台湾では蛇口の水を飲むことは一般的ではなく、浄水器などを介した水を飲むのが一般的です。我が家にも浄水器はあるのですが、それが突如壊れてしまい、新しい浄水器を買ったのは良いものの、水質を検査したら驚きの結果となったのでここに書き記しておきます。
目次
命を守る浄水器が壊れた?!
機械というのは突然壊れるもので、いつかはそれが起こってもおかしくはなかったのですが、浄水器が壊れたときは非常に焦りました。
なにしろ私の住む台湾では「浄水器がない=飲み水がない」ということになるからです。いや、コンビニやスーパーへ行けば飲み水は売られています。ここでいう「飲み水がない」というのは自宅の上水道から飲み水を供給できなくなるということを意味します。
水とは
そもそも水というのは液体のH2Oにミネラルなどの不純物が溶け込んだ状態の物を指します。
ミネラルの中でもカルシウムやマグネシウムが多く含まれている水を硬水と言います。逆にカルシウムやマグネシウムが少ない水を軟水と言います。そしてこのカルシウムとマグネシウムの含有量を硬度と言います。
硬水・軟水の基準
WHOの基準では硬度60mg/L以内の水を軟水、硬度60~120mg/Lを中軟水、硬度120~180mg/Lを硬水、硬度180mg/L以上を超硬水と言います。
また、一般的には硬度100mg/L未満を軟水、硬度100~300mg/Lを中硬水、硬度300mg/L以上を硬水とする場合もあります。
硬水は悪い水なの?
カルシウムやマグネシウムといった不純物が多く含まれている硬水は、必ずしも悪いものということでもありません。
カルシウムやマグネシウムの補給が必要な場合に硬水は活躍するでしょう。
お店でもたくさんのミネラルウォーターが売られていて、あえて硬水を選んで購入する方もいると思います。
ただ、体質によっては下痢をしたり、体に害をもたらす場合もあります。いずれにしても体質や病気の有無などによって硬水が体に適しているかは異なります。
私は台湾に来てから慣れるまで、ほぼ毎日お腹が緩い状態でした。まさに水が合わない状態でした。体が適応するまでには1年ぐらいかかったように思います。ただ、これは体質にもよるでしょうし、他の要因もあったのかもしれないと思うので、一概に同じぐらいの期間が必要だとは言えません。
台湾での水の飲み方
台湾の水道水は一般的に硬水で、そのままでは飲み水に適さないと言われます。台北は軟水の地域があると言う方もいますが、それがどこを指すのか具体的な場所を私は知りません。そういった地域もあるのかもしれませんが、基本的には台湾で水道水を直接飲むことは推奨されない行為になります。
旅行で台湾に来られる方も多いと思いますが、ホテルなどで部屋の蛇口から出る水を直接飲むのはやめた方が良いと思います。
台湾の水道水を直接飲んでいる人がいる?
日本の水道水はそのまま飲めるケースが多いです。しかし、台湾ではそうはいきません。と私は思っていたのですが、我が家の大家さんは水道水を直接飲んでいると言います。
我が家の大家さんとさらに近隣に住む方とで雑談をしていたら偶然水道水の話になって、大家さんは「私はこの町の水を子供のころからそのまま飲んでいるが、何も問題になったことは無い。」と言っていました。
しかし、近隣に住む方は間髪入れずに「それはあなたの体質だ。」と言っていました。つまり、体質によって体に適した水は異なるということのようです。
逆に大家さんの体が強くてすごいなと私は思いました。結石ができたことがないか今度聞いてみたいです。
なお、大家さんの家にも浄水器があるのを私は知っているのですが、それはおそらく家族のためということなのでしょう。
水道局では塩素処理
台湾の水を語る上で忘れてはいけないのが台湾の水道局である「台灣自來水股份有限公司」です。
上記台湾の水道局では採取した水を混ぜ、不純物を凝固させ、沈殿したものをろ過し、消毒して提供しています。
そして提供している水には0.2mg~1.0mg/Lの残留塩素(自然災害などで浄化前の水質が悪化した場合などは0.2~3.0mg/L程度に増やすことがある)が含まれるように調整されています。
日本でも基本的に0.1~1.0mg/Lの残留塩素が含まれていますが、これは0.1mgの濃度を維持することが法令で義務付けられているからです。
塩素は水由来の疾病を防ぐ目的で入れられています。ただ、この塩素のニオイが苦手な方や、塩素と他の物質が反応することで消毒副生成物が発生する可能性もあります。
我が家(台湾在住)の水の飲み方
前提として、我が家では水道水をそのまま飲むことをしていません。浄水器を介した水をさらに沸騰させ、それを冷ましてから飲んでいました。
これまでの水の飲み方
これまでは手間でも浄水器Aを通し、さらに電気ポットで沸騰させ、それが冷めるのを待ってから飲むようにしていました。また、お湯はお湯で保温ポットに移し、コーヒーを淹れる時などに使っていました。
- 水道水
- 浄水器A(今回壊れたのはコレ!)
- 沸騰
- 冷ます
しかし、その浄水器Aが壊れてしまったことで、浄水することができなくなり、仕方がなく新しい浄水器Bを購入しました。そして以下の構成となりました。
- 水道水
- 浄水器B(沸騰機能付き!)
新しく購入した浄水器Bは沸騰機能がついているので、浄水器Bに水を供給さえすれば、後は自動で沸騰し、それを一部保温、そして一部を40℃程度まで下げてくれます(おそらく自然冷却)。
これで我が家にも水が戻ってきたと思ったのですが、家族から「変な味がする」と言われてしまいました。
確かになんだか独特の味というか、舌に残る味があります。それでも私は普通に飲めたのですが、私以外、誰もその浄水器Bの水は飲まず、自分でペットボトルの水を買い始めました。
待てい!この浄水器B、何万円もしてるんだわ!頼むからこの水を飲んでくれ!と、言われてもまずいものは飲めません。
以前の浄水器Aと新しい浄水器Bの違い
以前の浄水器A(壊れてしまった浄水器)は3本のカートリッジが内蔵されていて、それは以下の順番になっていました。
- 繊維フィルター(大まかなゴミの除去)
- 活性炭(カルキ臭などの除去)
- 活性炭(カルキ臭などの除去)
浄水器Aはさらに紫外線による殺菌も内部で行われる設計になっているそうです。
新しい浄水器Bは2本のカートリッジが内蔵されていて、以下の順番でした。
- ①イオン交換樹脂フィルター(イオン系物質の除去)
- ②中空糸膜フィルター(サビやカビ、細菌などの除去)
そもそもフィルターの種類が違うので、当然ですが水質も異なるはずです。
BRITA追加したら大幅に改善!
美味しくないと言われ続け、悩んだ結果、活性炭が入っていないから美味しくないのではないかと思い、話題のBRITAを導入し、以下の構成としました。
- 水道水
- BRITA
- 浄水器B(沸騰機能付き!)
となると、手間は増えますが、以下のようなフィルター構成になります。
- 活性炭フィルター(カルキ臭などの除去) ※BRITA
- イオン交換樹脂フィルター(イオン系物質の除去) ※浄水器B
- 中空糸膜フィルター(サビやカビ、細菌などの除去) ※浄水器B
BRITAを追加したことで、ようやく飲める水になったと言われました。ただそれは味のことで、水質がどうなっているかは外見からはわかりませんでした。
TDSを測ってみる
TDSとはTotal Dissolved Solidsの頭文字を取った略語で、水に溶け込んだ物質「総溶解固形分」の量を計測することができます。硬水・軟水を決めるカルシウムやマグネシウム以外の物質も含めた含有量となります。つまり、TDSを測ることである程度硬度の目安にはできます。
硬水は当然カルシウムやマグネシウムを含むのでTDSは高めになります。軟水はカルシウムとマグネシウムの含有量が硬水よりも少ないので、そこだけを見ればTDSは低くなると思いがちですが、カルシウムとマグネシウム以外の物質が溶け込んでいる場合はその限りではありません。
測定結果
それぞれの段階で異なる結果になることは想像した通りだったのですが、ただ、それぞれの段階の数値はどうやら私の想像とは少し違ったようです。
なお、ここで突如浄水器Aが直ったので、浄水器Aも使用した検証結果になっています。
- 水道水 TDS 212
- 水道水→浄水器A TDS 235
- 水道水→浄水器A→BRITA TDS 110
- 水道水→浄水器A→BRITA→浄水器B TDS 206
これらの結果から、やはりそもそもの水道水は不純物が多く、硬水であると判断できます。
そして、浄水器Aを通した後はTDSが微増しました。つまり硬度には影響を与えていないか、一度高度を下げたうえで何かを添加した、みたいな構成になっているかだと思われます。
BRITAを使用すると圧倒的にTDS値が一気に下がりました。といっても、中軟水か中硬水と言ったところでしょうか。それにしてもBRITAはさすがだなと思いました。
浄水器Bを通った後はむしろTDS値が増加しました。BRITAでTDS値が下がったのに、ここでも何かしらの不純物が添加されていると考えられます。
結果を受けて
ちょっと、待って!浄水器って不純物を減らすんじゃないの?!
浄水器Aを通った後にTDS値が下がらなかったことも驚きましたが、浄水器Bを通った後に不純物が増えている結果になり、ちょっと意味がわかりませんでした。
今回の検証の課題
まず、フィルターは使用開始直後とある程度使用した後で水質が全く同じであるとは限らないこと。浄水器Bを購入して比較的すぐに検証したので、それも影響した可能性は否めません。
今後について
とりあえずは味が改善したので、浄水器AとBRITA、浄水器Bを併用する形にしています。それはたぶんBRITAのおかげですね。
浄水器Bを経由した水のTDS値が上がっていることは気になりますが、それは改めて考えていきたいと思っています。
不純物を除去する上では逆浸透膜の使用がかなり効果的なのだそうです。逆浸透膜を使えばかなり純水に近い、TDS値の低い水を作り出すことができるのだそうです。
それは今後改めて検討しても良いかもしれませんが、純粋は逆に味が良くないとも聞きます。飲料水用にフィルター群がセットになった逆浸透膜使用の浄水器などが良いかもしれませんね。実際近所の家ではそれを使っている家もあって、非常に飲みやすい水でした。
最後に
台湾に旅行で来る際は、水道水を直接飲まないように気を付けてください。また、もしも台湾に住むことがあったら、一般的には浄水器の導入が必要になるので、そこも注意が必要です。
ちなみに浄水器Aが突然直ったので併用していますが、今後いつまた壊れるかとびくびくしております。