柿酢づくりで黒カビが発生すると失敗します。これまでも天然酵母など、発酵が必要なものを作ってきた筆者が、実際に柿酢づくりに挑戦したところ、カッチカチの塊になってしまいました。
柿酢づくりはカビとの戦い

柿酢づくりはすなわちカビとの戦いです。2025年秋に挑戦した時は黒カビが発生して失敗に終わりました。
黒カビが生えた理由、取り除いた後の経過を書いていきます。
仕込む段階で犯していた3つのミス
今思えば私は仕込む段階で3つのミスをしていました。そのミスが無ければきっとこんなことにはなりませんでした。
1.容器の壁面に付いた柿汁を放置した

容器に柿を入れてかき混ぜる際、容器の壁に柿の汁が付着します。それを私は放置していて、カビが発生しやすい状態になっていました。
容器自体はアルコール消毒をしたものだったので容器が汚れていたとは考えられません。壁に付着した柿の汁が乾燥し、発酵もせぬまま放置されていて、容器内が湿潤であった上に糖分まで含まれていたため、非常にカビが発生しやすい状態でした。
そうならないためには、かき混ぜる工程の後で、壁面に付着した柿の汁をキレイに拭き取る必要があります。
2.アルコール発酵の段階を踏まなかった

柿酢は最初に空気を使用しないアルコール発酵(嫌気発酵)を起こさせ、その後、空気を必要とする酢酸発酵(好気発酵)を起こさせることで作られます。
今回使用した柿は完熟状態で売られていた柿です。購入した段階ですでにトロトロで、容器に詰めた状態ではすでに液体の状態でした。

しかし、購入したばかりの柿はトロトロではあるものの、当然アルコール臭などはなく、発酵していない状態の柿でした。
本来はここで容器に入れ、かき混ぜた後に容器の蓋をして、アルコール発酵(嫌気発酵)をさせるべきだったのですが、すでに液状になっていたため、最初から空気の入る形で発酵をスタートさせてしまいました。

具体的に言うと、容器に蓋はせず、キッチンペーパーを1枚被せて輪ゴムで止めただけでした。そのままだと虫やホコリは入りにくいですが、空気は通るという、好気発酵に適した環境になっていました。
天然酵母を作った時もそうでしたが、酵母菌が糖分を分解し始めるとアルコールのニオイが出てきます。しかし、容器の蓋を閉めなかったことから、常に新鮮な空気に触れており、アルコール臭が出てくる前に酢のニオイが出てきました。つまりアルコール発酵を飛ばしてしまっていたのです。
3.容器のサイズが合っていなかった

最初のアルコール発酵を促すためには酸素の少ない状態を作る必要があり、用意した容器の8分目ぐらいまで柿で埋まるようにしないと、密閉したとしても上部に酸素がたくさんある状態になります。
天然酵母作りも一緒で、やはり容器の8分目ぐらいまで内容物がある方が成功しやすいです。それは嫌気発酵に適した環境になるからです。
今回私は容器の40%~50%程度しか内容物がありませんでした。これでは密閉したとしても酸素の少ない状態にはなりにくいです。
2日目でいきなり分離した柿酢の素

完熟の柿を使ったことと密閉しなかったこともあり、2日目には液体と固体が分離し始めました。3日目には表面にうっすらと白い膜が広がり始め、酸っぱいニオイが出始めました。白い膜は産膜酵母です。産膜酵母はカビと違い、綿毛のようになりません。
しかし、2日目で分離し、3日目で産膜酵母が出始めるなんて早すぎます。当初は「大成功だ!」と喜んでいたのですが、実はこれではいけなかったのです。最初にアルコール臭がして、その後アルコール臭が酸っぱいニオイに変化しなければなりません。
私は日に1回程度かき混ぜていましたが、5日目になった時に液体と固体が分離しなくなったのでそこでかき混ぜるのを止めたところ、産膜酵母がしっかりと上部に貼ってきたのでその後は放置することにしました。
柿酢は嫌気発酵から好気発酵へと移行させなければなりません。今回学んだことを元に、成功に近づくための方法を失敗経験と以下に比較します。
| 成功する柿酢 | 失敗する柿酢 | |
| 容器の空き容量 | 10~20% | 50%以下 |
| 仕込み後1週間の蓋の状態 | 密閉する | 開放する(キッチンペーパーのみ) |
| ニオイの変化 | アルコール臭 ↓ 酢のニオイ | 酢のニオイ |
黒カビが発生したら終わり

産膜酵母が広がっているため内部は守られるだろうと勝手な予想をしていたのですが、二か月ほど経過した頃に、産膜酵母の外周が黒くなっているのを発見しました。
最初は何かわからなかったのですが、それがどうやら黒カビであると気が付いたのはかなり浸食された後でした。

スプーンなどを使って取れるだけ取ってみましたが、結局黒カビの浸食は止まらず、次第に中まで入り込み、最終的に黒カビに飲み込まれました。
黒カビが発生した後の柿酢の状態

黒カビに飲み込まれた柿酢の素をそのままさらに二ヶ月放置しました。この段階で仕込んでから半年経過していました。
黒カビが発生した段階で処分しても良かったのですが、いつかやろうと思って結局この日までやらずじまいでした。
中身を覗いてみるとおぞましく黒い物体が中には残っています。完全に乾ききり、むしろ白いカビまで発生しています。
箸でつかめるほどカッチカチになった柿酢

黒カビで覆われカッチカチになった柿酢は箸でつかめるほどになっていました。もはやこれを柿酢と呼んでいいのかすらわかりません。
クッキーかの如く崩れる旧・柿酢。さすがにこうなったらだれでも失敗したとわかります。中は若干柿の色を残していましたが、水分はほぼなくなり、明らかに「酢」ではありません。
まとめ:手順を守ることがなによりも重要
柿酢づくりに当たって様々な情報を参考にさせていただきました。しかし、それでも失敗しました。この失敗経験から学んだことは以下の4つです。
- アルコール発酵しないとカビが生えやすい
- 最初のアルコール発酵は必須
- アルコール発酵さえすればカビなかった可能性がある
- 嫌気発酵(密閉)から好気発酵(開放)という手順を踏む
それから、もし黒カビを見つけたら、勇気を持って即座に処分すべきです。放置すると私のように柿のミイラを作ることになります。
これらを踏まえ、次の秋(2026年の秋)に再挑戦しました!
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