憧れの水耕栽培をやってみて気が付いたこと

昔から水耕栽培に興味があり、実際にやってみました。その中で感じたことを経験談として書き記しておきたいと思います。

水耕栽培とは

水耕栽培とは土などの培地を用いず、栽培養液と専用の容器を用いて植物を栽培する方法です。バーミキュライトやハイドロボールを用いたものは養液栽培と呼ばれ、水耕栽培とは区別されます。

私が試したのは培地を用いない水耕栽培です。

水耕栽培のメリット

なぜ水耕栽培に興味があったのかと言うと、水耕栽培にはたくさんのメリットがあったからです。

まず、水耕栽培は土を使わないため虫が付きにくいです。土で栽培する限り、虫は必ずつきます。虫の量や種類はそれぞれ異なりますが、まったく虫が付かないということはないでしょう。販売されている土の中に虫の卵などが含まれているケースなどもありますが、自然の物を販売する以上、完全にそれを防ぐのは困難です。

次に、大きな容器を使えば毎日水やりをするということがなくなります。もちろん植物の吸水量にもよりますが、容器には養液が豊富にあるわけですから、毎日朝晩の2回水やりをするようなことからは解放されます。また、機械を用いれば一定水量以下になったら自動で養液を補給するようなシステムも構築可能です。

そして、水耕栽培では室内でも植物を栽培可能です。もちろん条件は整える必要があります。植物にはそれぞれ適切な日照条件があるため、それに見合った光量を与える必要があります。日当たりの良い場所が適しているなら部屋の中の日当たりの良い場所に置けばよいし、それでも光量が足りないなら植物栽培用のライトが売られているのでそれを使えば良いです。こうして部屋から出ずに植物を育てることができます。

なお、私が実践したのはペットボトル容器を用いた簡易的な水耕栽培です。ライトも用意せず、部屋の中の日当たりの良い場所に設置しました。

水耕栽培のデメリット

水耕栽培にはデメリットもあります。

まず、水耕栽培はシステムの導入が面倒です。メリットに書いたようなセンサーやらライトやらを導入しようと思うと結構な出費になることもありますし、そもそも土栽培なら植木鉢が必要なように、水耕栽培でも養液を入れる容器、および植物を固定するための資材が必要になります。そしてそれらはあまりおしゃれでないことが多いです。部屋の中のオブジェと考えるにはいささか機械的すぎるものが多いです。

上記と関連して、水耕栽培をする場合、養液に植物の根が長く浸かっていることになるので養液の成分が非常に重要になってきます。栄養素もそうですが、酸素濃度も非常に重要で、酸素濃度が低くなると植物の生育に影響が出ます。一部の短期で収穫できるような葉物野菜はそうでもないですが、酸素不足による生育不良を防ぐために水を循環させたり、熱帯魚用のエアーポンプなどで空気を送るこんでやるなどする必要があります。そうなると音も発生します。そしてこれをやらなかった場合、水が腐ったりもします。

次に、水耕栽培では水質の管理が肝になりますが、水質の管理は非常に難しいです。一般に水耕栽培では液肥が用いられます。液肥や塩分の濃度はEC値というので計測でき、計測器も販売されています。また、養液が酸性なのかアルカリ性なのかを表すpHも計測器で測ることが可能です。これらEC値とpH値を計測し、適切な水質に管理する必要があります。

土でもpH値を測定したりすることはあります。ただ、おそらくもっとも面倒なのは、水質が悪化した場合に、養液を全とっかえしなければならなくなることです。発泡スチロールの大きな容器に並々注がれた養液を全とっかえしなければならないとなると、それを持ち上げるだけでも大変なのに、移動するとなると養液がタプタプなって大変です。ポンプなどでバケツに移動したりする方法もあるでしょうが、なかなかに面倒な作業となります。

水耕栽培の体験談

私は簡易的に水耕栽培を始めたので、センサーやらライトやらは導入せず、もろもろの計測器も用意しませんでした。もちろんエアーポンプも使用せず。容器は1.5Lのペットボトル。

まずは簡易的にやって、うまくいくようなら発泡スチロールなどを導入しようかなと思っていました。しかし、上記に書いたデメリットもあり、それならベランダで素直に土で栽培した方が良いのではないか、と思い始めているのも正直なところです。なぜなのか以下に書き記します。

水耕栽培容器の作り方

水耕栽培容器
水耕栽培容器

私が実践した水耕栽培では容器作りから始めました。

【材料】

  • 1.5Lペットボトル
  • プラスチックカップ
  • スポンジ
  • A4コピー用紙
水耕栽培容器
水耕栽培容器

【作り方】

  1. ペットボトル上部を、プラスチックカップがちょうど落ちないぐらいのサイズに切る
  2. スポンジをプラスチックカップに入るよりちょっと大きいぐらいに切り、中央に向かって切れ込みを1本入れる
  3. プラスチックカップの底に、外周を5mmぐらい残して穴を開ける
  4. 植物の根元にスポンジをはめ込み、それをプラスチックカップに設置し、それをペットボトルに入れ、養液を入れる
  5. A4コピー用紙でペットボトルを包めば完成
水耕栽培容器
水耕栽培容器

養液はただの液肥です。一般の植物に与える量と同じ濃度のものを使用しました。

システム化しないと管理が面倒

これは盲点でしたが、小さな容器で手動水耕栽培をしている場合、結局水量や根の状態など、気になることだらけで放置するということができませんでした。現に毎日のように養液の補充は必要になるし、時折水が白濁し始めて生育が悪くなるし、そもそもうまく育つものと育たないもの、実をつけないものなどもあるしで、なかなか思うような結果が得られませんでした。

センサーやライト、計測器を用いて自動化および定期的な管理体制を築くことができない限り、なかなか慣れるまではしんどいのかなと思います。

水耕栽培の実験に使用した野菜

水耕栽培しているスイートバジル
水耕栽培しているスイートバジル

今回私が実験したのは紫蘇(青じそ(大葉)と赤紫蘇の2種類)、バジル、ミニトマトです。ほかにマンゴーの木もやっていますが、これは別の目的があるので割愛します。

赤紫蘇は赤色がどんどん抜けていき、緑になっていきました。そのため、失敗と判断しています。しかも置き場所が西日の強い場所だったからか、葉がどんどん焼けていく感じでした。

青じそ(大葉)は大きくなりませんでした。これは、そもそもすでに花が咲いた後の青じそから挿し穂を取り、発根させて利用していたものだったので、そもそもの苗が良くなかったのかもしれません。親株も葉が変形していたり、ちょっと変な株でした。とはいえ、失敗は失敗です。

ミニトマトはどんどん大きくなっていきました。しかし、実は付かず。実はこのミニトマト、ベランダで育てているミニトマトの脇芽を挿し穂にして育てていたものでしたが、花は咲いても実は付きませんでした。これは水耕栽培とは別の理由もあるかもしれません。なぜならベランダでも実付きが悪いからです。

バジルは花後に取った挿し穂の割には結構しっかり成長しています。スポンジとか何も使っていないのに、むしろこれが一番よく成長しています。ヨーグルトの空き容器に突っ込んでいただけでした。

家庭内の小規模水耕栽培に向く野菜

上記の事から水耕栽培に向く野菜について考えてみました。あまり大きくなるもの、実を食すタイプのものは管理がかなり面倒なのではないかと思います。逆に、葉物はちゃんとした種を手に入れ、日照条件を整えればそれなりに収穫できるのではないかと思いました。

だだし、大きな容器にすると面倒なので、小さな容器でできる範囲にとどめることが管理を楽にし、成功させる秘訣なのではないかと思います。

水耕栽培を成功させるためのポイント

ちゃんと元気な苗を入手すること、健康な種を入手することが大切です。病気があったり、生育不良の親木から挿し穂を入手するなどは後悔の元となります。

それから、最初から大掛かりなシステムを導入するのではなく、手軽に始められるものから始めると良いです。野菜の種類で言えば葉物野菜。我が家のバジルは元気です。実がなるミニトマトなどは難易度が高くなるので最初はおすすめしません。

ミニトマトを水耕栽培して大量収穫なんてネット記事をたくさん見ます。あれをするなら専用の容器を買った方が良いかもしれませんが、私にはちょっと敷居が高い感じがします。もちろん興味はあります。家で、ミニトマトを大量収穫してみたいですもの。

最後に

紫蘇はベランダで育てるとどうしても虫が付くので、なんとか水耕栽培を成功させたいと思っています。今度は種か苗を改めて入手し挑戦したいです。

また、葉物野菜の例えば青梗菜(チンゲン菜)や小松菜などでも挑戦してみたいと思っています。

容器もペットボトルだと縦に1つしか植えられないので、トレーみたいなものを用意して挑戦するなどしてみたいです。