台湾の梅事情 苗買って育てるならアンズ系

2022年は梅干しを作ろうと少し前から思っていたのですが、諸事情によりできずにおります。もう梅シーズンも終わってしまいます。

ふと自分で梅を育てて収穫すれば、そんなことないなと思い至り、台湾のネットで売られている梅の苗についていろいろ調べてみました。

台湾の梅シーズン

台湾の梅は、山間部などの早いところだと12月中ごろから花が咲き始めます。平地でも1月中旬ごろでしょうか。

台湾では桜を観賞しようという向きもあるのですが、どちらかというと梅の方が一般的で、花を観賞するだけではなく、梅の実を使った加工品も一年を通して豊富に販売されています。一般的に梅は桜よりも早く咲き始めますが、台湾では年を越える前から開花のニュースが流れることがあります。

台湾の梅

そもそも台湾の梅は昔中国から持ち込まれたもので、多く分布している地域で有名なのは南投県です。先ほど12月に開花ニュースが流れると書いたのも南投が中心となります。

近所のスーパーや市場では春になると小ぶりの梅の実が売られ始めます。聞けば、基本的に台湾にある梅は小さくて種が尖っているのがスタンダードなんだとか。今まで購入したことがある小梅は大体渋みが強いものでした。それ以外にも市場では大きめの梅も売られていますが買ったことがありません。

ネット通販の梅の苗

肺炎の流行により、市場にすら行くのがためらわれる昨今、自宅で梅が育てられたらいいんじゃね?という非常に安易な考えで梅の苗を探してみました。

日本で言うところの南高梅みたいのが無いかなと探したのですが、あいにく南高梅は台湾で見つけることができませんでした。加工品の梅干しはたくさん売られていますが、苗は見つけられませんでした。

熱帯大梅

今年、肺炎の流行がなければ大きめの梅を買おうと思っていました。しかしそれは実現できず。そこでネットで「大梅」の苗を探してみたところ「熱帯大梅」というのがたくさんヒットしました。あるじゃん!

と思ったのですが、そもそも他の梅の苗も見ていると、梅の木からできる梅のサイズは平均とされるサイズはあるものの、そもそも小さい実もできれば大きい実もできるのだとか。それはそうで、自宅で野菜を育てても、出来上がる実の大きさはマチマチです。だから、小さい実もできるし、大きい実もできて、平均的なサイズは○○ですよ、というのをチェックしないといけなくなります。

それで、熱帯大梅のサイズなのですが、いくら調べても出てきません。しかも、熱帯大梅の実が売られている様子もありません。むむむ。他のものを探した方が良いかも。

日本果梅

「日本果梅」という梅の苗も売られています。しかし、品種は一切書かれていません。「大果日本果梅」と書かれている場合もあります。しかし、つけられているプレートを見るとそこにはただ「日本果梅」とだけ書かれています。むむむむ!

胭脂梅

少し赤みがかった実が特徴の「胭脂梅」というのも売られていますが、写真を見る限りそれほど大きいものではなさそうです。大きい梅ができる品種がいいなと思っているので、これは候補から外しました。

後日、梅シーズンに近隣の市場でも売られているのを確認しました。一般の梅よりも少々割高でした。

杏梅

そんな中見つけた「杏梅(中国語読みだと「しん↘めい↗」が近い発音です)」という、アンズなのか梅なのかわからない品種。説明を見ても「アンズだけど梅みてぇなもんだ。梅のように加工できるぜ!」のようなことが書かれています。なんじゃそりゃ?!

で、調べてみると、アンズを梅のように梅干しにしたり、加工したりというのは地方によってはあるのだとか。お?これがいいんじゃね?

数年前から南高梅のような粒が大きめの梅を探していて、そんな中で豊後梅(ぶんごうめ)という品種の名前を見たことがありました。なんでも、南高梅よりも大きいのだとか。その当時はへぇ~、そんなのがあるんだ。ぐらいにしか思っていませんでしたが、なんとこの「杏梅」、日本のどの梅に該当するのかを調べてみたところ、「杏梅は日本では豊後梅と呼ばれている」という記述を発見。これやん!

豊後梅は梅と杏(あんず)の交雑種。台湾の杏梅の説明を見ても、やはり梅と杏、もしくは山杏との交雑種。つまり、いずれも梅とアンズの交雑種という共通点があります。

一切見つからない南高梅の苗より、苗を買うならこの杏梅が良さそうです。→追記:後日苗を購入しました!

ついでで言うと、杏梅という名前の日本語もあるようで、「あんずうめ」と読み、アンズの別名とされたり、梅の品種の一つとされることもあるようです。また、杏子梅(あんずうめ)という表記もあるようで、こちらは梅の品種の一つのことだそうです。

結実実績のある苗ない苗

果実の苗は接ぎ木されたものと実生の苗がありますが、確実に結実を目指すなら接ぎ木苗の方が結実する確率が高く、さらに接ぎ木苗なら親の特徴を引き継ぐのだそうです。

果樹を買うにあたって、結実するかが最も気になるところではありますが、結実するかは購入する苗、その苗を設置する場所/植える場所の環境、世話の仕方などがかかわってくるので結実するかしないかは断言することが難しいとは思いますが、少なくとも、結実実績のある木の接ぎ穂から接ぎ木をしたものの方が結実する確率は高くなると思っています。

そして、その接ぎ木苗にも結実実績があるのか、そこが気になるところですが、ネット通販で見てみると、果樹によっては結実実績ありと書かれた苗も売られていますが、上記の杏梅で結実実績があると書かれているものは1つを除いて見つけられませんでした(具体的には「蕾がいっぱいついています!」と書かれていました)。何も書かれていない場合は購入前に質問した方が良いかもしれません。

最後に

梅の種を発芽させてベランダで育てている私ですが、それはただの趣味です。将来いつか花が咲いたり、実が出来たらいいなぁとは思いますが、そこまで期待できるものでもないと思っています。

毎年毎年春になると梅仕事と称して梅干しを作ったり、梅ジュースを作ったりすることが多いので、それに使う、大きな梅が手に入らないかと考えると、自分で育てるのが一番なのではないかという話になり、それは種から発芽した梅の木では期待薄なので、苗を買った方が良いとなります。

台湾にも梅の木はありますが、いろいろ調べた結果、杏梅という、アンズ系の梅の木が売られているので、いつかその木を手に入れて、梅を収穫してみたいと思っています。