ベランダで植物を育てていると、土の中にいる幼虫を見つけることがあります。今回その幼虫を育てて羽化に成功したのでそこまでの軌跡を記録しておきます。
目次
ハナムグリの羽化に成功!
2023年の10月ごろだったか、処分したベランダのプランターの土の中から幼虫が見つかりました。
ベランダ菜園で見つかる幼虫と言えば害虫のコガネムシが多いと言われますが、見つけた幼虫は地面を腹ばいではなく、あおむけで動くのです。コガネムシは腹ばいで動くと言われるので、なにやらコガネムシではないようで、結論から言うとそれは「銅豔白點花金龜 Protaetia nigropurprea」のようで、シラホシハナムグリの近縁種の幼虫だったようです。
都合3匹の幼虫を見つけ、それらを羽化させました。
体に白い斑点があるからカナブンではなくハナムグリ
成虫の場合、体に白い斑点があればハナムグリで、なければカナブンです。今回の幼虫が成虫になった際に確認したところ、白い斑点があったのでハナムグリ確定です。
そして、口部分がへこんでいるとシロテンハナムグリ、へこんでいないとシラホシハナムグリという分類になるそうなのです。口はへこんでいないのでどちらかというとシラホシハナムグリに近いようです。
ここ台湾には「紫艷白點花金龜 Protaetia formosana(口がへこんでいる)」、「東方白點花金龜 Protaetia orientalis sakaii(口がへこんでいる)」などもいます。今回羽化に成功したハナムグリは口がほぼへこんでいません。そのため、同特徴のある「銅豔白點花金龜 Protaetia nigropurprea」だろうと考えました。
花に潜って蜜や花粉を食べるからハナムグリ
ハナムグリの成虫は花粉や花の蜜を食べるのだそうです。花に潜って花の蜜や花粉を食べるからハナムグリと呼ばれているんですね。
なお、ハナムグリの中には樹液も吸うタイプがいるのだそうですが、花粉や花の蜜を食べるのは共通なのだそうです。
羽化スケジュール
幼虫を見つけてから半年で成虫に羽化しました。
- 2023年10月から2024年2月:幼虫を合計3匹発見
- 2024年3月:蛹室を作り蛹化(3/2に1匹目、3/14に2匹目、3/22に3匹目が蛹室作成)
- 2024年4月:羽化開始(4/14に2匹羽化)
ハナムグリの幼虫
今回見つけた幼虫は小さなもので、全長2~3cm程度でした。この手の幼虫を見つけるとクワガタやカブトムシを期待してしまうのですが、畑などの土の中にいるのは大体コガネムシで、中にハナムグリやカナブンが紛れていることがある程度のようです。
ハナムグリの幼虫は背で移動する
今回見つけた幼虫をベランダの床に置いたところ、あおむけで、背を床につける形で移動しました。この特徴はコガネムシにはありません。つまり、この段階でコガネムシである可能性は排除できました。
カナブンとハナムグリの幼虫はいずれもこのような背で移動する特徴を示すそうです。このようにコガネムシは見分けることができます。
ハナムグリの幼虫は腐葉土を食べる
そもそも今回見つけた幼虫は土の中にいました。そこで、土の中で羽化まで育てることになったのですが、食べ物は枯れ葉などを土に埋め込んでおきました。特段生きた植物を入れたりはせず、枯れた葉や茎だけを土に混ぜ込んだものを用意し、そこに幼虫を投入しました。
ハナムグリの幼虫の糞は円筒形
しばらくすると土の中に円筒形で、直径1mm~1.5mm、長さ2~3mm程度の黒いカプセルのようなものが散見されるようになりましたが、それらはハナムグリの幼虫のうんこ(大便)だったようです。
当初、小さな容器で幼虫を育てていたので、うんこが大量になってきたら土を交換するなどしていました。
土繭を発見してから約40日で羽化

土繭を見つけたのは2023年3月の初めごろでした。土の中にアーモンドチョコレートみたいのを見つけて、「これが蛹室か!」と感動したものです。土で出来た繭のような蛹室だから土繭と言うのだそうです。
完全に四方がふさがっているものもあれば、飼育容器の壁を利用して、一部分だけを固めた土繭(半土繭のようなもの)もありました。透明な容器を使っていて、半土繭を作った場合は土繭の中が見えます。
土繭を作ったばかりのころはまだ完全には蛹になっておりません。前蛹と呼ばれる期間のようです。
湿らせたティッシュで人口蛹室

ハナムグリが蛹から羽化する様子を観察するために人口蛹室を作りました。
生け花などに使うベースを用いることもあるそうなのですが、私は湿らせたティッシュで作ってみました。湿らせたティッシュって形を作りやすいので、比較的簡単に作ることができました。
蛹室を作るにあたり注意したのは、羽化する際、動き回って殻を脱ぐのだと考え、できるだけお尻や足を突っ張れるぐらいのサイズにしたことです。適度に突っ張れるぐらいのサイズ感にしないと、突っ張れず、羽化に失敗するのではないかと考えました。
結果として羽化に成功したのでちょうどよいサイズだったのだと思われます。
蛹の色は変化する

3月末ごろの蛹はまだ白い部分がたくさん残っていましたが、4月中旬の羽化する直前には手や顔の色が濃くなり、胸の辺りは光沢があるのがわかりました。
蛹はなかなか動かない
蛹になった直後は比較的よく動きましたが、それから1週間ぐらい経つと動きがかなり鈍くなります。あれ?もしかして天国へ?とかなり心配になりました。
ですが、夜に見た時の姿勢と、朝に見た時の姿勢が異なっていたので少しは動いていたようです。
そして羽化数日前になるとまたもぞもぞと動くのを何度も確認できるようになりました。
蛹中期では動かなくなることが普通なのだそうです。この段階であきらめてしまうのではなく、さらに様子を観察し続けていると、実は生きているということもあるかもしれません。
ハナムグリの成虫を飼育するなら昆虫ゼリーを与える
ハナムグリの成虫を飼育するために花を用意するのは簡単ではありません。そこで、昆虫ゼリーを与えることにしました。
ハナムグリは通気性の良い飼育容器で
いわゆる一般の虫かごで飼育を開始しました。
幼虫の時はただのプラスチック容器に枯れ葉などを混ぜ込んだ土と幼虫を入れておいたのですが、成虫になってからは通気性が良く、逃げ出すことのできないプラスチックの虫かごで飼育し始めました。
ハナムグリの寿命は2年?
2023年10月に見つけた幼虫は2024年4月に成虫に羽化しました。この時点で幼虫から蛹まで最低でも半年生きてきたことになります。
生まれたのは多分もっと前で、暖かくなるまで幼虫のまま冬眠に近い状態だったのではないかと思います。そして暖かくなって蛹となり、羽化したという流れではないかと思います。
成虫になってからは数か月から2年ぐらい生きるらしいのですが、まだ羽化したばかりなので、勉強しながら寿命を全うできるようにお世話をしていこうと思っています。
最後に
幼虫の時、歩き方を見てコガネムシではないと思っていたのですが、きれいなハナムグリが出てきてとてもうれしかったです。
このまま飼育を続けていこうと思います。