柿の木を種から発芽させて育てる方法

桃栗三年柿八年の八年の方に当たる柿の木。そんな柿の種子を発芽させてみました。発芽するまでの記録です。

柿の種子を発芽させる試み

2023年12月、柿の種子を入手したので種まきをすることにしました。なお、ここで言う柿の種子は米菓の柿の種ではなく、果物の柿に含まれている種子を指します。

柿の種子

私の知っている柿の種子は丸っこいものばかりで、米菓の柿の種のような種子は見たことがなかったのですが、今回手に入れた柿の種子は細長く、米菓柿の種にかなり近い形でした。

どうやら品種によって柿の種子の形は違うようで、今回の物は私が今まで食べていた柿とは品種が違うようです。

干し柿にされていたものなのでたぶん渋柿ではあると思います。

そもそも柿は甘柿でも種子から育つ木から収穫できるものは渋柿になってしまうことが多いのだそうです。なぜそんなことになるのかはわかりませんが、とにもかくにも発芽させてみることにしました。

低温処理で休眠打破

果物の種は休眠状態を打破しないと発芽しないと言われます。柿の種子も同様と考え、湿ったキッチンペーパーに包み、約3カ月冷蔵庫で寝かせておきました。

冬を経験すると休眠打破できるという性質を利用し、冷蔵庫で疑似的に冬を体験させました。

冬にしっかりと寒くなる地域においては、単に冬を経験させるだけで休眠打破できるため、種子を入手したらそのまま土に埋め、乾燥させないようにしておけば翌春には芽が出てくるようです。発芽時期は冬が明けた春です。

種まきはそのまま土へ

2024年3月の初めに冷蔵庫から出した種子を土にまきました。何も難しいことはしておらず、地表から1~2cm土がかぶるぐらいの位置に種まきして、乾かないように管理し続けました。

この種まきの際、柿の種子の茶色くて固い殻を剥いてから種まきすると発芽しやすいそうなのですが、私はそのまま土にまきました。

大体2cmぐらいの深さの穴を掘り、そこに柿の種子を入れ、上部に1cm分ぐらいの土をかけました。

種子の向きは気にしていませんでした。柿に限ったことではありませんが、大体どこから発根し、どこから発芽するのかわからない種子は、横に寝かせてまくことが多いです。

湿らせた状態がキープできるならティッシュなどでも発芽はするようです。

約1ヶ月で発芽

発芽したのは3月末ごろでしたので、発芽までは1ヶ月弱かかった計算です。そこから順次発芽していきましたが、4つあった内、1つは早々に枯れてしまいました。

種子で繁殖させる場合は親の性質を受け継がないことが一般的で、その場合、例えば親よりも病気に弱いとか、生育が劣勢であるとか、花が咲きにくいとかいろんなウィークポイントがある可能性があります。これは動物の子供も同じですね。一人ひとり同じではありません。

いかに親が優秀でも、子が優秀だとは限りません。早々に枯れてしまったのはきっと弱かったのだと思います。

柿の種子の発芽率は約67%

種子から発芽して1ヶ月程度経過した柿の木
種子から発芽して1ヶ月程度経過した柿の木

今回は6つの種をまき、4つが発芽したので、発芽率は約67%でした。環境や種子の状態、タイミングによっても変わってくると思いますが、発芽率は決して悪いとは感じませんでした。

柿はやはり8年かかる?

桃栗三年柿八年とは言いますが、柿は種子から育てた場合、6~7年で結実するという話もあるようです。でも、これは本当にケースバイケースで、みんながそうなるとは限らないでしょう。逆に8年経っても花すら咲かない例もあるようです。

そもそもおいしい柿の実ができるかもわからず、木自体が病気に弱いかもしれないし、しかも8年で実ができるかもわからないような植物をベランダの限られたスペースで栽培し続けるのはかなり不合理な気もします。

結実させて収穫したい場合は苗木屋さんで接ぎ木苗を買いましょう。種から育てるのはただの趣味です。大きな庭があるなら気長に待てるかもしれませんね。

さるかに合戦の奇跡の柿の木

柿の木で思い起こされるのは童話の「さるかに合戦」。たしか意地悪な猿が蟹の持つおにぎりと自身が持つ柿の種子とを交換したところ、蟹が柿の木を育て、見事に実がなったので今度はその実を奪い、まだ熟していない青い柿を蟹に投げつけて云々という物語ですが、柿の種子から育って実をつけるまでには少なくとも数年かかります。

蟹の寿命は種によって異なりますが、5年~20年程度のようです。猿の寿命は10数年~30、40年程度のようです。寿命の短い蟹なら収穫前に命が尽きてしまうかもしれませんが、そこは童話パワーであっという間に木が生長し、収穫できるようになったようです。

しかも猿が実った実を食べていることを考えると、渋柿ではなく甘柿だった可能性があります。猿が渋柿でもムシャムシャ食べれるなら話は別ですが、実生で甘柿ができたなら、うらやましい限りです。

柿の種子をまき、あっという間に収穫出来て、しかも甘柿だったなんて。現実世界でそんなことは発生し得ないですが、のんびりと構えて柿の木を育てるのも悪くないですね。

最後に

収穫を目指すなら接ぎ木苗を購入した方が良いです。ですが、種子から柿を育てるのも楽しい試みだなと感じています。