台湾の林務局(日本の林野庁の特に森林管理局に近い組織ではないかと思います)が珍しい樹種の苗を販売しています。近所の園芸店では見られないような樹種が多く、見ているだけで興奮気味の私ですが、いろいろ調べてみました。
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台湾林務局の樹木販売サイト
今回販売されているような樹種は栽培が難しく、今までは専門の業者ぐらいしか手に入れることは無かったようなのですが、どうやら一般公開されています。樹種によっては公開後すぐに完売してしまったものもあるのだとか。確かに見てみると売り切れがところどころ発生しています。
- サイト名称:林務局 臺灣原生樹木種苗網
- サイトURL:https://theme.forest.gov.tw/forestplant/
追記:普段は業者しか購入ができないものを、期間限定で一般にも販売していたようです。2022年7月30日現在、業者限定になっていて、一般には販売されていないようです。
公園で拾った種は持ち帰って植えてもいいの?
そもそも、基本的に公園などに生えている植物を折ったり、抜いたりして持ち帰ることは台湾の法令で禁止されています。さらに、「珍貴稀有植物」に指定されている「台灣穗花杉(Amentotaxus formosana)、南湖柳葉菜(Epilobium nankotaizanense)、台灣水青岡(Fagus hayatae)、清水圓柏(Juniperus chinensis var. taiwanensis)」は落ちた種を拾って持ち帰ることも禁止されています。
以前はもっと他の植物もこの「珍貴稀有植物」に指定されていましたが、2001年に「台灣水韭、台東蘇鐵、蘭嶼羅漢松」が解除され、2002年には「紅星杜鵑、烏來杜鵑、鐘萼木」も解除されました。
なお、上記の「珍貴稀有植物」の指定以外に、公園や道路(街路樹)など、所管の自治体、管理団体によっては他の植物の種も持ち帰ることが禁止されている場合があるとのことでした。
今回販売されている樹種について
さて、今回はその中でも木になった樹種をピックアップして所感を述べていきたいところなのですが、上記の「珍貴稀有植物」に関しては当然のことながら販売されていません。保護対象なので当然と言えば当然です。
「珍貴稀有植物」とまではいかなくても、それぞれが基本的に貴重な樹種であることは間違いなさそうです。似たような木は見たことがあっても、種別で言えば異なるものとか。平地ではなかなか見られないものとか。
さらに調べてみたところ、以前 「珍貴稀有植物」 に指定され、今は解除された樹木の中で、1つだけ販売されているものがありました。それは鐘萼木(Bretschneidera sinensis)です。それら以外にもなかなか興味深い木がありました。
鐘萼木
- 学名:Bretschneidera sinensis
- 和名:ブレッシュネイデラ・シネンシス
和名で検索するとおそらく詳細がわかると思います。こちらは台湾固有種というわけではなく、中国やベトナムなどでもみられる木のようです。
写真を見る限り、特徴的な花が鈴状に上に向かって付く感じでしょうか。上記の販売サイトでの価格は1株7500元で30株限定。実生苗で高さ10~20cm、幹の太さは0.3cmということなので、まだ小さい苗の販売です。
なお、本記事執筆時にはすでに売り切れになっていました。7500元って30,000円ぐらいなのですが、売り切れたんですね。
霧社櫻
- 学名:Prunus taiwaniana
- 和名:ムシャザクラ
台湾固有種の桜。漢字で「武者桜」と書くムシャザクラは別の種類のことを指すようなので要注意です。
なお、武者桜は高砂(たかさご)/南殿桜(なでんざくら)の別名と言われたり、そうではないと言われたりしているようですが、この台湾の霧社櫻はネットで写真を見る限り、そのいずれとも違うようです。
白くて小さな花が、半開きのような状態で咲くようで、それはそれでキレイです。
台湾新竹の物は実生2000元が50株用意されていましたがそれは完売。台湾嘉義のものは実生1650元が30株用意され、まだ残っているようです。
なお、我が家には富士櫻がありますが、苗で買ったときは確か200元程度だったと記憶しています。霧社櫻は希少種。このぐらいの価格設定は妥当だと言えそうです。
赤皮
- 学名:Quercus gilva Blume
- 和名:イチイガシ
これはブナ科の木で、簡単に言えばドングリの木です。イチイガシなら日本でも見ることができるようですが、私の家(台湾)の近所で見たことはありません(気が付いていないだけの可能性はあります)。
公園でドングリを拾うというのは親子のスキンシップとしては非常に良いことだと思うのですが、それがここではできません。やるならこのイチイガシの苗を買うしかない?価格は4500元。
なお、同じブナ科では他に「太魯閣櫟(Quercus tarokoensis)/タロコガシ 13450元、杏葉石櫟(Lithocarpus amygdalifolius)/アミガシ 650元、鬼櫟(Lithocarpus lepidocarpus)/オニガシ 650元(※執筆時は完売)」も販売されています。
タロコガシがずいぶん高価ですね。
最後に
稀少なブレッシュネイデラ・シネンシス、台湾の桜である霧社櫻、イチイガシなどのドングリの木、それぞれ非常に魅力的で、可能であれば手に入れたいところですが、いかんせん庭がない家に住んでいるので躊躇しています。ベランダでも不可能ではない?となるとあとは家族と相談ですね。