夏になるとスーパーなどに並んでいた梨が私は子供のころから大好きでした。子供のころは幸水か豊水だけしか知りませんでしたが、その後、ほかにもいろんな品種があると知りワクワクしたものです。
台湾にも梨はあります。韓国から輸入されたものもありますが、台湾でも生産されているようです。そんな梨の種を発芽させることに成功しました。
目次
台湾の梨栽培
台湾の梨は中国大陸南部から持ち込んだ梨を、新竹県横山地区(海抜200m前後)で栽培し始めたのが最初だと言われています。横山地区で栽培された梨は横山梨と呼ばれ、庶民に親しまれていたのだとか。横山梨は触感がザラザラしていて、芯に近づくにつれて酸味を感じるという特徴があるそうです。
台湾で栽培されている梨は横山梨以外に、例えば以下の品種があります。
- 4月末ごろ:秋水梨
- 5月中旬ごろ:豊水梨
- 6月下旬から7月ごろ:新興梨(日台交配種)、黃金梨、秋黃梨
- 8月上旬から9月ごろ:宝島甘露(寶島甘露)※台湾で改良された品種(台湾の「晶圓梨」と「新興梨」)
- 9月から10月 ごろ :蜜梨
- 11月から1月 ごろ :新雪梨
なお、流通量が多いの葉新興梨という品種ですが、その時期を過ぎると台湾の梨の産出量は減少し、それ以降は韓国から輸入された梨が店頭に並ぶことが増えます。
個人的には幸水が好きで、日本にいる時はよく食べていました。台湾で幸水を見る機会はほとんどありません。
梨栽培に適した気候
梨というのは主に温帯地域で栽培され、台湾のように暑い地域では栽培が難しいのだそうです。暖かすぎると花が咲かないのだとか。
そのため、梨をそのまま平地で栽培することは難しいのですが、1975年ごろに温帯の梨を横山梨に接ぎ木する実験を行ったところ、高接ぎが見事に成功して、今ではいろんな品種の梨が流通しています。
台湾における梨の接ぎ木の手法
上記接ぎ木の手法は高接ぎが良いとされ、上向きに伸びた枝という枝に接ぎ木をしていきます。この高接ぎによって作られた梨は流通時に高接梨とパッケージに書かれていることがあります。つまり、高接梨は温帯の品種の梨を、横山梨に高接ぎした梨であるということです。
ただ、台湾の平地で高接ぎした場合でも、収穫後は接いだ木が育たなくなってしまうそうで、 収穫が終わったらその枝を取り除き、改めて接ぎなおさなければならないのだそうです。つまり、毎年接ぎ木をし直さなければならないのだそうです。
山の上で梨を栽培する場合、台湾でも一般的な穂接ぎが行われるのだそうです。例えば台中の梨山(海抜2,000m前後)で栽培されている梨は穂接ぎで育てられておりますが、高接ぎで栽培される梨が4月ごろから流通するのに対し、梨山で穂接ぎされた梨は8月ごろから流通がスタートと、流通時期に差が違いがあるのだそうです。
梨栽培で有名な梨山
梨山は海抜2,000m前後の地域で、平地に比べると梨の栽培に適しており、中国や日本から導入した品種はまず梨山で試験をし、成功した場合はそこから平地へと栽培範囲を広げていくのだそうです。つまり、梨山は新しい品種の試験をする場所というわけです。
マンションのベランダで育てる梨
我が家の環境はと言うと、マンションのベランダで、海抜100mにも満たない地域です。
種から育てる
一般に梨は種子繁殖を行わないものだそうです。種から育てると生まれてくる苗の特性もよくわからず、そのまま実生で種から育てても開花しないか、開花までものすごく長い期間が必要になる可能性が高くなるのだそうです。
義実家には梨の木があり、それは開花して結実しているのですが、それはもともと接ぎ木苗なのではないかと思います。ただ、二年目以降はどうなっているのでしょうか。義実家も海抜100m未満です。
上述の通り、台湾の平地で梨を育てる場合、高接ぎにする必要があり、しかも毎年接ぎ木をし直さなければなりません。スーパーで穂木は売られていません。一般的に穂木は日本や韓国から輸入したり、梨山から購入するのだそうです。
ということで、この段階でもう詰んでいるのですが、私はそれを無視して育ててみようと思っています。
ベランダで栽培
梨の栽培場所はベランダです。ベランダで鉢植えにして育てていきます。実際、日当たりが非常に良いというわけではありませんが、他の植物も我が家のベランダで育てています。今回の梨もベランダで育てていきます。
梨の発芽
梨は湿らせた状態で室温に置いておくと1~2週間ぐらいで発芽します。私が挑戦した(梨の種まきをした)のは1月ごろでしたが、問題なく発芽しました。低温処理などは特段していません。
発芽から半年
発芽から半年ぐらいでは比較的健康そうに見えます。今後どうなっていくか楽しみです。
冬越し方法
冬もベランダに放置しています。暖かい地域(台湾)のため冬でも10℃を下回ることは稀です。むしろ暖かすぎるぐらいです。冬になると梨の生長は止まり、落葉します。
最後に
なるほど台湾では梨もなかなか栽培が難しそうです。高接ぎを繰り返すことでなんとか収穫できるようではありますが、温帯で栽培するのと比べると難易度がさらに上がると思われます。それでも梨農家さんが台湾にはいらっしゃるので、技術としては一定のレベルで確立されているのでしょう。
リンゴも台湾では難しいと言われますが、その理由は寒さが足りなくて(暖かすぎて)開花しないからという、梨と同じ理由なのではないかと思います。そして、梨は高接ぎを繰り返すことで収穫ができることがわかりましたが、リンゴはおそらく無理だったのではないかと思います。あるいは海抜の高い地域では成功していたのかもしれませんが、商業的に流通させるためには平地でも栽培できないと厳しいという判断に至ったのかもしれません。
収穫までは期待できそうにありませんが、せっかく発芽したので育て続けてみます。