害虫駆除のための廃油スプレーというのがあって、それを作るためにできるだけ化学的な成分の少ない洗剤を探している中で無患子の事を思い出し、早速入手して無患子でせっけん液を作ってみました。
目次
無患子とは
無患子はムクロジ科ムクロジ属の植物で、「むくろじ」と読みます。英語ではwashnutやsoapberryと呼ばれるらしく、外来語のウォッシュナッツやソープベリーという呼び名もあるそうです。
英名を見ればおわかりになるとおもいますが、果皮の部分を水に浸けて揉むと泡が出てきて、昔はせっけんの代わりに使われていたこともあるのだそうです。だからウォッシュとかソープとかの名前が付いているのだと思われます。
種の部分は羽根つきの羽に使われるそうです。この種の特徴は非常に固いこと。羽子板で叩こうと、地面に落とそうと、ちょっとやそっとでは割れません。
なお、羽根つきの羽になる部分を実だとする意見も散見されました。あいにく素人の私にはどちらが正しいのかわかりませんが、本記事では羽根つきに使う部分を種としています。
ムクロジ科の植物
龍眼やランブータンはムクロジ科の植物で、無患子と同じ科の植物なんだそうです。ほかにもタイワンモクゲンジなどもムクロジ科なんだそうです。意外にもベランダにムクロジ科の植物がいくつかありました。あと、発芽に失敗したモミジもムクロジ科だそうです。
果皮が泡立つ理由「サポニン」
無患子の果皮にはサポニンが含まれていて、サポニンが含まれていることが泡立つ理由です。サポニンは天然の界面活性剤と言われているそうです。
サポニンは様々な健康効果が期待できる物質としても注目されているようですが、身の回りで無患子を食べる人はあまり聞いたことがありません。
果皮せっけん
無患子の果皮をいくつか布袋に入れ、水を付けてゴシゴシ手で揉むと若干泡が出てきます。ハンドソープなどにはかないませんが、一応泡が出ます。
無患子せっけん液を作る目的
何かの洗浄に使いたいのではなく、今回は廃油スプレーを天然成分で作るためのせっけん液を作ることが目的です。
無添加石鹸(界面活性剤などの刺激のある添加物不使用)とか純石鹸(合成の界面活性剤不使用)とかいうのもあるようですが、近所で売られているそういった石鹸の原料にはいろんなものが含まれていることがわかりました。
そこで、無患子から自分でせっけん液を作ったらもっと安心だなと考えた次第です。
無患子せっけん液の作り方
無患子の果皮を煮詰めることでせっけん液を作りました。
材料
- 無患子の果皮 20個分
- 水 800mlぐらい
作り方
- 無患子の種を取り出し、果皮を30分ぐらい煮詰める
- 冷めたらザルなどで果皮を濾して完成
出来上がったせっけん液は適当な容器に入れると良いです。また、果皮を細かくちぎってから煮出した方が成分が多く出るようです。
廃油スプレーは作れるのか
廃油スプレーとは、使う古しの油と石鹸水を混ぜて乳化させたもののことで、この廃油スプレーを害虫にスプレーで噴きかけると害虫駆除効果が期待できるというものです。
廃油スプレーは油を乳化させる必要があります。今回作った無患子せっけん液を使って油が乳化すれば成功となります。乳化したかどうかは、色が白濁したら成功とします。
結果は白濁しました。ということは乳化したということ。理想的とは言えないものの、実験は成功したようです。
無患子の種の中身
後学のため無患子の種をペンチで何とか割ってみました。周りの部分は分厚い木のようです。中には胚が見えますね。ちょっと緑がかっています。
いつか種まきにも挑戦したいと思っています。
無患子せっけん液の問題点
さて、無患子でせっけん液を作ることには成功したのですが、一般の洗剤とは違い、天然成分で作られたこのせっけん液は、いくつかの問題点があります。
カビる
無患子から抽出したせっけん液は、そのまま常温で放置しているとカビることがあります。常温では2週間も持ちません。毎日観察していたわけではないので、もっと早くにカビが発生していたと思われます。
作ったらできるだけ早く使い切る方が良いです。また、保存は常温よりも冷蔵庫などの低温の場所の方がカビ防止には良いと思われます。
無患子せっけん液の洗浄力
単純に他の洗剤の洗浄力と比較することはできませんが、泡立ち具合は市販の石鹸水の方が圧倒的に高いです。天然素材を使っている分、そういった化学的な反応もおだやかということですね。
それこそ市販の洗剤の5%以下ぐらいじゃないかと思います。それぐらい穏やか。
廃油スプレーを作るにあたっては、一般の洗剤の量よりも多めにせっけん液を入れた方がよいかもしれません。
最後に
今回初めて無患子せっけん液を作ってみましたが、成功したと言えそうです。ただ、保存が効かないので廃油スプレーに使用したい場合、大量に作らない、少量ずつ作るか、小分けにして冷凍保存するなどの対策が必要になりそうです。
とはいえ、比較的安心して廃油スプレーが作れるようになったことは、今後の植物栽培に役立ちそうです。