アテモヤを食べた種からベランダで育てる方法

なにかと話題になる台湾のフルーツ。少し前はパイナップルが話題になり、今度はアテモヤです。我が家ではアテモヤから種を取り、ベランダで育てています。アテモヤ栽培の中で気づいたことや感じたことなどをまとめます。

台東のアテモヤをクラウドファンディングで販売

アテモヤとは、バンレイシとチェリモヤを掛け合わせて誕生した果物。いやいや、そもそもバンレイシとは何なのか?チェリモヤとは何なのか?と思ったのは私だけではないはず。それは後述するとして、今回は台湾東部の都市「台東」のアテモヤがクラウドファンディングサイトで販売されたという話。

利用されたのはMakuake。冷凍されたアテモヤの販売だそうです。価格は2個セットで5,600円、4個セットは8,600円、6個セットは11,166円だそうです。そもそもアテモヤは柔らかいので輸送にそれほど適しているように思えません。冷凍したり、適切に梱包をするとなるとそのぐらいの価格になるのでしょうか。

バンレイシとは

バンレイシとは、お釈迦様の頭のようにゴツゴツとした、粒がいくつもくっついたような形をした緑色の南国フルーツで、釈迦頭(しゃかとう)などとも呼ばれます。ここ台湾では釋迦(すーじゃー)という名前でスーパーや市場で売られていて、非常にポピュラーな果物です。

非常に甘みが強く、ねっとりとした白い果肉が特徴です。ちなみにバンレイシの味が何に似ているかを聞かれると、私は「ねっとりしたバナナ」と答えていますが、あまり理解されません。

チェリモヤとは

チェリモヤとは、バンレイシの粒粒を平たくしたような見た目の南国フルーツです。ここ台湾では番荔枝(ふぁんりーず)と呼ばれたり、バンレイシと同じく釋迦(すーじゃー)と呼ばれたりしています。

じゃあ、今回販売されたアテモヤとは

アテモヤ

これ、厳密にいえばバンレイシもチェリモヤも、ほかにもたくさんの言い方があって、今回クラウドファンディングで販売されたのは鳳梨釋迦(Gefner)という品種。これは釋迦(すーじゃー)と冷子番荔枝(ペルーやグアテマラが原産)を掛け合わせたもの。歴史的には1965年にイスラエルから台湾に入ってきたものだそうです。

いかんせん日本ではあまり見かけないフルーツなので、名前もよくわかりません。クラウドファンディングサイトにはしっかりアテモヤと書かれていて、中国語のニュースサイトでは「鳳梨釋迦」と書かれているので、「アテモヤ=鳳梨釋迦」は確定で良いと思われます。

なお、鳳梨釋迦も普通の釋迦も似た系統の味だと個人的には感じます。

バンレイシ、チェリモヤ、アテモヤの食べ方

基本的にはスプーンですくいながら食べるのがおすすめです。熟せば熟すほどトロトロになります。

沖縄のアテモヤ

探してみると日本の沖縄でもアテモヤを栽培されている農家さんがいます。そちらはREADYFORというクラウドファンディングサイトで販売をされていたようで、5年前の履歴がありました。価格は1kgで4,700円相当、2kgで8,200円相当だそうです。

アテモヤを沖縄で栽培している農家さんは1軒だけではなく、複数の農家さんを見つけることができました。

アテモヤ(鳳梨釋迦)をベランダで育てる

さて、日本向けにクラウドファンディングで販売されたというニュースを聞くよりも前、台湾で普通にアテモヤを食べていた私は、ちゃんと種まきしていました。アテモヤ、育ててみます。

アテモヤを買う時期は旬の冬

アテモヤは冬から春にかけて収穫される果物で、アテモヤがスーパーに並ぶのも冬です。種を取るためにはスーパーや市場でアテモヤを買います。

アテモヤの種

アテモヤを種から育てる場合、まずはアテモヤを食べ、残った種を洗い、種まきの準備をします。

アテモヤを食べる時は種の誤飲に気を付けましょう。

種の色と形状

アテモヤの種

アテモヤの種は黒に近いこげ茶色をしています。まん丸と言うよりは細長い感じです。

種の殻

アテモヤの種は固い殻に包まれています。種まきをするにあたり、この殻を剥く必要はありません。

アテモヤの種の中身

殻を剥く必要はありませんが、実際に向くと中は繊維に包まれています。おそらく栗の薄皮と同じような成分だと思われます。

アテモヤの種まき

アテモヤの種まき

2022年4月、種まき用の土に種をまきました。半分はそのまま、もう半分は茶色い殻をむいてからまきました。結果的には、いずれも同じような時期に発芽したので、殻をむく必要はないと思います。

覆土

種は地表から1cmぐらいの深さになるように蒔きました。覆土の高さが1cmぐらいです。

アテモヤの発芽

アテモヤの発芽

発芽するまでの期間

種まきは4月上旬で、発芽は4月末でした。

発芽まで大体1か月ぐらいかかった計算です。

発芽適温

実際に発芽した4月の我が家周辺の平均気温は23℃ぐらいです。少なくとも23℃前後では発芽するようです。

他の植物もそうですが、発芽が早い植物もあれば、遅い植物もあります。すぐに発芽しなくてもあきらめず、どんな植物もおおむね2か月ぐらいは水やりを継続するとよさそうです。

発芽率

順次発芽していったのですが、最終的な発芽率は50%ぐらいでしょうか。殻を剥いてから蒔いたものも、殻を剥かずに蒔いたものも、いずれも同じぐらいの発芽率で、殻を剥くか剥かないかで発芽率が変わることはありませんでした。

発芽後の種

発芽後もしばらく種の部分が頭にかぶさった状態が続くことがあります。その種部分を手で取ろうとして中の新しい葉まで取ってしまったことがあります。その時は生長点までは取れなかったようだったので良かったですが、冷や冷やでした。

発芽後に誤って葉ごと取ってしまったアテモヤの種部分

個人的には種の部分は人為的に取り去るのではなく、自然に任せて放置するか、簡単に取れるかを見極めてから取るのが良いと思います。私のように強引に取ろうとしてはいけません。中の葉が傷つきます。

もっとも、自然に取れるのを待っていても、ぽろっと中の葉ごと落ちることもあります。

アテモヤの苗

アテモヤ、台湾における鳳梨釋迦の苗はネット通販で200元弱で購入可能です。すでに開花実績のある苗もその程度の価格で売られています。確実に実を収穫したい場合はそういった苗を買う方が良いです。

アテモヤの栽培場所

アテモヤはプランター/植木鉢でも栽培できるのかは不明ですが、我が家ではベランダという特性上、どうしてもプランター/植木鉢での栽培となります。日照条件があまり良くないですが、それでもできるだけ日に当てながら育てようと思っています。鉢植えは確定です。

なお、我が家は台湾にあります。

アテモヤの冬越し

春(4月)になって新芽が出てきたアテモヤ

初年度は10月中旬に生長が止まりました。二年目は9月中旬に生長が止まりました。そこから冬越しになります。

アテモヤの耐寒温度は諸説ありますが、12℃以下になる日が続くようなら室内への移動を検討します。特にアテモヤに限らず幼苗は成木よりも寒さに弱いことがあるので要注意ですし、そもそも日本の本州以北の寒さに耐えられるような耐寒性は持ち合わせていません。

なお、不思議なもので2023年1月に室内に入れたところ、突然葉が大量に落ちてしまいました。植物って環境変わると葉を落としたりしますよね。そして結局その時は10日間ぐらい経過したのちにベランダに戻しました。

アテモヤは常緑樹です。環境によっては半常緑樹とも言われるそうです。我が家の環境では落葉しますが、4月には新芽が出てきて新しい枝、新しい葉が出てきます。

アテモヤの剪定

アテモヤの剪定

初めての冬を迎え、アテモヤの剪定(摘芯)をしました。地面から30cmぐらいのところでカットです。実は、何もわからずに切りました。

基本となった考えは、狭いベランダで邪魔にならない程度に育てるには、まずは地上から30cmぐらいで切って様子を見るのが都合がよかったというものです。

アテモヤの植え替え

アテモヤを植え替えるところ

2023年の1月末ごろ、アテモヤの植え替えをしました。それ以降2023年は一度も植え替えをしませんでしたが、問題なく育ちました。

アテモヤの植え替えは落葉樹と考えて冬に行っています。

肥料

我が家のアテモヤはまだ小さく、開花はまだ先だと踏んで、今与えているのは一般的な平均的な肥料です。生長期のみ、有機質の緩効性肥料を与えています。開花が期待できる場合は開花時期前後は開花用に切り替えようと思っています。

アテモヤの収穫

アテモヤは冬に収穫となりますが、種から育てた木から実が収穫できるようになるまではかなりの年数が必要になると思われます。むしろ結実しないかもしれません。種から果樹を育てるというのはあまり現実的な方法とは言えません。接ぎ木苗などを購入する方が結実を期待する意味では余程現実的でしょう。

台湾では11月末ごろからスーパーや果物屋にアテモヤが並び始めます。

最後に

今、台湾に旅行で来ることは困難を伴います。逆もしかりで日本へ帰るにしても簡単ではありません。ネット通販で手軽に台湾の味が楽しめるという意味では、こういった試みも良いように思います。国境を越えたコミュニケーションは今後も加速し、垣根がどんどん低くなっていくことでしょう。

ベランダで育て始めたアテモヤは結実まではそれほど期待していません。ただ成長は楽しみです。

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