ベランダの植物たちに害虫が群がるので、いろいろ試行錯誤する中で今回はオレンジオイルを作ってみました。
オレンジの皮からお酒でオレンジオイルを抽出
香り豊かなオレンジオイルを抽出します。チンキと呼ばれるものに近いかもしれません。
今回の目的
オレンジの皮は掃除するときに使えたり、お風呂に入れて香りを楽しんだり、いろんな用途があります。そんな中で私が注目したのはオレンジの皮に豊富に含まれるリモネンが害虫の忌避成分となる可能性があるということ。つまり、オレンジの皮から抽出したオレンジオイルならベランダの植物たちに群がる害虫どもの対策に使えるのではないかと考えたのです。
実際にオレンジオイルの含まれた害虫駆除剤も販売されていて、それなら自分で作ってみようと思ったのがきっかけです。
効くかはわかりませんが、主なターゲットはアザミウマです。
オレンジオイルを抽出した方法
材料はオレンジと、穀類でできたアルコール、つまり飲酒用のお酒です。私は高梁酒(こーりゃんしゅ、白酒)を使っています。
- オレンジの皮の白い部分をできるだけ包丁で切って取り去る
- 白い部分を取ったオレンジの皮をみじん切りにする
- 2~3日天日干しして乾燥させる(乾燥具合に応じて日数、時間は要調整)
- 乾燥したオレンジの皮をガラス瓶に入れ、ヒタヒタになるぐらいまで高粱酒を入れ、さらに3日程度常温で放置する(長く漬ければ漬けるほど成分が染み出てくるらしいです)
- 皮などの不純物を濾したら完成(濾した後、私はさらに皮を絞ったりします)
出来上がったオレンジオイル
そのまま濾すだけの場合、オレンジ色に輝くオレンジオイルになります。ですが、それだけではもったいない気がして漬かっていた皮をお茶パックに入れて、手で雑巾のように絞ってさらに抽出させたところ、どす黒い、濃い黄色と言うか黄色みが強く、赤みがかったような茶色になりました。
これ、上に薄っすら透明な層があって、純度は蒸留法よりは低いですがそこは精油で、その下がいわゆるフローラルウォーターに近いような、不純物を多く含んだ層で、さらに一番下に完全なる不純物、特に固形成分が沈殿した層のようです。
オレンジオイルの注意点
今回、私は高粱酒を用いてオレンジオイルを抽出しましたが、出来上がったオレンジオイルは引火性があります。そのため、絶対に火のそばに近づけたり、高温や引火する可能性のある場所に置いたり、そういう状況下に置いてはいけません。
私は直接素手で触っても何てことないのですが、肌質によっては肌に影響の出る方もいるかもしれません。要注意です。
プラスチックの容器は溶ける可能性があります。そのため、精油の瓶など、ガラスでできた容器で保存する方が良いです。
なお、オレンジの皮の白い部分は極力切り取った方が良いです。というのも、白い部分が残っていると、お酒に浸けたときにその白い部分がお酒を吸収してしまうからです。
他の作り方について
オレンジオイルの抽出方法は1つだけではありません。私が上記のアルコールを使った方法にした理由とともに、いくつかの方法をご紹介します。
蒸留による抽出
最初にやろうと思ったのはオレンジの皮に水蒸気を当てて、その蒸気を冷やすことで蒸留してオレンジオイルを抽出しようと考えました。
蒸留による抽出方法だと不純物が限りなく少ない、無色透明の精油(エッセンシャルオイル)が抽出できるようで、かなり魅力的だなと思ったのですが、蒸留による抽出方法は機材の準備などに少々手間がかかるのと、複数人で同居している私のような場合、家庭内に高温の物を長時間置いておくことが困難だと判断しました。
蒸留する物に比べると、アルコールで抽出したものは不純物が多く、色も付いていて透明ではありません。純粋な精油成分以外の方が圧倒的に多く、純度で言えば蒸留したものが勝ります。
煮て抽出
オレンジの皮を煮ることでもオレンジオイルを抽出することができるようなのですが、アルコールに漬け込むだけの方が圧倒的に手間がかからないように感じられ、この方法はパスしました。
例えば唐辛子の辛み成分であるカプサイシンは水には溶けにくいので、唐辛子スプレーはアルコールに漬けるなどして抽出します。オレンジオイルの成分であるリモネンも水不溶性、非水溶性などと言われるように、基本的には水に溶けにくいという認識ではあるようですが、リモネンは若干は水にも溶けるらしく、まったくもって無駄ということではないようです。なお、リモネンはエタノールと「混和」するそうです。
無水エタノールと穀類のアルコール
感染症の流行により我が家にもエタノールが常備されています。エタノールでもオレンジオイルの抽出はできるようですが、目的が植物に使うこと、しかも家庭菜園も含めた、もしかしたら食べるかもしれない野菜に使うことから穀類を用いた、飲用に適したアルコールを使う方が良いと判断しました。
アルコール度数は高い方がいろんな成分を抽出できるかとも考えたのですが、経済的で、かつ余計な香りの少ない高粱酒にしました。ウォッカを使う方もいるようです。いずれもアルコール度数40~60度ぐらいですね。ウイスキーは独特の香りがあるので使いませんでした。
オレンジオイルの用途
オレンジオイルは清掃作業に用いられることが多いようです。ギターなどを磨くためのオレンジオイルを買ったこともありますし、洗剤の中にはオレンジの成分が入ったものがたくさんありますよね。
リモネンはゴムやプラスチックを溶かす性質があり、汚れ落としにも使われています。
オレンジ以外の柑橘類
オレンジオイルは名前の通りオレンジの皮から抽出されたものですが、その成分はリモネンと呼ばれ、そのリモネンはオレンジ以外にも含まれます。名前的にはレモンに似ているのでレモンに多く含まれるのかなと思ったら、柑橘類で最も多くリモネンを含むのはやはりオレンジなんだそうです。
最後に
自分でオレンジオイルを作ると、意外と作れるもんなんだなと、喜びもひとしおです。ただ、難点は私の方法ではどの程度リモネンの成分が含まれているのかがわかりにくいこと。300mlの水に10滴程度入れて植物にかけたりしていますが、今のところ悪影響は現れていないようです。これからもいろいろ試してみます。