日本でも沖縄などでは生産されているようです。沖縄は台湾と緯度が近く、環境的にも非常に似ていて、生育に適した農産物も似ているようです。