私は通信制大学を卒業というちょっと変わった経歴を持っています。当時、私の周りに通信制大学に通っている人など皆無で、そういう大学で勉強している事はとても珍しいものでした。
何かと謎の多い通信制大学について、実際に通信制大学を卒業した身として思うことを書いています。
私は通信制の大学卒業者です
当時日本ではまだまだ通信制の大学というのは一般的とは言えず、でも様々な事情が重なって社会に一度出てから、社会に身を置きつつ、つまり仕事をしながら大学卒業を果たしました。これは通信制大学だったからなし得たことです。
なお、ここでいう「通信制大学」は学位取得が可能で、通学ではなく通信によって受講するスタイルの大学です。
通信制大学についての疑問については、簡単ではありますが以下で回答しています。
大卒、高卒、中卒は個人の自由
義務教育と言われる中学校まではほとんどの方が卒業していると思われるのですが、高校以上は個人の選択制となります。様々な理由で行けないという方も存在しますが、条件が整って、入試などを通過し、入学が認められさえすれば、入学することが可能です。
高校を卒業した後の進路というのは、主に大学、専門学校、就職の3つ。それぞれの希望、また状況にあわせて進路は決定されます。
私は高校を卒業後、社会人になっていました。
通信制大学のスクーリングについて
通信制大学と言っても、一定期間通学が必要になるケースが存在します。その通学のことをスクーリングと言いますが、これがネックでどうしても通信制大学へ入学できない人もいました。しかし、最近はスクーリングが一切必要ない通信制大学も登場してきているので、そういう通信制大学を選択することもできます。
通信制大学のデメリット
通信制大学とはいえ、スクーリングがある場合があります。スクーリングがある場合、仕事をしながらだとほぼ不可能だと思われます。
通信制大学は横のつながりが希薄になりがちです。自分と学校のつながりも顔を見ながらではないためどうしてもつながりが希薄になりがちです。そうならないようにスクーリングがあったり、私が卒業した大学では教授と面談できる機会なども用意されていました。
また、学位を取得できた場合書面上は一般の大卒と変わりませんが、その後就職活動などをされる場合に、不利になる可能性は捨てきれません。特に若い人の場合、一般の大学に通わないで通信制を選んだことを、論理的に説明する必要が出てくる可能性があります。それぐらい通信制大学は特殊だと考えられます。
通信制大学のメリット
スクーリングがあったとしても短期間であったり、スクーリングが無い通信制大学もありますから、自宅に居ながらにして授業を受講できるのが通信制大学の最大のメリットです。そのことにより忙しい日々を過ごしている人でも隙間時間に勉強をすることができます。なにかしらの事情で通学が困難な人にとって通信制大学は有力な選択肢の一つだと感じます。最近ではeラーニングと称してインターネットで受講することのできる通信制大学もあります。
若い人とは逆にすでに社会人として仕事をしてきた人が、改めて通信制大学で学び、卒業したようなケースでは見られ方も異なります。なぜなら、仕事をしながら大学を卒業することは簡単ではないからです。中には志が高いと感じる方もいるようです。
また、全てeラーニングで受講する場合は、海外在住でも入学、受講が可能な場合があります。海外在住者にとってもありがたい存在だと感じます。
通信制大学に向く人向かない人
今まさに高校を卒業しようとしている18歳の場合
高校を卒業したのち、すぐに通信制大学には行かない方が良いように思います。こういう方は通信制大学はやめた方がいいです。理由は、まだまだ通信制大学は一般的ではなく、もちろん企業の選考基準、面接官の考えなどにも左右されますが、就活の際に不利になる可能性が捨てきれません。一般の大学に問題なく進学できる方はやめた方がいいというのが私の考えです。
ただ、何かしらの事情で通学が困難な場合は通信制大学も有力な選択肢となります。
すでに学校を出て社会人となっている大人の場合
すでに仕事を持ち、知識を深めたり大卒の資格がほしいという社会人の方には最適だと思います。むしろ社会人の方には通信制大学がおすすめです。通信制大学なら仕事をしながら学び、学位を取得することができます。
通信制大学の選択基準
通信制大学は一つだけではありません。いくつかある通信制大学から自分に最適な大学を選ぶ必要があります。選択の際に重要と思われるのは以下の項目です。
- 学位の取得可否
- スクーリングの有無、および期間
- 受講方法
- 費用
- 希望する学問分野の有無
- 入学時期(春入学/秋入学)
これらが自分の希望に合うか、最低限事前に調べた方が良いと思います。それから就職や転職のサポートがあるかも必要であれば確認した方が良いと思います。
なお、事前に入学希望の通信制大学における卒業率も参考になります。通信制大学はモチベーションの維持という意味において卒業までが簡単ではありません。
説明会を実施している通信制大学もありますので、興味のある方は一度説明会に行ってみると良いと思います。私も入学前に一度参加しました。
通信制大学の費用
通信制大学の費用は、その大学によりまちまちだと思いますが、私の卒業した通信制大学の費用は、私でも払えるレベルのものでした。ただ、安いとは思いません。相応であると感じます。奨学金などは利用しておりません。当時、多少貯金があったのでそれを利用しました。
通信制大学の入試
私が卒業した通信制大学には入試がありませんでした。願書と志望動機等の書類を提出し、審査の上合格となりました。そういう意味では入りやすい大学だと言えます。
通信制大学は大卒扱い
学位の取得が可能な通信制大学を卒業すると、権利としては学位取得者となります。 学位の取得が可能な場合、当然書面上は大卒扱いです。
余談ですが、海外で就職する場合、どんな大学かわからなくても大卒であることは間違いないので、単に「大卒以上」という選考基準を設けている会社があった場合に、その条件に関してはクリアできると考えられます。
通信制大学卒業後の就職について
すでに仕事を持ちながら、社会人として通信制大学で学んでいる方は就職先を探すということは無いのではないかと思います。あるとすれば、大学で学んだ知識を生かしての再就職。つまり転職です。高校卒業後に社会人を経験せずに通信制大学を卒業する場合は新規で就職先を探すことになります。
就職の優位性については採用を行う企業によって選考基準が異なるため、一概に言えません。個人的な考えでは、歴史の長い大手企業に入ることは、よほどのことがない限り難しいのではないかと思います。2人の候補者がいて、一人は早慶、もう一人は名も知らないような通信制大学だった場合、学歴から早慶を選ぶ企業、担当者がいてもおかしくはありません。
なお、通信制大学の中には、卒業後の進路をある程度公開している大学もあります。例えば新規就職が何人、転職が何人などです。参考にすると良いと思います。
最近は通信制高校もある
余談ではありますが、最近は通信制の高校も存在します。いや、以前からあって、私が知らなかっただけかもしれません。時代の流れと言いますか、通信制の大学や高校が少しずつ一般的になっていくような流れもあるのかもしれません。
様々な事情から通信制を選択する、という状況から、あえて通信制を選択する時代も来るかもしれませんね。いや、もしかして、もう来てる?
まとめ
通信制大学は書面上では一般の大学と同じです。しかしながら、就活などにおいて必ずしも一般の大学と同じ扱いをされるかは面接をする企業によります。それでも社会人経験のない若い人が通信制大学を卒業して学位を取得した場合、新卒であることに変わりはありません。
通信制大学によってはスクーリングが発生します。また、通信制ということで横のつながりが希薄になりがちです。しかし、スクーリングが必要ない通信制大学もいくつか存在します。社会人や海外在住者にとって通信制大学は最も有力な選択肢です。
通信制大学は、最低限「学位の取得可否」「スクーリングの有無、および期間」「受講方法」「費用」「希望する学問分野の有無」「入学時期(春入学/秋入学)」を調べた方が良いです。また、説明会に参加するのも良いと思います。