家庭菜園は節約にならない?!計算した結果に驚愕、でもやっぱりやめられない理由

以前から庭やベランダで野菜などを育てていますが、ふとどの程度野菜などの購入費が浮いたか計算してみたくなり、概算ではありますが、植物の世話に当たっている時間に時給が発生した場合にどの程度の費用が必要だったかを計算してみました。

ベランダでシシトウ栽培は儲からない?!

ベランダで実った獅子唐(ししとう)
ベランダで実った獅子唐(ししとう)

ここ数年栽培しているシシトウを例に、ベランダ菜園がお得かそうでないか計算してみました。

なお、収量や設備の違いなどで結果は前後します。今回はあくまでも我が家のベランダ菜園の実績ベースでのお話です。

条件

今回の計算条件は以下の通りとします。

  • 50個収穫×2株=合計100個収穫
  • シシトウ1個の重さは4gで統一(100個のため合計収穫量は400g)
  • シシトウの市場価格を2300円/kg(1g当たり2.3円)とする
  • 1日2分の世話×90日
  • 1日の水道使用量は2L
  • 水道料金は0.15円/Lで統一(本当は地域によりますし、私の住む台湾は実は0.05円/L程度)
  • 肥料、土壌改良材、農薬(ニームオイルスプレーなど)、プランターなどの資材は考慮しない
  • 時給は日本と台湾の間の1000円/hとする

2025年はまさに上記のような状況での収穫でした。スーパーで買うよりもこれがお得なら、是が非でも家庭菜園をし続けたいと思いますが、如何に。

実際の計算式

今回の条件で実際に計算していくと以下のようになります。

市場価格を参考にした価値

収穫量は400g、市場価格2300円/kg、つまり2.3円/gで考えると、以下の計算になります。

  • 4g×100個=400g ※収穫した量
  • 400g×2.3円=920円 ※市場価格を参考にした価格

スーパーで買うなら920円程度支払う必要があったはずのシシトウをベランダで栽培できたことになります。

支出の計算

今までどの程度の支出があったかを考えたことはありませんでした。というのも、家庭菜園は趣味の一環で、収入の概念、支出の概念が消失していたからでした。

今回は肥料や資材、農薬などは考慮せず、水道料金と、費やした時間を時給で換算した時にどの程度の金額になるかを計算しました。

水道料金は問題ない!

台湾の水道料金は100Lで1元(5円)程度なので、実は日本よりかなり安いです。しかし、今回はわかりやすいように日本の平均的な0.15円/Lを用いて計算しています。水道料金は各地域ごとに異なります。

一回の水やりで使用する水の量を2L、90日(3ヶ月)水やりを続けると仮定し、使用する水の量を計算すると、以下のような形になります。

  • 2L×90日=180L
  • 180L×0.15円=27円

この計算だと、二株のシシトウで合計100個収穫するために必要な水の量は180Lで料金にすると27円です。この程度なら個人的には問題のないレベルかなと思います。

問題は人件費!

水やりや人工授粉などのお世話にかかる時間の計算は複雑です。人件費を例えば最低賃金で考えて計算してみます。

毎日の水やり自体はおそらく1株当たり30秒程度で、人工授粉も開花期には30秒程度かかります。つまり、毎日1分の時間を使ってシシトウのお世話をしています。

そのほか、無駄に観察したり、虫などが付いたときに対処したりしている時間もあるのではが、それはお世話ではないので今回は計算に入れません。

開花期もそうじゃない時も押しなべて計算すると以下のようになります。

  • 2分×90日=180分(3時間)
  • 1000円×3時間=3,000円

なんと!2025年のシシトウ栽培は時給に換算すると3,000円に相当する労働だったのです!もしもこの時間他で働いていたら3,000円が手に入ったかもしれないということですね(ものすごく単純に計算)!

スーパーなら920円で買えたかもしれないシシトウを、27円の水道代と3,000円相当の労働によって手に入れたということになります!

台湾における最低賃金は記事執筆時で196元(980円)です。なお、日本は平均1121円です。日本だと今回の計算よりも若干高くなると思います。

家庭菜園で儲けるためには

今回の計算の通りだと、家庭菜園でシシトウを栽培しても決して儲けが出るようなレベルにはなりません。作業時間を30%程度にしてようやく支出に対する収穫量が見合うイメージです。

もっと儲けが出るようにするには以下の改善策が考えられます。

  • 収穫量を増やす
  • 作業を効率化し、作業時間を短縮する

これらを実現できれば、費やした時間や費用に対して収穫したシシトウの市場価値の割合が増加していくと考えられます。

それでも家庭菜園をやめない理由

ベランダで栽培した小カブ
ベランダで栽培した小カブ

上記の計算をしてみて正直驚いた部分もありましたが、それでも私は家庭菜園をやめようとは思っていません。その理由は以下の通りです。

  • 近所で買えない野菜は作るしかなかった
  • 趣味だったので人件費という概念はなく、費やした時間に効率を求めていなかった

重要なのは、私の住む台湾でシシトウを購入することは困難であるという事実。例えばシシトウを食べることだけを目標に行動するなら、台湾のどこへ行くでもなく、やはり日本へ飛行機で行きます。となると何万円も費用が掛かります。3,000円で100個のシシトウを得られるというなら、皆さんは栽培するでしょうか。私はします!なぜなら台湾でシシトウはなかなか手に入らないからです。でも、やっぱりもっと効率よく栽培したいとも思います。

ベランダで栽培して収穫した赤紫蘇(2025年4月ごろ)
ベランダで栽培して収穫した赤紫蘇(2025年4月ごろ)

他にも大葉(青じそ)、赤紫蘇、ミョウガ、スイートバジルなどもそうです。どれも近隣で売られているのを見たことがほぼ無く、自分で作る他ない状況です。それに、やっぱり収穫は楽しいです!失敗することもありますが、無事に収穫できた時の喜びは何物にも代えがたいものがあります。

それから、例えば将棋が趣味の方がいて、その練習に使った時間を時給換算し、ああ、無駄だな、費用対効果が薄いな、と考える方はそれほど多くないのではないかと思います。切手集めが趣味の方も、プラモデルが趣味の方も同じです。私はたまたまそれが家庭菜園で、人件費という考え方をしていません。

でも、もうちょっと効率がよくても良かったかもしれませんね。

最後に

我が家のベランダ菜園は規模も小さく、決して「儲かる」ものではありませんでした。費やした時間に対してのリターン(収穫)も少なく、事業のような考え方をするならすぐに打ち切りにした方が良いレベルではないかと思います。

しかし、趣味として考えるならば、それほど悪くないのではないかと思います。なにしろ種をまいたり、お世話をしたり、観察をしたり、それらは大きな喜びを生みます。

ただ、そうはいっても今後は多少効率も求めていきたいなと思っています。