今回宿泊先に選んだのはH.I.S.が展開している「変なホテル」。そもそもH.I.S.は数年前に当時赤字続きだったハウステンボスを買収し、その後黒字化したわけですが、そのハウステンボスに隣接する形でオープンしたのが変なホテルでした。恐竜のロボットが受付にいるホテルとして話題になったのを記憶している人もいるかもしれません。その後変なホテルが他の地域へも展開を始め、今回は東京都内にある変なホテル浅草橋に宿泊したのでした。
変なホテルにチェックイン
さて、フロントに人がいないということで有名なホテルです。どんなふうになるのかワクワクしながらフロントへ行くと、2体のロボットがフロントにいるのみ。周りに係員の方は誰もいません。そしてロボットの前にはタブレット端末が。どうやらこのタブレット端末を操作してチェックインするようです。
まず、言語を選択します。言語は日本語、英語、中国語、韓国語を選べます。ちょっと興味があって最初に中国語を選択してみたのですが、すぐにパスポートをセンサーにかざすように要求され、やめました。そしてすぐに日本語を選択し直しました。すいません、パスポートを取り出すのが面倒だったんです。
こちらのタブレット操作の手順は以下の通りです。
1.言語選択(日本語(○)、英語、中国語、韓国語)
2.入力方法選択(音声入力(○)、手入力)
3.名前をフルネームで発声
4.署名
これらの手順を終えると隣にある清算機で清算するように指示されます。なお、その都度ロボットが操作の説明をしてくれます(「ボタンを押してください」等)。口も動きますし、顔の角度も微妙に動いたり、こちらの顔に追随するように、正面を向くようにできているようです。
清算機を見ると金額が表示されていて、お金を入れるとルームカードを1枚か2枚のどちらかから選択することができます。清算機の操作は以下の通りです。
5.清算
6.ルームカードの枚数選択(1枚、2枚(○))
7.ルームカードとおつり、レシートを受け取る
以上でチェックイン完了ですが、スタッフの方に1度もお会いしませんでした。とても不思議なホテル、いや、変なホテルです。ただ、「チェックイン」というサービスは実際タブレットと清算機でも十分に行うことができます。特にホテルに宿泊することになれている方にとって、特別なサービスが必要ない方にとっては非常にシンプルで合理的なホテルであると言えます。
チェックイン前やチェックアウト後に荷物を預けることができるコーナーもありました。自分で施錠し、鍵を持って外出すれば、荷物をそこに保管することもできるようです。このコーナーももちろん無人です。
なお、念のためだと思いますが、「スタッフ呼び出し電話」というのも設置されていたので、困ったらそこでスタッフの方に連絡ができるようです。
変なホテルの部屋
その後室内に入ったわけですが、オープンして間もないこともあって部屋は新しいです。部屋にあるアメニティーは最低限で、髭剃りなどはフロントに置いてあるため必要な方はチェックイン時に忘れずに部屋まで持って行きましょう。コスト削減に余念がないなと感じますが、実際部屋の中は他のビジネスホテルとそれほど変わりません。最新ホテルのためか、コンセントの他にUSB充電に対応したジャックが壁に埋め込まれているのも最近のスマホ事情に配慮してのことと思われます。
変なホテルの朝食
翌日の朝食はホテル内にあるレストランでいただきました。特段どこにも朝食の時間や場所は説明がなかった(見つけられなかった)のですが、朝になるとエレベーター前に朝食会場の案内があり、レストランへ行くと部屋番号を確認するだけで朝食を頂くことができました。変なホテル浅草橋は1Fのインド料理屋で朝食です。ナンとカレーがとてもおいしかったです。
変なホテルをチェックアウト
その後、チェックアウトするわけですが、チェックアウトは清算機の差し込み口にルームカードを2枚挿入するだけでした。とても簡単。
H.I.S.が運営している変なホテル
なお、「変なホテル」という名前は「変わり続ける事を約束する」という意味だそうで、「奇妙な」という意味ではないのだそうです。今回実際に宿泊してところ、格安海外旅行で有名なH.I.S.が運営しているだけあって、必要最低限のサービスに終始している印象を受けましたが、そういうホテルがあっても良いなと思いました。実際ロボットすら要らないのではないかと思うぐらいです。チェックインなどの実務的なことはタブレットと清算機で十分ですし、タブレットなら多言語対応が可能です。フロントに各国語に対応できる人材を用意するというのも、そういった人材の教育をするというのも全てカットし、人的資源を部屋の整理に集中させることでコストを大幅にカットすることが可能になるような気がしました。
個人的には「変なホテル」はH.I.S.が運営しているだけに日本へ旅行に来た外国人をターゲットにしているホテルだと感じました。チェックインとチェックアウトを機械化することで多言語対応が可能になり、特別な要求以外はスムーズに利用することができます。多言語対応は外国人にとって大きなメリットだと思われます。実際海外旅行に行ってそこまで特別な要求と言うのも稀でしょうし。
そしてこの「変なホテル」は外国人のみならず、出張などになれているビジネスマンにも良い選択肢だと思うのです。特にビジネスホテルを多く利用する人は大体チェックインの際に必要な手続きを理解していますし、部屋の設備も大体似通っていますから、ビジネスマンにとっても良い選択肢であると考えられます。
とにかく、泊まるだけならこういうホテルも有りだなと思う次第です。