手作りしたアーモンドミルクを使って杏仁豆腐のようなものを作ってみました。しかし、出来上がったものは杏仁豆腐とは少々異なるものでした。顛末を書き記します。
目次
生アーモンドから杏仁豆腐を作りたい!
以前から杏仁豆腐が大好きで、日本にいる時は中華料理屋で杏仁豆腐があれば杏仁豆腐を注文したり、コンビニスイーツでも杏仁豆腐を買ったりしましたし、杏仁豆腐の素を使って自分で作ったこともありました。
今回も杏仁豆腐を作ろうと思ったのですが、それは手元に生のアーモンドがあったから。今回は生アーモンドを使って杏仁豆腐を作ることにしました。
杏仁とアーモンドは一緒?
杏仁の「仁」とは簡単に言えば種(茶色い薄皮を剥いた中身)のことを指します。つまり、杏仁は杏(アプリコット/あんず)の種ということになります。
アーモンドも杏と同じバラ科植物ではありますが、どちらかというとスモモに近い杏に対し、アーモンドは桃に近い分類になります。
分類の仕方は地域によって違ったり、変化する場合もあるのですが、全く同じではないということは言えると思います。
台湾でアーモンドは「杏仁果」
私の住む台湾で調べてみたところ、アーモンドは漢字で「杏仁果」のように「果」が付いて表記されていることが多かったですが、前には「杏仁」が付いていて、おもわず混同しそうでした。
アーモンドにビターアーモンドとスイートアーモンドがあるように、杏仁にも苦いタイプと甘いタイプ(苦くないタイプ)があるそうです。
杏仁豆腐の基本的な作り方
杏仁豆腐は牛乳に砂糖、杏林霜(杏仁パウダーや杏仁粉と呼ばれることもある)、またはアーモンドパウダー(アーモンドプードル)を混ぜて、必要に応じて香りづけにアマレットやアーモンドエッセンスを加え、ゼラチンなどの凝固剤で固めて作られます。
アーモンドミルクで杏仁豆腐!
今回私が採用した方法は生アーモンドから作った手作りのアーモンドミルクを使って杏仁豆腐を作る方法です。
液体に適量のゼラチンを入れればゼリーはできます。あとは味と香りさえ担保できれば似たものが作れると考えました。
アーモンドミルクを凝固剤で固める
アーモンドミルクを凝固させるためには凝固剤を入れる必要があります。凝固剤はいろいろありますが、アガーのパターンとゼラチンのパターンの2種類を試してみました。
アガーは市販のゼリーなどに多く使われている凝固剤で、15年ぐらい前からスーパーなどでもゼラチンや寒天と並んで販売されているのを見かけるようになりました。
もしも凝固剤を入れていないのにアーモンドミルクが凝固したらそれは発酵したのか腐敗したのでしょう。そうなったら絶対に食べてはいけません。
凝固剤の違いによる食感の違い
使用する凝固剤によって食感が変わります。
ゼラチンは動物性のタンパク質で、粘りのあるゼリーができます。常温で溶けるという特徴があります。擬音語を使うならブリブリのゼリーです。
寒天は海藻由来の凝固剤で、固く、粘り気は少ないです。擬音語を使うならゴリゴリのゼリーです。
アガーも寒天と同じく海藻由来の凝固剤で、常温でも溶けにくいという特徴があり、スーパーやコンビニで売られている市販ゼリーの多くに使用されています。寒天とは異なる種類の海藻が原料になっているそうです。擬音語を使うならトゥルットゥルのゼリーができます。
なお、片栗粉などのデンプンを入れる場合もあり、デンプンを入れると粘度が高まり、濃厚な感じに仕上がると思われます。そもそも杏仁豆腐の材料である杏林霜にはコーンスターチが含まれているものもあり、それも濃厚な食感の助けになっていると思われます。
アーモンドミルクで杏仁豆腐づくり
ほぼほぼミルクプリンの要領で杏仁豆腐もどきを作ってみました。
材料
- 手作りアーモンドミルク(無糖・無添加) 250ml
- 牛乳 250ml
- 砂糖 25g
- アガー 5g
今回は砂糖をかなり抑えめに作っています。そのため、甘さも控えめで、罪悪感も少ない杏仁豆腐です。砂糖の量はおおむね全体の5%です。5%だと甘さ控えめ、10%で作るとしっかり甘めの杏仁豆腐になります。
凝固剤の量は100mlに対して1g程度。この量を増減させることで出来上がりの固さを調整できます。
なお、香りづけのアマレットやアーモンドエッセンスは用意できず、今回は素材の味を楽しむ杏仁豆腐(アーモンドミルクプリン)です。
手順
作業はそんなに難しくありません。簡単です。
- アガー以外の材料を混ぜ、火にかける
- 人肌ぐらいの温度になったら火を消し、混ぜながらアガーを少量ずつ入れていく
- アガーを全量入れたらまた火をつけ、小さな泡がフツフツと出始めるぐらいまで温める
- 容器に入れて粗熱が取れるまで待ち、冷蔵庫に入れて完全に冷えたら完成
完成したものにシロップをかけたり、クコの実を散らしたりするとさらに本格的な杏仁豆腐のようになるでしょう。
なお、火にかけていると泡が出てくることがあります。泡は舌触りがあまり良くないので取り除きました。
出来上がったアーモンドの杏仁豆腐
出来上がったアーモンドの杏仁豆腐はなんとも優しいお味で、あまり杏仁豆腐特有の香りはしませんでしたが、食べやすいものでした。
そもそものアーモンドミルクの濃度、牛乳の使用不使用によっても味は変わります。
比較的濃い目に作ったアーモンドミルク(アーモンド100gに水200ml)を使用し、牛乳を使用しなかった場合も、いわゆる杏仁豆腐のような香りはほぼせず、非常に淡白な杏仁豆腐となりました。うっすらアーモンドの香りがするかな?ぐらいでした。
これは杏仁豆腐と呼ぶよりもアーモンドミルクプリンと呼んだ方が良いのかもしれません。
香りの強い杏仁豆腐もおいしいですが、今回のような優しいアーモンドミルクプリンもいいなと思いました。何より自分で作ると材料がよくわかっているので安心です。
最後に
ゼラチンは酸を多く含む液体の凝固には向かないとか、それぞれの凝固剤の特性さえつかめればいろんなものでゼリーを作ることは可能だと思います。牛乳などのミルクを使えばプリンみたいなものも可能でしょう。
香りのしっかりした杏仁豆腐を作るとなると、香りづけが必要ですが、香りづけをせず、アーモンドミルクだけで作ったミルクプリンも悪くありません。
いやいや、やはり杏仁豆腐は香りが命!という場合は香りづけをすると良いと思います。