滑らかなバニラアイスを作るために試行錯誤した結果、アイスクリームが滑らかになる要因の一つに卵黄があることを知り、今回卵黄を使ってバニラアイスを作ったところものすごくおいしくて滑らかなバニラアイスが出来たのでここにレシピとともに書き記しておきます。
目次
至高のバニラアイス
今日、日本でもここ台湾でも、コンビニやスーパーなどに行くと冷凍コーナーでアイスクリームが売られているのを目にすることが多いです。アイスクリームはいろんな味があり、またメーカーごとに食感なども異なります。
その中でも私が大好きなのはハーゲンダッツのバニラ味。もちろん他にも好きなアイスはありますが、ハーゲンダッツのバニラアイスだけは至高と言って良いほど好きなアイスクリームです。市販のバニラアイスを食べるならハーゲンダッツがナンバーワンだと思っています。
バニラアイスを自宅で作る
以前から挑戦していることがあります。それはバニラアイスを自宅で作ることです。
なんでそんなことをしようとしているのかと言うと、ハーゲンダッツはここ台湾ではかなりの高級品で、庶民の私にはなかなか手が出せないからです。いや、お昼抜きとか、頑張れば買えます。でも、やはり躊躇してしまいます。
自宅でアイスクリームを作れたら楽しいなとも考えました。そこで!今までにも何度かアイスクリーム作りには挑戦してきました。
意外と難しいアイスクリーム作り
子供のころ、親の友人宅で一緒にアイスクリームを作ったことがあります。その時は確か氷水に塩を入れ、そこに材料が入ったボウルを浮かべてひたすら材料をかき混ぜていました。
氷水に氷をつぎ足しながら混ぜていくと、材料が少しずつ固まっていき、市販の物とは違うアイスクリームができあがりました。
なにぶんかなり前のことなのと、当時子供だったこともあり、材料や味は覚えていません。でも、そういう体験って言うのは大人になってからも覚えているんですね。
今まで自分でも挑戦したことがあります。しかし、出来上がるものはなぜかシャーベットみたいにカチカチのものばかりでした。滑らかさなんか皆無。それはバニラアイスと言うより、生クリームシャーベットでした。
この経験からアイスクリームを作るのは難しいとずっと思い続けていました。
何がいけないのか考えても一切わかりません。YouTubeなどで作り方の動画を見ても、何が違うのかわかりません。
でも、ふと気が付いたんです。卵を入れているレシピとそうでないレシピがあることに。
滑らかさの正体は卵黄!
アイスクリームには卵黄を入れるレシピがあります。なんで卵黄なんか入れるんだろう。しかも生で入れているようなレシピもありました。
ここ台湾で生の卵黄を入れるなど御法度。いや、法的に問題があるのかはわかりませんが、食中毒のリスクが激高です(台湾の鶏卵は生食を前提として生産されていないものがほとんどです)。
そのため、私は卵黄を入れずにアイスクリームを作ろうとしていました。それが失敗の元だったのです。卵黄を加熱してから(生じゃない状態で)安全な状態にしてから入れれば良かったのです。
アイスクリームとソルベ
果汁を数時間おきに砕きながら凍らせたものはソルベと呼ばれます。
ソルベは基本的に果汁を使うのでアイスクリームとは異なるものですが、私が作ろうとしていた卵ぬきのアイスクリームは、意図せず果汁の代わりに生クリーム+砂糖を用いたソルベのようなものとなってしまっていました。
当然食感も味もアイスクリームとは異なります。
シャーベットは卵白を入れることがある
ソルベに似たシャーベットは卵白を入れることがあるそうです。それは滑らかさを足すため。ほお?卵白?卵白も生は危険よ!でも、レシピを見る限り、生の卵白を入れる物しか確認できませんでした。
卵白は58~60℃から凝固を開始します。しかも、ゆで卵や卵焼きでわかるように、白身はプリップリになる性質があります。加熱したうえで滑らかな食感というのはなかなかに難しいものです。
サルモネラ菌の多くは卵の殻の周りに付着しているようです。もちろん、中に含まれる可能性も排除できず、それを防ぐための対策も日本の鶏卵生産者は施しているところが多いようです。
台湾で生の卵白を使うなんて怖すぎてできません。海外のシャーベットメーカーはどうしているんでしょうね。シャーベット以外にもティラミスやらマヨネーズやら、生の卵や生に近い卵を使う料理がなぜ存在しているのか疑問です。
卵黄をカスタードクリーム状のアングレーズソースにする
洋菓子でよく登場するカスタードクリームは卵黄に牛乳、砂糖、薄力粉、バニラエッセンスなどを入れて作られるクリームです。薄力粉を入れないものもあり、薄力粉を入れないものはアングレーズソースと呼ばれます。
卵黄の凝固開始温度は65℃です。卵白(58~60℃で凝固開始)よりも卵黄は凝固温度が高いです。
この卵黄を完全に凝固させるのではなく、それでいて火を通して滑らかな食感になるのがカスタードクリームで、薄力粉を入れないのがアングレーズソースです。カスタードクリームよりもアングレーズソースの方がもったり感が少ないです。つまりアングレーズソースの方がトロトロです。
生卵で問題になるサルモネラ菌は75℃以上1分間の加熱で死滅するそうです。そのため、温度を高めすぎず、かつ75℃以上で1分間以上の加熱が出来て、滑らかな状態を維持できればアイスクリームに使用できそうです。
そして今回実際にアングレーズソースをアイスクリームに使用したところ、超絶滑らかなアイスクリームができました!
アイスクリームの滑らかさの要因
アイスクリームを滑らかにするためにはいくつか方法があると思います。
今回のように①卵黄から作ったアングレーズソースを使用する、②完全に凍結するまで何度かかき混ぜる、なども滑らかにするための方法でした。
それ以外にもいろいろあるようです。逆を言うと、以下に書き記すものも含め、これらのどの対策もせずにアイスクリームを作った場合、滑らかになる可能性は限りなく低いように思います。
練乳でアイスクリームが滑らかに?
練乳を入れるとさらに滑らかさが増し、冷凍庫から出してかき混ぜる必要がなくなるとするレシピもありました。
生クリームをしっかり目で泡立てると滑らかに?
生クリームの泡立てもしっかり目に泡立てることで滑らかさが増すとするレシピもありました。
チョコレートアイスなら卵がなくても滑らかに?
チョコレートアイスの場合、卵を入れなくても滑らかになるのか、そのようなレシピも見かけました。写真を見る限り、かなり滑らかそう!
でも、チョコレートって30℃ぐらいで個体になるはずなので、いったいどういうことなのでしょうか。油分が多いので凝固してからも削れると言えば削れます。それは氷のような固さとは異なります。それが理由なのかもしれません。
滑らかになったバニラアイスのレシピ
- 生クリーム(脂肪分36%) 200ml(アングレーズソース用の75mlを含む)
- 砂糖 40g
- 卵黄 1個分(約15~20g)
- バニラエッセンス 茶さじ1杯分程度
今回は以下の材料を用いてアイスクリームを作りました。なお、牛乳が冷蔵庫になかったので牛乳は入れていません。
牛乳を入れるよりも、全部生クリームで作った方が気持ちの上での高級感は上がり、リッチな気分にはなります。
作り方
作り方自体はそんなに難しくありません。しいて言うならアングレーズソースの完成見極めが必要で、その感覚が少々難しいかもしれません。
- 卵黄、砂糖、バニラエッセンス、生クリーム75ml分を鍋に入れ、よく混ぜながら火にかける
- 十分火が通ってもったりとしてきたら鍋ごと氷水などで冷やす
- 冷えた「2.」を泡だて器で泡立てる
- 残りの生クリーム125mlを泡立てる
- 「4.」に「3.」を4回に分けて混ぜながら入れる
- 「5.」が完全に混ざったらステンレスのボウルに入れて冷凍庫に入れる
- 15分おきに冷凍庫から取り出してしっかり混ぜ合わせながら合計3時間冷凍する。
- 「7.」を保存容器に入れ、5時間程度冷凍したら完成
今回はアングレーズソースを作る時に温度計などを使いませんでしたが、温度を計測しながら作った方が安全です。
冷凍開始から完全に凍結するまで何度もかき混ぜたのは、やはりこれも滑らかにするためです。そのまま冷凍して一切かき混ぜなかった場合、氷の結晶が大きくなり、カチカチの食感になることがあります。それを防ぐために何度かかき混ぜてから完全凍結を目指します。もっとも、一回も混ぜないレシピもあり、これも絶対必要な作業とは言えないようです。
そもそもかき混ぜる頻度はもっと少なくても良いかもしれません。でも、気が短い私は、暇だったこともあり、何度も何度もかき混ぜていました。それが大体15分おきでした。
最後に
今回出来上がったバニラのアイスクリームは想像を圧倒的に超えた出来栄えでした。なんとおいしいアイスクリームなのでしょう!超滑らかなバニラアイスが完成しました。
作るのも楽しいので、子供と一緒に作るのも楽しいと思いますが、サルモネラ菌には注意しましょう。