ベランダで植物を育てても、よくわからないまま枯れてしまったという経験は誰しもお餅だと思いますが、今回は私が気を付けていることの中で、もっとも大切だと思うことを書き記していきます。
目次
なぜか枯れ行く植物たち
植物は好きだけれども、育てるのは決して上手ではない、そんな私のような方は、原因がわからないまま植物を枯らしてしまっていることもあるかもしれません。
私もこれまでたくさんの植物を枯らしてしまってきました。そのたびに暗い気持ちになり、申し訳ない気持ちになり、ああ、やっぱり向いていないのかな、などと考えたりもします。
しかし、毎年毎年試行錯誤をしていくと、少しずつではありますが、成功体験も積めて、やっぱり植物栽培は楽しいなと思うこの頃です。
しかし、それでも枯れることは多々あります。原因はもちろん一つとは限りません。でも、私に関して言えば、水やりが下手という致命的な問題があったようです。
これまでの経験から、水やりを制することがベランダ菜園ではもっとも大切なことだと考えています。
根腐れは救いようがない?

水を与えすぎると根が呼吸できなくなり、根が腐る「根腐れ」が発生します。根が腐ってしまえば植物は水も養分も吸収することができないため、枯れに直結します。
しまった!根腐れが発生した!からの救出は容易ではなく、発生してしまったら最後、あきらめるしかないというのが一般的だと思います。
もちろん、あれ?根腐れかな?ぐらいの時に気が付いたならば、場合によっては水やりを控えるなどして救うことも可能な場合があります。
それでも、根腐れは良く発生する上に救助が困難な症状の一つです。
根腐れが起こる原因
なぜ植物は根腐れを起こすのでしょうか。そんなにたくさん水やりをしているとは認識していませんでしたし、土も必ずしも水はけが悪いわけではありません。なぜ?と思い続けていました。
水の与えすぎ
根腐れでもっとも多い原因は水の与えすぎです。結果的に、今までの私は水を与えすぎていました。
植物は根が水没した状態が続き、酸素を吸収できない状態が続くと正常な生長が出来なくなります。
買ってきたばかりの培養土を使っていて、水やりをすると勢いよく水が鉢底から出てくるから水はけは良いはず、それなのに根腐れする、というのは大体水の与えすぎです。
え?でも水はけが良いんだから、水の与えすぎにはならないのでは?と考えるかもしれませんが、土は濡れる→乾く→濡れるのサイクルを繰り返します。それが植物にとっても自然な環境です。
いくら水はけの良い土を使っても、必要以上に水やりをしてしまえば根腐れは発生します。事実、私は購入したばかりの培養土で育て始めた野菜をたくさん枯らしてきました。今思えば完全に水の与えすぎです。
思ったよりも植物は乾燥に強いことが多いのです。
水はけが悪い土はダメ
水はけが悪い土を使っていると、必然的に根の周りに水分が多い状態が長く続くことになります。
水はけがいいと言っても、砂のようなものでは逆に保水力が低く、植物の生育には不向きです。適度な水はけが良いのですが、その加減が難しく、知識のない私は悩み続けていました。
「水はけが良い」と「保水性に優れる」って矛盾しているように聞こえます。水はけが良いってことはそこに水は残らないのでは?保水性に優れるってことはそこに水が長い時間あるということでは?そんな風に思っていました。
「水はけが良い」というのは、粒子と粒子の間に水分が残りにくいことを指します。「保水性に優れる」というのは粒子自身が水を保持する能力を言います。
つまり、粒子は水を保持し、粒子と粒子の間の水は素早く流れ出る、というのが理想の状態です。団粒構造などとも呼ばれます。
土で言えば赤玉土なんかが水はけの良い土の代表格でしょう。しかし、赤玉土も使い続けていると粒子は小さくなっていきます。粒子が小さくなれば粒子間の隙間も小さくなり、水分を保持したたくさんの小さな粒子が根の周りにまとわりつくようになります。
観葉植物などに赤玉土を使う場合は小さな粉塵を取り去るために赤玉土を使用前に水洗いして、粉塵を取ると良いなどという方もいます。粉塵は粒子が細かく、詰まったり、水はけの面で赤玉土のメリットを発揮できないからだと考えられます。
水やりが下手で、さらに水はけが悪い土を使っているとダブルパンチで悪影響があります。
鉢のサイズを間違うと根腐れしやすくなる
大きな鉢に小さな植物を植えてしまうといつまで経っても水が吸収されず、鉢の中に水が残った状態、土が湿った状態が長く続きます。これもよくありません。
園芸店に行くと、かなり小さな鉢に大きな植物が植えられていることがありませんか?まさにあの状態を目指すべきで、水やりをしても、早く水を使いきれるぐらいの鉢のサイズが理想です。とにかく早く水やり直後の水分過多の状況から脱する必要があります。
植物は乾燥が必要!
植物には乾燥も必要です。完全な乾燥ではなく、適度な乾燥です。
乾燥したら枯れてしまうではないか、と少し前の私は思っていましたが、実際、発芽したばかりの苗を除いて、表面が乾燥したぐらいで枯れる植物はほぼありません。
ポットや植木鉢だと深さが数センチから数十センチあると思います。表面が乾いても土の中はまだ湿っていることが多いです。植物は根の先端から水を多く吸います。そして、その根の先端は正常であれば地表ばかりでなく、地中にも伸びていきます。もちろん植物によって根の張り方は違いますが、地表5mm程度だけという野菜は見たことがありません。
シダ植物やコケ植物はそもそも湿ったところが好きなので、乾燥させるのはかなり危険が伴います。ですが、野菜類に関してはある程度の乾燥も必要です。
乾燥の判断が難しい!
まず、地表部分を見て、乾燥しているかを判断します。地表が乾燥していたら、今度はちょっと地表の土をどけてみて、地中が湿っているかを確認します。さらに、鉢底を覗いてみて、湿っているかを確認します。こうすることである程度鉢の中の様子が想像できます。
また、鉢の重さも重要です。水分が完全に乾くと鉢は驚くほど軽くなります。逆に水分が多く含まれた状態だと、たとえ地表が乾燥してきていても、地中に多く水分がある可能性があります。木を育てている場合は鉢を持ち上げなくても、木を斜めにしてみて鉢が簡単に傾くなら水分が減っているでしょうし、びくともしない場合はまだ地中に水分が多く残っている可能性があります。ただ、鉢底石などの影響で鉢が重くなっている可能性があるので、環境によってもその重さはよりけりです。常日頃から鉢の重さを気にかけておくと良いと思います。
このように、植物栽培を始めたばかりの時は判断が難しいですが、外観と重さで土がどのぐらい水分を保持しているかをある程度判断することができます。
なお、多肉植物でもない限り、完全に乾燥したら根腐れではなく、単に水分不足で植物は枯れていきます。多肉植物でも完全に乾燥してから全く水をあげなければいずれ枯れます。
乾燥と湿潤の適度なラインを見つける作業が必要になりますが、このラインは環境によって異なるので、自分で経験していくしかありません。
植物によって違う水分要求量
土を完全に乾燥させてしまうと、特に野菜は枯れてしまうことがあります。水分過多もよくありませんが、乾燥させすぎにも注意が必要です。
植物の種類によっても水分要求量は異なります。里芋などは乾燥に弱いとされます。
時期や植物の状態によっても水分要求量は異なります。例えば、夏場はあっという間に土が乾燥してしまうことがあります。夕方には水が完全に切れて植物がぐったりしていることも。天気、気温なども加味して水やりのタイミングを見定める必要があります。また、発芽したばかりの多くの植物は乾燥に弱い傾向があります。
天気によっても水分要求量は異なります。晴れていれば雨や曇りの時よりも乾燥が早く進みます。
畑ならレイズドベッド
SNSでよく見かけるレイズドベッドは、土を高く盛ることで、水はけをよくした構造です。畑で野菜を育てるならレイズドベッドにすることで管理もしやすく、水はけも改善出来てメリットが享受できるでしょう。
ベランダ菜園でレイズドベッドは困難かと思いますが、細長いプランターなどでは、中央をちょっと高くするなど、プチ・レイズドベッド風にして野菜を育てることもあります。水はけ改善のためです。
最後に
植物が枯れる原因のほとんどは水やりです。水を与えすぎ!どの程度乾燥しても大丈夫かは経験も必要になるので、いろいろ試行錯誤しながら慣れていくのが一番です。
水はけの良い土を使い、水やりにも注意することで、私は今までよりも根腐れしにくくなりました。
とはいえ、まだまだ私は水やりが上手とは言えません。これからも試行錯誤しながら水やりをしていこうと思います。